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魔法人  作者: ケシゴム
一章
12/69

始まり

“ピリリリッ! ピリリリッ!”


 その日の朝、前日の当番で熟睡していた霧崎の電話が鳴った。


「もしもしっ! もしもしっ!」


 突然の着信音に、咄嗟に電話に出た霧崎には連絡相手を確認する暇はなかったが、こちらの都合も考えず受話器先で騒ぐ声に、直ぐに相手が分かった。


「もしもーしっ!」

「なんだようるせぇな。そんなに叫ばなくても聞こえてる」

「あっ! 霧崎かっ!」

「そうだ。それが分かってて掛けて来たんだろ?」


 電話の相手は新垣優樹だった。彼とは小学校からの幼馴染で、お互いの事を時にライバルと思い、親友と思うほどの仲だった。


「いや実は大変な事になっててよ! お前今仕事中か!」

「仕事中ならこの電話には出ない。それは知ってるだろ?」

「あっ! そうだった!」


 優樹には、勤務中私用の携帯には一切出ないと口を酸っぱくするほど伝えてあった。しかしいつもふざけているような優樹を知る霧崎には、この慌て具合もそれを忘れているのも全て演技に聞こえた。


「それよりもなんだ? 今日はパチンコなんて付き合わないぞ?」


 妹好きで遊び好き。その上こちらの休日を常に探り、隙あらば遊びに付き合わせ振り回すとんでもない悪党。だけど正義感が強く賢く、気遣い上手の真面目で、勘が良く時に天啓とも呼べる閃きを見せる頼れる奴。霧崎は優樹の事をそう思っていた。

 だからこそ、大切な睡眠時間をいつものように奪う悪ふざけにも霧崎は怒りを覚えなかった。


「ちげぇよ! そんな事より今すぐ来てくれ……じゃなかった! 今から迎えに行くからすぐ準備しといてくれ!」

「はぁ!? ちょっと待て新垣!?」


 いつもはなんだかんだ言ってこちらの都合を聞き、断るとすんなり引き下がる優樹だが、今日に限って強引な誘いには、さすがにムッと来た。だが……


「お前何言って……」

「死体だよ!」

「はぁ?」

「死体見つけたんだよ!」

「はぁ? お前何言ってんだ?」


 優樹は悪質な冗談や下ネタはほとんど言わない。そんな優樹からの死体発言には、明らかな異変を感じた。


「たぶんこの間ニュースでやってた金盗んでいなくなったっていうパチンコ屋の店長とマネージャーだ!」

「お前それは本当か!?」


 それを聞いて霧崎は一気に目が覚め、布団から飛び起きた。

 霧崎は交番勤務の警察官だった。そのため直接は関わっていないものの当然この事件は知っており、逃亡と聞いていただけに優樹からの報告には驚きを隠せなかった。


「ああ! 多分今……」

「お前今どこにいるんだ!」

「そのパチンコ屋の駐車場だよ! とにかく今から……」

「いい! 俺が今からそっちに行く! だからお前は警察に電話して騒ぎにならないように静かにしていろ!」


 そう言って電話を切ろうとした時だった。耳元から離した携帯からの優樹の大きな声に手を止めた。


「ちょっと待て霧崎! 警察へはお前が来てから連絡する!」

「はぁ!? お前何……」

「今警察呼んでも駄目なんだ! 今警察呼んでも見えないんだよ!」

「何を言ってんだお前!?」

「だから先ず来てくれ! 場所は○○の駐車場のリサイクルセンターある方の一番奥だ! 俺はそれまで砂かペンキ用意しておくから!」


 賢い優樹だからこそ、霧崎には時たま真意が伝わらない事があった。だがその全ては後になって納得がいくものばかりで、例え嘘だとしても霧崎は直接自分の目で確かめる方が早いと思った。


「分かった、すぐ行く!」

「頼む!」


 そう言うと電話は向こうから切れた。

 その後身支度をしながら冷静さを取り戻した霧崎は、パチンコ屋というワードから徐々に悪質ないたずらだと思うようになっていったが、急かすように優樹が電話を掛けてくる様子に、疑心は確信へと変って行った。


 音声で読み上げてくれる人が変わりました。前の人より人間のように上手に読んでくれて嬉しいです。ですが今まで彼女と二人三脚で頑張って来ただけに少し寂しいです。次の就職先でも頑張ってね!

 P,S 本章は未完の為しばらく休止致します。

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