58 海旅行は波乱万丈!?②【挿絵有】
五十八話 海旅行は波乱万丈!?②
石井さんのおじさんから『部屋を一つしか用意してない』と聞かされたオレたちだったのだが、石井さん曰く『まぁ愛ちゃんやマリアちゃんもいるし、間違いは起きないよね』とのこと。
じゃあその二人がいなかったら、その間違いは起きてたのか?
用意してくれた部屋は結構広い和室になっていて、窓の外からはなんとも絶景なオーシャンビューが広がっていた。
「うわー!! 綺麗だねマリアちゃん!!」
「これはお金取れるレベル。 贅沢すぎる」
愛ちゃんやマリアは窓に張り付きながら大興奮。 オレがそんな二人の姿に癒されていると、荷物を置いた石井さんは早速そこから水着の入っているのであろう袋を取り出した。
「じゃあお昼ご飯を簡単に済ませて、水着に着替えて泳ぎに行こっか!!」
◆◇
あまり海に行った経験がないのでよく分からなかったのだが、どうやら泳ぐ前にはあまり暴食するのもよろしくないらしく、オレたちは提供された軽食を胃に入れてから海へ向かうことに。
石井さん・愛ちゃん・マリアは途中売店で少し強めの日焼け止めクリームを買ってから向かうとのことで、先に着替えたオレは一足先に砂浜へと向かった。
「ーー……なんかあれだな、思ってたよりもオレの水着、そこまで目立ってなさそうだ」
オレの履いている水着は愛ちゃん&マリアチョイスの競泳用を彷彿させるピチピチブーメラン水着。 手に取った時はこれ本当に大丈夫なのか心配だったのだが、履いてみるとそこまで食い込んではいない様子……でもあれだよな、普通こういう水着って下にサポーターみたいなやつを履くんだよな?
「んーー」
そういうの履いてないからハプニング時にはクッキリしちゃう可能性があるぞ……気をつけないと。
とはいえ愛ちゃんたちが来るまで、やることがないのも暇すぎる。
オレは静かに目を閉じて、時間潰しがてら、ちょうど近くにいた家族の会話に耳を傾けることにした。
「ママー、ママもいっしょに海、はいろー? パパと二人だけじゃ、ゆーちゃん、つまんないー」
「もう優香、そんなこと言ったらパパが可哀想でしょー?」
「でもー」
「それにママはダイキを見てないといけないの。 優香も、もう小学2年生なんだから分かるでしょ?」
「むーー。 じゃあパパにダイキを見てもらって、ママがゆーちゃんと、遊ぶのはー?」
「本当にこの子は……。 こんなにママっ子だと将来何かあった時が不安で仕方ないわ」
「ママー?」
「はぁ……わかった。 じゃあパパを呼んできてくれる?」
「やったー!!!」
ーー……まったく見ず知らずのオレが言うのもなんだけど、どんまい、パパ!!!
そして愛ちゃんにも、この女の子みたいに子供らしいワガママを言ってほしいものだぜ。
◆◇
少し待っていても石井さんや愛ちゃんたちはまだ来ていない。
やはり女子は水着に着替えるだけでも時間がかかるものなのだろうか。 そんなことを考えながら近くを通る水着女子たちに視線を送っていると、先に愛ちゃんとマリアが合流。 愛ちゃんは「ゆづきちゃん、もうちょっとしたら来るよー!」とテンション高めにオレに抱きついてきた。
「おお……」
愛ちゃんマリアの水着姿を見たオレは思わず息を飲む。
やはり可愛い子は何を着ても可愛い……似合っているな。
愛ちゃんは赤とオレンジ色が主体で、王道な感じのフリル付きワンピース風。 対してマリアは完全にセクシー路線を狙ったのだろう。 黒フリルのビキニ姿でオレに「マリア、セクシー?」と尋ねてきた。
「あ、あぁ。 愛ちゃんは可愛いが強いけど、マリアはマジでセクシーだな」
「マリアたち、似合ってる?」
「もちろん! こんなこと言うのもあれだけど、その辺にいる同年代の女の子の中では確実にトップクラスだぞ」
オレがそう告げると愛ちゃんもマリアもまんざらではない様子。
二人は自然に顔を合わすと嬉しそうに微笑み合い、オレもそんな二人の姿で更に癒されていたのだが……ここで登場したんだ。 周囲の女子たちを完全にモブ化させてしまうほどの、最高の逸材が。
「ごめん、お待たせー」
背後から石井さんの声が聞こえてきたため振り返ると、それを見たオレ・愛ちゃん・マリアは揃って声を詰まらせる。
石井さんが身につけている水着は薄ピンク色のビキニ。 もちろん石井さんも美人で可愛いため水着姿も似合っているのだが、問題はそこではない。
「おお……おおお」
夢は、そこにあったんだ。
オレの瞳に映っているのは石井さんが動くたびに上下に柔らかく、弾むように揺れている『たわわ』な部分。
これには先ほどまでオレに絶賛されていた愛ちゃんやマリアも認めざるを得なかったようで、二人は揃って石井さんの『たわわ』な部分に羨望の眼差しを向けていた。
「ごめんね遅れちゃって。 途中で弟から電話がかかってきて……って、どうしたの愛ちゃんマリアちゃん、そんなに見つめてきて」
「水着のゆづきちゃん……すごい!」
「ゆづきのと比べたら、マリア、悲しくなった」
それから石井さんは愛ちゃんやアリアから、どうしたらそんなスタイルになれるのかについて質問の嵐。
オレは楽しそうにはしゃぐ女子三人の声に耳を傾けながら前屈みになり、静かにその場で腰掛けたのであった。
「えええ、愛ちゃんマリアちゃん、どうしたの急に!」
「教えてゆづきちゃん!」
「風船みたい、ここから息を吹き込めば、大きくなる?」
「ちょ、ちょっとーー!!!」
さて、この辺にいる低級霊や悪霊たちを強制除霊して、気を紛らわせるとしよう。
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◆途中会話のみで出てきたこの親子、詳細は作者の完結済み作品『小五に転生したオレが変態脳で人生を謳歌する!』まで!! 薄っすらと繫がりがあるので、どちらを先に読んでも楽しめるようになっております!!




