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56 スッキリ!?


 五十六話  スッキリ!?



 水着を買い終えた愛ちゃんたちと帰宅してキッチンで晩御飯を作っていると、そろそろだとは思ってはいたんだけどな。 インターホンが短く鳴った。

 


「あれ、お客さんかなー」



 テレビを見ていた愛ちゃんが不思議そうに玄関の方へと視線を向ける。

 そして隣にいたマリアがスッと立ち上がった。



「お客さん……多分そう。 愛はテレビ、見てていい」


「え?」


「マリアが行く」



 そう言うとマリアはリビングの扉の前で立ち止まり、オレに「良樹、マリア、出る?」と尋ねてくる。



「あーうん、お願いできるかな」


「わかった。 荷物で重かったら、良樹、呼ぶ」


「おう」



 やはり少し前まで多くの信者と接してきた経験からなのだろうか。

 普通これくらいの子供なら人見知りを発動して大人に頼る……みたいなのが一般的だと思うのだが、マリアに関してはそんな様子もさらさらなく、いつも通りの表情で「良樹は火加減を気にしてくれていればいい」と付け加えて玄関の方へと向かっていった。


 ちくしょう、最近料理にも慣れてきたとはいえ、まだ高確率で焦げかけてるやつも多いからな。

 オレが火加減と仲良くなるのはいつになることやら。


 オレがいつも以上にフライパンとにらめっこを始めていると、玄関から「おおお、ビックリした」とマリアの声。 その後少ししてから「あはは、お邪魔しますー」と高槻さんの声が続いた。



 ◆◇



「えええええ!?!? なんで舞せんせーがいるのー!?!?」



 愛ちゃんたちにはあえて言ってなかったんだよな。

 高槻さんの突然の登場に愛ちゃんは大混乱。 もちろん高槻さんの隣にいたマリアも状況が理解できていないようで、「良樹、これはなんのドッキリ?」とこめかみのあたりを押さえながらオレに尋ねてくる。



「はい、ここでお知らせでーす。 しばらくの間、高槻さ……先生はうちで暮らすことになりましたーー!!」



「えーー!!」

「あめーじんぐ」



 もちろん高槻さんが詐欺にあってしまったことは、愛ちゃんたちには内緒だ。

 その辺りをうまく隠しながらオレはどうして高槻さんがウチで暮らすことになったのかを説明した。



「そうなんだー……電気の線とかが壊れちゃったんだ。 大変だね舞せんせー」


「え? あー、あはは。 そうなの。 先生困っちゃって」


「でもそこですぐに手を差し伸べる良樹は流石。 マリアが見込んだだけのことはある」


「そ、そうだねマリアちゃん。 良樹くんは本当にいい子で、先生助かっちゃった」



 ここら辺は愛ちゃんたちがあまり詳しくなくて助かったぜ。

 愛ちゃんは最初こそ驚いてはいたが、高槻さんのことがかなり好きなのか「じゃあこれから舞せんせーと一緒に暮らせるの!? やったー!!」と大歓喜。

 マリアも愛ちゃんほどの嬉しい感情を表には出していないが、高槻さんの手を握りながら静かに微笑んでいたのだった。



「でも本当にいいの? お金とか……大丈夫?」



 愛ちゃんたちがテレビに集中し始めたのを見計らって、高槻さんが小声で話しかけてくる。



「はいそこらへんは問題なしです。 愛ちゃんたちと暮らし始めてからは物欲……みたいなものが無くなりまして」


「そうなんだ。 あ、じゃあもし私にできることがあれば、なんでも協力するから言ってね」


「え、マジですか」


「うん。 もしかして早速何かある?」


「はい。 でもこれはちょっとここでは……。 愛ちゃんたちがお風呂に入った時に話しますね」



 高槻さんの協力……これは思ってもみないチャンスだ。



 小学校教師の知恵があれば、愛ちゃんの裏の部分をどうやって引きだせられるかも、分かるかもしれない。

 オレはすぐにお風呂場にお湯を溜めに行き、愛ちゃんたちが浴室に入ったのを確認して早速話を切り出すことにした。



「それで高槻さん、実はですね……」


「う、うん。 わかってる……、でもお手柔らかにお願いしたいかな。 私も経験ないから」


「ーー……」



 は?



 オレの目の前には、顔を赤くしながらスーツの上着を色っぽく脱ぎ始めている高槻さん。



「えっと……高槻さん? 何してるんですか?」


「え? それはもちろん裸に……違うの?」


「違いますよ!! なんで裸にならなきゃいけないんですか!」



 意味のわからない高槻さんの行動に、オレは興奮しつつも慌てて未だ脱ごうとしている高槻さんの腕を掴み制止させる。



「良樹くん? もしかして着衣プレイがお好みで……」



 ちがあああああう!!!!

 あーもう、なんでそうなるんだよ!!! 興味あるけれども!!



「あのですね、オレが高槻さんにお願いしたかったことは……」


「あ、そういうこと? 本番じゃなくてヌキヌキ……泊める条件としてスッキリさせてってことだよね?」


「なんでだああああああああ!!!!」



 オレは下半身を押さえながら愛ちゃんの件を簡単に説明。

 愛ちゃんが全然不平不満を言ってこないことが心配だということを伝えると、高槻さんも一緒に解決方法を考えてくれるという話であっさり落ち着いた。



「でも珍しいよね、この時代に」


「そうなんですか?」


「うん。 今の子ってネットの影響もあるのか……変に大人びてて不平不満ばかり言う割合が多いんだけど、愛ちゃんの場合は逆なんだもん。 学校でも良い子だよ」


「そうなんですね、でもオレは不満があったら溜め込まずに言ってほしいんですよ」


「ふふ、いい子だね良樹くん。 一応明日、ベテランの先生にそれとなく聞いてみるね」


「ありがとうございます」


「えっとそれで……本当に私は良樹くんにその、エチチなことはしなくていいの? さっきから良樹くんのソコ……」


「うわあああああああ!!!! 冷静を保ってたけどやっぱり無理だ……ちょっと部屋こもってきますー!!!」



 そうだ、今この状況になってやっと気づいた。

 

 愛ちゃんやマリアと暮らし始めて、確かに物欲は一気に減ったがそれだけ性欲が急上昇してる気がする。

 まだ幼い愛ちゃんやマリアの裸にもドキッとするんだ。 それなのに大人のナイスバディな高槻さんまで参加してきたら……



「これは、大変なことになるぞ」



お読みいただきましてあろがとうございます!!

励みになりますので感想や評価・ブクマ・レビュー。いいね等、お待ちしております!!!

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