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77 悪魔を狩る者⑤


 七十七話  悪魔を狩る者⑤



 御白の圧倒的な力により、サキュバス娘はオレで遊ぶことを断念。

 周囲を御白の眷属たちに囲まれながら、ようやく話の根本……悪魔狩りについて話しだした。



『私ね、さっきもこのネコちゃんが当てた通りサキュバスなんだけどー、今は雇われ死神って感じなんだよねー』


「雇われ死神?」



 ネコちゃんいじりを受けた御白が必死に耐えながら『詳しく述べよ』と睨みを効かすと、サキュバス娘は『そんな睨まなくてもいいじゃん』と唇を尖らせながら詳細を語った。



 どうやら先ほどの【雇われ死神】というのは事実らしく、死神のリーダー……死神長によって任命されたとのこと。

 なんでも体内に潜む悪魔を引き出せることが出来るのは霊界の中でもサキュバスだけらしく、まだ外に出ていない悪魔の強さなんて赤子同然……サキュバスの力でも簡単に倒すことが出来ることから、褒美を条件にサキュバスたちに助力をお願いしてきたらしい。



『ほ、褒美とな』


『そうだよー。 私たち【雇われ死神】は体内の悪魔……赤ちゃん悪魔だけを相手にしてればいいんだけど、外に出てる悪魔を倒すとそれだけ報酬も上がるんだ! だからご褒美のために頑張って悪魔狩りしてるってわけ!!』



 サキュバス娘が指でVサインをしている手前で、マリアは目を大きく見開きフリーズ。

「中に潜んでるなんて、マリア知らなかった」と小さく呟く。



「え、そうなのかマリア。 オレはてっきり知ってるものかと」


「ううん。 マリアのパパが相手してた悪魔は、全部体の外に出てたタイプだったから……。 でも、なんで良樹、その新事実に驚いていない?」



 あーー。

 偶然にもマリアたちを待ってる間に霊能者の老人から聞いたって言っても、タイミング良すぎて信じてもらえないよな。



 オレは「新事実が多すぎて逆にリアクションが取りづらかった」ということにして、なんとかその話題を回避。

 再びサキュバス娘の話に耳を戻そうとしたのだが、それよりも先にマリアが動いた。



「はい」



 オレの一歩前に立ったマリアが、授業中さながらのテンションでサキュバス娘にを見上げながら手を挙げる。



『ん? なーに、銀髪のお嬢ちゃん』


「お姉さん、悪魔に関して詳しい?」


『そうだねー。 まぁ死神長さんから聞いた情報だけしか知らないんだけど、そこにいるネコちゃんや、人間よりは詳しいんじゃないかな』


『小娘貴様、どれだけ妾を……!!』



 御白が再び突っかかりそうになったので、オレはコーラでなんとか制止させることに成功。 アイコンタクトでマリアに会話を続けるよう促す。



「ありがとう良樹。 じゃあお話、続ける。 もしマリアが、アナタのお手伝いをするとしたら……マリア、成長できる?」


『えっとー……それはレディとして?』


「ううん、シスターとして。 マリア、パパみたいにすごいエクソシストの力、身につけたい」


『あ、なるほどね。 そりゃあ成長出来るんじゃないかなー? 何事も数をこなさないと、慣れたり極めることってないからねー』



 サキュバス娘は意味深に握りしめた手を上下させながら答えるも、マリアはその辺まだピュアだからな。 目をキラリと輝かせながら「なるほど」大きく頷く。



『分かってくれたんだ! えっと……マリアだっけ?』


「うんマリアはマリア」


『分かったマリアね! なかなかにマリアもエッチなんだね! 今の仕草で分かるだなんて』


「うん? マリア、興味はあるけど、そこまでエッチじゃない。 今マリアが興味あるのは、悪魔に関する知識」


『へ?』


「シスターとして成長出来るなら、マリア、手伝う」


『ーー……はへ?』



 マリアとの会話が噛み合っていないことにサキュバス娘が困惑していると、そんなサキュバス娘の腕をマリアは掴み、リビングを出ていく。



『え、マリア……? 私どこ行くの?』


「マリアの部屋。 手伝うんだから、色々と教えてもらう」


『マリアの……部屋?』


「そう。 良樹、ご飯になったら呼んで。 マリア、今から悪魔のこといっぱい聞いて、かしこくなってくる」



「お、おう。 いってらっしゃい」



『え、えええええ!?!? ちょっと待ってよ、まだお兄さんやもう一人のお嬢ちゃんの答え聞いてないけどー!?』


「後でいい。 まずはマリアに教えることから」


『そんなあああああ!!!』



 マリアの知的好奇心を最大にさせてしまったのがアイツのミスだな。

 サキュバス娘はそのままマリアにより部屋へと連行。 その後本当にご飯の時間まで降りてくることはなかったのだった。



 そしてこれは後から知った話……夕食時に聞いたことなのだが、サキュバス娘の名前はメリッサ。 将来性欲に困らないことを約束するといった条件で、雇われ死神になったらしい。



「ーー……は? そんなしょうもない理由で?」



 オレが呆れながらサキュバス娘……メリッサを見上げると、メリッサは腕をバタバタさせながら食事中のオレに顔を近づけてくる。



『何言ってるの! 重要なことなんだよ!? 人にだって、三代欲求の中に入ってるんでしょー!?」


「いやそうは言ってもさ。 あ、あとついでに聞きたいんだけど、【雇われ死神】になって、なにか力を得る……みたいな恩恵とかってあるのか?」


『ないよ』


「え」


『強いて言うならそうだなー、悪魔と戦う用のこの大鎌が支給されたことくらいじゃない? 普通ならさ、仮にも【雇われ死神】なんだし、研修って名目で数日くらいは一緒に行動してノウハウを教えてくれてもいいのにねー。 なんか死神さんたち、最近悪魔が増えてきてるせいもあってか人手不足なんだって』


「ーー……」



 死神の世界って、結構ブラックなの?

 

 

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