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35 魅力的な小学校教師③


 三十五話 魅力的な小学校教師③



 日本人形たちの働きで、オレは難なく宝……景品の書かれた紙を十枚ほど手に入れることに成功。

 その後愛ちゃんやマリアたちのもとへ戻ろうとしていたのだが、もしかして一部始終……靴箱からまとまった紙を取り出したところを見られたのか? オレは愛ちゃんたちの引率教師・高槻先生に呼び止められた。



「な、なんでしょう」



 あまり悟られないよう自然を努めて尋ねてみると、高槻先生は「はぁ、はぁ……やっと見つけました」と息を切らしながらオレのもとへ。



 走って探していたのだろうか。

 髪を若干乱した高槻先生はどこか安心したような表情でオレの手を握ってきた。



「ど、どどど、どうしたんですかいきなり」


「実はあれから加藤さんの担任の先生と話し合いをしたんですけど、加藤さんのチーム人数が多くて『宝の地図』が人数分見つからないかも……ということになりまして、私も一緒にチームに加わって探すことになったんです」


「ーー……」



 え?



 詳しく聞いてみると、それを提案したのはウチの担任。

 もとはオレたちのクラスメイトでもあるヤンキー女子・進藤さんと佐々木さんが原因のため、裏での作業は担任が全て受け持つからと高槻さんの背中を押し、『せっかくなら一緒に楽しんで来てください』と送り出されたとのことだった。



「えええ、あの先生が?」


「はい。 最初は私が裏の業務を受け持とうとしたんですけど、小学生の扱いは分からないと言われちゃいまして」


「なるほどです」


「それで加藤さんたちのもとへ向かおうとしてたらこれを渡されたんですが……」



 そう言って高槻先生から差し出されたのは一枚の紙。

 それを受け取り開いてみるとなんてこと……そこには【モバイルバッテリー】という文字が書かれているではないか。



「え、えええ!! これって……」


「はい。 加藤さんたちの先生、本当にユニークですね。 すぐに見つかっては盛り上がりに欠けるからと、一番貢献した生徒さんの机にこっそり入れておこうと計画していたらしいですよ」


「あの先生が……意外です」


「ふふ。 てことなので、これは一旦加藤さんの胸にしまっていただくとして……一緒に宝、探しに行きましょうか」



 高槻先生がニコリと微笑みながら「せっかくですし、私も楽しみますね」とオレに手を差し出す。



「ーー……っ!」



 やはりこれも年上の魔力……いや、魅力なのか。

 ただ笑ってるだけなのに、めちゃくちゃエロ……フェロモンに溢れてるぜ。



「加藤さん?」


「え、あ、はい」



 オレは胸の高鳴りが治らないまま、高槻さんに手を引かれ靴箱を後に。



 なんとなくだけど、担任の意図がちょっとだけ分かるぞ。

 このゲームに高槻先生を貢献させて、少しでも暗くなった心を明るくさせようってことだよな。



 任せろ。 モバイルバッテリー分は貢献するぜ。



 それからオレたちは愛ちゃんたちと合流。

 皆が「あそこにありそー!」と言った先に先回りし、あたかもそこに宝の紙が隠されていたかのように振る舞いながら、日本人形たちから予め受け取っておいた紙を取り出して各自に渡していった。



 ーー……まぁマリアにはバレていたんだけどな。



 ◆◇



「わー、すごい! 色鉛筆セットだ!」

「私のは筆箱!」

「いいなー! 私のはシール詰め合わせだって! 愛ちゃんのは!?」

「私のは水筒!」

「「いいなー!!!」」



 昼休み。 お弁当を食べながら皆が見つけた景品を見せ合い盛り上がっている中、マリアがオレを見上げてくる。



「良樹」


「ん、どうした」


「マリア、今日の良樹、好き」


「え」


「一番はマリアを助けてくれた時の良樹だけど、今日の良樹は二番目に好き」


「ーー……っ!!」



 まったく、サプライズの交流会然り、高槻先生のパンチラ然り、このマリアの感情表現然り……なんだ、今日は驚かされてばかりだな。



 それにしても可愛い……可愛すぎるぞ!!



 オレは緩みそうになる口を必死に耐えながら「そ、そうか」と返すのが精一杯。 その後は無言で視線を泳がせていたのだが、そんなオレの様子がおかしかったのかマリアが不思議そうに首を傾げてくる。



「良樹?」


「え、あっ……」


「愛もそうだけど、いつも、感謝してる」


「!!!!!」



 だめだああああああ!!! 天使すぎるーーーーー!!!!!



 こんなに真っ直ぐな気持ちを伝えられ慣れていないオレは、マリアのその言葉に激しく感動。

 愛ちゃんの巫女応援計画もそうなのだが、マリアも立派な退魔師? シスターになれるよう、より一層の力になることを心に決めたのだった。



「マリア、今度の休みに愛ちゃんと三人でそこまで危険じゃない心霊スポットにでも行くか。 あそこにはいろんな霊がいる……霊力はオレが供給してやるから、好きなだけ除霊して……経験を積もう」


「うん、嬉しい。 マリア、楽しみ」



 マリアにもカラクリを教えたことで、宝探しの小細工はかなりスムーズに。

 宝探しゲームは大盛り上がりを見せたまま時間になり、これは当たり前の結果……なのかもしれないが、オレたちのチームが一番宝を発見できたチームとして表彰され幕を閉じた。

 そしてこれはその日の放課後、靴箱でのこと。



「ーー……ん、なんだ?」



 上履きから履き替えようと革靴かわぐつと取り出すと、靴の中に一枚の紙を発見。


 もしかして景品の書かれた紙を取り忘れていたのだろうかと感じながらも、中を開いて目を通す。

 そこには思ってもみなかった内容が書かれていた。



 ===



 加藤さん



 本日はありがとうございました。

 加藤さんのおかげで、無事にイベントを終えることが出来ました。

 今度、お礼させてください。 ご飯などいかかでしょうか。


 お時間がある日があれば、教えて頂けると嬉しいです。

 電話番号 xxxxxx



 高槻



 ===



「ウェエエエエエエエエエエエエエエエ!?!?!?!?」



 こ、これは……デートのお誘いではないのか!?!?

 人生で初めての誘われたぜ……ゴクリ!!!



 オレの脳内にこの手紙の差出人……高槻先生のパンツや笑顔が蘇ってくる。

 


「おお、おおおおおおおおお!!!!」



 これは、今夜早速デート術などを調べねば!!!

 年上女性でしかも先生……最高だぜえええええええええええ!!!!!




お読みいただきましてありがとうございます!!!

感想や評価、ブクマレビューいいね等、励みになりますお待ちしておりますー!!!

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