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47 オレの苦手なヤンキー女子⑧


 四十七話  オレの苦手なヤンキー女子⑧



 黒沢さんの元カレ・性欲ゴリラに呼ばれても、オレに逃げてもいいと言い放った進藤さんと佐々木さん。

 そういやちょっと準備が必要とか言ってたけど……うまく進んでいるのだろうか。



「あ、あのさ」


「ん?」

「なにー?」



 純粋にその『準備』が気になったオレは、その内容を二人に聞いてみることに。

 しかし何故だ……準備が整ったのなら余裕の顔をするはず。 なのに二人は一気に機嫌が悪くなり、進藤さんは舌打ち、佐々木さんは個室の壁を軽く殴った。



「えっ……どうしたの?」



 オレの問いかけに対し進藤さんは佐々木さんに目配せ。 意図を理解した佐々木さんが「実はさ……」と口を開く。



「本来だったらほら、私らって結構多い……加藤の嫌いなヤンキー仲間がいんじゃん?」


「うん」


「それで、みんなに頼んで数で倒そうって考えだったんだけど、みんな私らが思ってたよりも根性無しで……断られちゃったんだよねー」


「え……ええええ?」



 佐々木さんの話では、あの性欲ゴリラはヤンキーたちの間では結構恐れられているらしく、皆揃って口にしたのは「そんなのやり返されて殺されるに決まってる」。 誰も進藤さん佐々木さん側に立ってくれる人がいなかったため、仕方なしに最終手段……女専用技を使うことにしたとのことだった。



「女専用技?」


「そ。 あえてめっちゃ挑発して、数発殴らせてから乱暴されましたって先生にチクんの。 そしたら証拠もあることだし、アイツも退学確定でしょ?」


「え、わざと殴られるの!? 痛いよ絶対!!」


「そんなの分かってるって。 でもその作戦が一番確実……それにこれは私らの責任でもあるしさ」


「んん?」



 オレが首を傾げていると、進藤さんが「え、なに奈々から何も聞いてないの?」と眉をしかめながら尋ねてくる。



「う、うん。 何も……」


「私らと奈々が今微妙な関係だってことも?」


「うん……、まぁそれは二人の反応から何となく察してたけど、その理由とかは全然分からないかな」


「マジか」


 

 それから進藤さんはその件について話してくれたのだが、オレには少々理解しがたい内容となっていた。

 


「奈々にアイツを紹介したのは私らの友だちなんだけどさ、あんまソイツのこと知らないのに私も楓も『いいんじゃない?』って流して……その結果、奈々は付き合って速攻襲われそうになったからね。 ちょっとでも調べてたらあんなことにはならなかったはずなのに……これは私らにも責任があるでしょ」


「そうだねー。 そのこと謝っても奈々は私らのこと悪くないって言うし……そっから私ら、なんか変な距離感になっちゃったんだよねー」



 ーー……。



 いや、それが全部本当なら、進藤さんたちは黒沢さんも言ってた通り悪くなくね?

 普通誰かの恋人になりそうな人を、そこまで詳しく調べたりとかはしないよな普通。



 オレが心の中で突っ込んでいると、その感情が顔に出ていたのか進藤さんが「加藤、何か言いたいの?」と足を軽く蹴ってくる。



「え」


「だってそう言う顔してんよ。 言ってみ」


「あー……、じゃあ」



 許可も出たのでオレは先ほど思ったことをそのまま口にすることに。

 するとやはり女子……いや、ヤンキーというのは理不尽なものだな。 オレの本音を聞いた進藤さんと佐々木さんは「は?」と揃って口にするとオレを台座式便器の上に押し倒し、各自一撃ずつオレの股間に蹴りを入れて帰ってしまったのだった。

 


「ま、待って進藤さ……佐々木さ……バタリッ」



 ◆◇



 あれから何とか誰にも見つからずに女子トイレから脱出できたオレは、あの二人の行動に苛立ちながら帰宅。

 家に帰ると愛ちゃんマリアは自室で宿題中。 オレはリビングで暇をしていた御白みしろを見つけると、今日ヤンキー女子から受けた理不尽についての愚痴をこぼそうとしたのだが。



『あー、そのことなら見ておったぞ。 災難じゃったのう』


「え」


『しかしそれが女子おなごというもの。 勉強になったじゃろうて』


「は、はああああ!?!? どういうこと……どうして知ってんだ!?!?」



 オレが驚いていると、御白は満足そうに手をパンと鳴らす。

 するとどうだ、一体いつからだろうか。 オレの影から白狐がひょこっと顔を出し、『コーン』と可愛く鳴きながら御白の肩に乗った。



「まさか……憑けてたのか!?」


『はっはっは。 まぁな』


「え、じゃあ今日は愛ちゃんを護ってなかったってこと!?」


『いやいやそうではない。 というよりも良樹、お主はいつから妾の眷属けんぞくが一体のみだと錯覚しておったのじゃ?』


「なん……だと」


『もとよりこの家には世話になっておる身。 事実、良樹に憑けたのは昨日じゃが……愛やマリア、ゆづきは既に憑けて護らせておるわ』



 続けて御白は『じゃから今日は放課後、黒い矢がお主には飛んでこなかったじゃろう?』と満足そうに微笑む。



「ーー……確かに。 それも眷属さんのおかげか」


『そういうことじゃ』


「おおおおお!! 眷属すげえええええ!!!」



 そういや石井さんの命を奪おうとしていたあの生き霊の集合体からも護れてたんだ。 それなら丑の刻参りのような、個人クラスの恨みの力から護るくらい造作もないか。



「ん、でもちょっと待て? なんで御白は今さっき、オレが黒い矢で狙われる時間帯を『放課後以降』に断定してたんだ? 相手を呪うのに時間帯なんて関係ないよな?」


『そうじゃな。 お主の言う通り、相手を呪うのに時間帯は関係ない』


「じゃあ何で……」


『そんなの決まっておろう。 お主に矢を向けていた呪術者の正体は学生なのじゃから』



 ーー……。



 え?



 あまりにも唐突な告白。

 ぶっちゃけ今日はプレゼントを渡すやら、ゴリラに宣戦布告されるやらで犯人探しのことは完全に忘れていたのだが……オレは御白がその呪術者の犯人を知っていることに驚きを隠せないまま「えええええ!?!? そうなのか!?」と宙に浮いていた御白を見上げる。



『うむ』


「ち、ちなみに誰なんだ!? オレの知ってるやつとか……ではないよな!?」


『おいおい良樹、もっとちゃんと周囲を見ないとダメじゃぞ』



 御白はやれやれと首を左右に振りながら小さくため息。

 その後オレが気になっていた……丑の刻参りの犯人が誰なのかを口にしたのだった。



『昼にお主に決闘を申し出た傷だらけの男がおったじゃろう? あやつじゃ』



 傷だらけの男……性欲ゴリラ!?



「え、あいつが!?」


『思い返してみよ。 数多の呪詛返しを受け取ったであろう』


「確かに言われてみれば……あれは喧嘩でできた傷じゃなかったのか」



 まさか数日はかかるであろうと思っていた犯人探しが今日分かってしまうとは。



「じゃあそいつが藁人形を」


『じゃな』


「そっか」

 


 ーー……進藤さん佐々木さんの二人だけに任せることが出来なくなってしまったぜ。


 


お読みいただきましてありがとうございます!!

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