インビジブル
「え……」
一日が終わり、今日も自室で魔法陣を創作していた舞は、突然目の前から消えたノートに呆然とした。
「……え? えっ!?」
舞はオカルトが好きで、ファンタジーの世界に憧れていた。そしていつかは自身が描いた魔法陣で魔法を扱えるようになりたいと思う少し痛い女子高生だった。
「…………」
しばらく突然消失したノートに何が起きたのか分からず硬直していた舞は、我に返るとコンタクトレンズを探すように机の上に手を走らせた。
「あっ!」
そしてすぐさま感じた何もない机の上での奇妙な感覚に驚きの声を上げ、恐れるように手を引っ込めた。
「な、何!? 何なのこれ!?」
不可思議な経験に舞は確かに恐怖を感じていた。しかしそれ以上に、自身が描いた魔法陣が魔法として発現したのではないかという確信的な期待が上回っていた。
そんな思いが再び手を伸ばさせる。
「あ……」
今度は探すためではなく、そこにノートがあると思い手を伸ばした舞は再び呆然とする。しかしそこには先ほどの恐怖は無かった。ノートに触れようと手を伸ばすと、魔法陣が描かれたノートが出現したからだ。
“やった! やった!”
魔法陣の効果や原理は一切分からない舞だったが、魔法と呼ぶに相応しい現象に心躍らずにはいられなかった。
とある街のとある高校。ここにオカルト好きのある少女がいた。彼女の名前は新垣舞。今年高校に入ったばかりの一年生。性格は活発だが、人目を気にして合わせてしまうため周りからは大人しい少女と思われていた。アニメやゲームの影響でファンタジーに興味を持ち、密かにオリジナルの詠唱や魔法陣などを独自に創作する隠れ中二病と言われる空想家だった。
そんな舞はある日、偶然物体の上に描くとその物を透明にするという魔法陣を発見する。そしてこの魔法陣をInvisible(インビジブル 不可視的)と名付けた。
この発見により舞の人生が少しずつ歪み始めて行く……




