42 オレの苦手なヤンキー女子③
四十二話 オレの苦手なヤンキー女子③
何もないところから急に出現した黒い矢によって肩を貫かれた黒沢さん。
慌てて駆け寄ってみたのだが何故だろう。 確かにあの矢は肩を貫通し、黒沢さん自身も貫かれた箇所を手で押さえていたのだが、血は一切出ておらず……破れているはずの服も傷一つついていない。
「だ、大丈夫!? 看護師さん呼ぼうか!?」
「ーー……っ!! いや……いい、いつものことだから……!」
「いつも!?」
「そ。 いつもこうやって急に体のどこかが痛くなって……、でもお医者さんも何が原因なのか全然分かんないみたいなんだよね」
黒沢さんは「だから看護師さん呼んでも意味ないから、いいわ」と肩を摩りながら大きく深呼吸。
もしかしてさっきの矢……見えてないのか?
「ちょっとごめん」と黒沢さんの背中側を覗いてみるも、貫いていたはずの矢はそこにあらず。
一体あれはなんだったんだ……そんなことを考えながら黒沢さんの肩を見つめていると、なにを勘違いしたというのか。 黒沢さんは「なにジロジロ見てんの?」と自身の胸部を掛け布団で隠しながら、キッとオレを睨みつけてきた。
「え、えええ!? いや、オレは……!」
「どーせあれっしょ? ウチがノーブラだって気づいて見てたんでしょ?」
「ノーブ……!?!? い、いやいや違うから! オレはさっきのが何だったのか考えてただけで……!!」
「あ、今見た」
「ーー……っ!!!」
どうして……どうしてオレがこんな目に合わなければいけないんだ!!!
ていうか、なんだ!? ヤンキーってのは誰かにダル絡みしてないと死んでしまう生き物なのか!?
完全に動揺しているオレを見て面白かったのか、黒沢さんは「まぁいいけどさ。 男子ってみんな女子の胸とかお尻しか見てないの知ってるし」と鼻で笑う。
「なに? 服の下、みたいん?」
「ちがっ……! 別にそんなことは……!」
「ははは、冗談だって」
ちなみに周囲を見渡してみても、黒沢さんを襲いそうな悪霊やそのような類のものは見受けられず。
話も終わったことで「じゃあ、今度こそ帰るよ。 じゃあね」と改めて部屋を出ようとしたのだが、ここで黒沢さんはかなり気になる言葉をオレにかけてきた。
「あ、そうそう。 言い忘れてたけど……もうそろそろここに元カレが来るからさ、見つからないように頑張りなね」
「元カレ? 何で?」
「詳しく話す時間はないけどその元カレ、三年の先輩なんだ。 結構ヤンチャな感じだから……見つかったら加藤、シメられるかも」
「エ」
「あ、ちょうど今メールきた。 今病院着いて……こっち向かうって」
「ーー……!!!」
な、なにいいいいいいい!?!??!?
何だかよく分からんが、このままだとオレの身が危ないということだけは分かった。
「わ、分かった黒沢さん! ありがとう!」
「んー。 ちゃんとプレゼント、ゆりかたちに頼むよー。 渡したらまた報告よろー」
「う、うん!!!」
オレは急いで病室を出ると、ちょうど担任と黒沢父がこちらに戻ってきているところを発見する。
「おお加藤。 楽しく話せたか?」
「ああ、はい。 じゃあ先生、オレもうすぐ予定あるんでそろそろ……」
「そうか、じゃあ俺も少し黒沢と話すから、駐車場で待っててくれ」
「わかりました!」
黒沢父からもお礼を言われながら、オレはそそくさと駐車場へ。
ヤンキー女子に関わったら本当にロクなことがない……そのことを改めて認識しながら担任が戻ってくるのを待っていたのだが。
「ーー……あ」
ここでオレは少し前の黒沢さんとの会話を思い出す。
ていうか『プレゼント渡したら報告よろしく』って……オレ連絡先とか知らないぞ。
もしかして、また来いってこと……なのか?
最悪だああああああああああああああああ!!!!!
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