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51 レベルアップ愛ちゃん!!③


 五十一話  レベルアップ愛ちゃん!!③



 夏空の下行われた、龍神を巻き込んだ御白による愛ちゃん強化プロジェクト。



『では頼むぞ龍神』


『はい、お願いしますー』



 神様が二人も揃ってるんだ。 こんなに心強いことなんてないぜ。

 オレはマリアとともに、安心しながらその様子を見守っていたのだが……。



 ◆◇



ずはこの娘、愛の中に存在しておる【霊力の扉】を完全に開いてもらえるか? まだ少ししか開いていないのでな』


『え、まさかあんまり霊力覚醒してない感じですか? ボクのこと視えてたのに?』


『それはそこにおる良樹の札のおかげじゃ。 札なしでは、まだ愛は霊をはっきりと認識出来とらん』


『わ、わかりました。 では扉を開けるところから始めていきます』


『うむ、頼んだ』



 序盤は何のトラブルもなく順調そのもの。

 龍神がどうやって愛ちゃんの中にある霊力の扉へとアプローチしているのかは分からないが、あまり時間もかからずに『成功しましたー』と御白にしらせる。



『おお、流石じゃな。 ではそこにほんの僅かで構わない、悪魔祓いの力を授けてくれ』


『悪魔祓い……ですか』


『うむ。 基本的な除霊方式では悪魔相手には通用しない……しかし悪魔祓いの力じゃと、悪魔と霊、両方に通じるからの』


『なるほど。 でも悪魔祓いの力、本当に要ります? 悪魔なんてそんな頻繁に出くわす相手でもないですし……除霊の力だけで充分なのでは?』


『見苦しいぞ龍神。 そうした方がそこにもう一人おる娘・マリアの刺激にもなるのじゃ。 マリアは一人前のエクソ……退魔師になるのが夢じゃからな』



 御白の説明を受けた龍神は、ゆっくりと視線をマリアへと移す。

 


「ん、どうしたの? マリアに何か用?」


『ーー……きゅんっ!』


「きゅん?」



 マリアを見た途端、龍神のテンションは一気にアップ。『マリア……ちゃん。 色白で銀髪なんて……ボクの好みの女の子すぎます!! それに女の子が二人で一緒に成長していくなんて素晴らしい!! そういうことなら分かりました!!!』とドラゴンモードの姿では似つかわしくない台詞を叫びながら了承した。



 いや、どうしてそうなる!!



 龍神は鼻息を荒くしながら『では悪魔祓いの力を付与します!』と宣言。

 しかし何故だろう、今の今まで順調だった龍神だったのだが、力の付与を宣言してしばらくの間無言の時間が続く。



「良樹、龍神どうしたの?」

「分からん」



 もしかしたらただ無言なだけで、力を付与している最中……集中しているのかもしれない。

 そう考えていたオレだったのだが実際は違っていたようで、御白が『どうしたのじゃ龍神、さっさとやらんか』と声をかけると、とんでもない返答が龍神の口から発せられた。



『い、いやーーちょっと待ってくださいね。 えーと……、どこに蓄えてたっけな』



 ーー……は?



『龍神、もしやお主、蓄えすぎた結果どこに蓄えたのかも忘れた……とかあるまいな?』



 御白が信じられないような表情をしながら龍神に小さく尋ねる。



『ぎく!!』


『ぎく……じゃと?』



 あ、龍神のやつ、図星だ。



 御白の額に怒りマークがいくつも浮かび上がる。

 そしてそんな御白のオーラを感じ取ったのか、目を合わせていないのにも関わらず、龍神の巨大な身体がブルブルと細かく震えだした。

 


『おい龍神……』


『ま、待ってください御白さん!! どこかに……どこかにあるはずなんです絶対!!』


『そんなの知っとるわーー!!! さっさとやらんかーー!!!』


『ゴフッ!!』



 しびれを切らした御白の飛び蹴りが龍神に直撃。

 するとそれと同時、龍神が『ああああああ!!』と焦った声で叫びながら、体から眩い光を放った。

 


『え、ん? なんじゃ龍神。 そんなに情けない声を出しよって』


『なんじゃ……じゃないですよーー!! あと少しで悪魔祓いの力を見つけ出せそうだったのに……今の反動で違う力を強制的に与えちゃったじゃないですかああああああ!!!!』



「『ええええええええええええええ!?!?!?!?』」



 ◆◇



 あまりにもイレギュラーなことが起こったため、継承の儀は一時中断。

 龍神はドラゴンモードからおっさんモードへと姿を変更し、額から大量の汗を流しながら愛ちゃんに何の力を与えてしまったのかを調べていた。



「な、なぁ御白、愛ちゃんは大丈夫……なんだよな?」

「みぃ、愛は無事?」


『うむ、見た所は何も問題ないように見えるのじゃが……先ずは中身、龍神が与えた力次第じゃな』


 

 ちなみに愛ちゃんに何ともないかを尋ねてみたところ、愛ちゃんから返ってきたのは「ううん、別に何ともないよ」と、とりあえず今のところは無事な様子。

 その後もオレたちは龍神に調べられている愛ちゃんをじっと見つめていたのだが、大体五分くらい経った頃だろうか。 愛ちゃんの目の前で龍神が顔を真っ青にしながら膝から崩れ落ちた。



『ま、まさか……、そんなあああああああ!!!』



「いやいや……え、なんだよその反応!」

『そうじゃ龍神! 何か分かったのなら早く話せ!!』



 龍神の絶望的な表情にいち早く気づいたオレと御白が駆け足で龍神のもとへと駆け寄る。



『あああ……なんてことだぁ、やってしまった』

 


 龍神は真っ先に駆けつけた御白を見上げながらポロポロと大粒の涙を流し、その後愛ちゃんに何の力を与えてしまったのか、ゆっくりと話しだした。

 


『御白さん、ボクやってしまいましたぁーー!!!』


『ど、どういうことじゃ!! まさかとは思うが、逆に生命力を吸ってしまったなんてことは……!』


『あ、いえそれはないです。 ただ普通じゃない物を与えてしまって……』


『だからそれは何じゃと聞いておる!!』


陰陽おんみょうの力と、ボクの核となる龍の力も少し……うぅっ!!』


『ーー……は?』



 陰陽の力と、龍神の龍の力?



 なにそれカッコいい。

 

 

お読みいただきましてありがとうございます!!

励みになりますので感想や評価・ブクマ等、お待ちしておりますー!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] よかった・・・サキュバスの力とかメスガキの力じゃなかったんだ ・・・ それはそれでよかった気も
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