第492話・降臨
ご心配おかけしました!
頂いたお言葉は全て拝見し、元気をもらいました。本当にありがとうございます。
ボチボチ頑張ります。
それでは引き続き、物語をお楽しみください
引き金に指を当てながら、四条は冷静に問う。
アイアンサイトの向こうでエンデュミオン?は、糸人形のように起き上がった。
「久しいな、生の空気は……余が寝てから何年経ったかのう?」
響いたのは妖艶な女性の声。
ゆっくりと、エンデュミオン?の頭上に天使の輪が浮き上がった。
執行者のマスターだからわかる。
この魔力の質――――明らかに異常。
言うならば、”この世の理を外れた存在”。
まさか、こいつが――――
「破壊神……イヴ!?」
エンデュミオン?の顔が歪に笑った。
――――ギィンッ――――!!!!
「うあっ!!」
四条の頭に、激痛と猛烈な眩暈が襲った。
さっき彼女がやった体内への魔力注入を、数百倍の規模でやられるイメージ。
本来なら呪いを防ぐベルセリオンの加護すら、容易に貫通されている。
とても技研の魔道具で拘束している状態だとは思えなかった。
「……頭が高いな」
「おえっ…………! がはっ!!」
涙目でえづきながら、反射で膝をつかされる四条。
拒絶反応でショック状態に陥り、全身から汗が止まらない。
ただ魔力を向けられただけでこれだ。
あまりにも規格外、まさに次元が違う。
だがこれで良い、自分の役目は終わった――――!!
「死ぬ覚悟で横に飛びな」
背後から声が届く。
四条は最後の力を振り絞り、足裏で床を蹴った。
勢いあまって壁に激突したが、それは正解。
――――キンッ――――
鋼鉄製の扉ごと、コンクリート製の壁が格子状に切り刻まれた。
不可視の斬撃はエンデュミオン?に直撃すると、そのまま部屋ごと奥に吹っ飛ばしてしまう。
「思ってたより早く胴元が来たな、大丈夫かい? 四条2曹」
――――錠前勉、現着。
「衛生、すぐに担架を」
崩壊した尋問部屋に、錠前と完全武装した空挺レンジャーが駆けつける。
床に倒れこんだ四条を、軽く魔眼で診断した。
――――外傷は無し、ただ魔力を当てられただけか。
ショック症状で意識朦朧の四条を、隊員たちが担ぎ上げる。
彼女には呪詛返しの機能として、執行者の強力な加護が付いていた。
それが、ただ魔力を向けられただけで容易く突破された。
自衛官たちが四条を担架に乗せようとした時だ。
「みんな、下がって」
煙が晴れると、奥からはエンデュミオン?が歩いてきた。
明らかに別人、そもそも錠前の攻撃を受けて無事な方がおかしい。
バフ付き四条を一撃でダウンさせた魔力が向けられるも、錠前は不敵な笑みを崩さない。
次元防壁を拡張させ、背後の四条と自衛官たちを守る。
魔力量、出力共に互角。
「初めましてかな? ”破壊神イヴ”」
存在だけは知っていた。
上海で大天使たちがベヒーモスの魂を持ち去ったことから、いずれ何らかの形で会うだろうと。
ここで四条に食いついてくれたのは、嬉しい誤算だった。
「余を知っているのか、人間――――いや」
イヴは不気味に笑うと、錠前の正体を一瞬で看破した。
「アノマリーよ、貴様だな? リヴァイアサンを食ったという現代最強の自衛官というのは」
「破壊神に覚えられているとは光栄だね、そういう君は……それ、憑依でもしてんの?」
「まぁ似たようなものだ、この男に転生特典として体を与えたのは余だからな。完全復活の前段階として肉体の制御権を返してもらったのさ」
背後で隊員たちが、四条を看病している。
今錠前から離れれば、あの魔力に当てられて諸共ダウンしてしまう。
何よりあの斬撃を受けて軽傷、小銃で倒せる相手でないのは明白だった。
「まだ本来の力の1000分の1しか出せないが、まぁ……まずは準備運動に貴様から殺すかな? 錠前勉」
「僕も本番前に肩慣らしできて嬉しいよ、なんたって僕――――」
首を鳴らした錠前は、取っていたサングラスを掛ける。
「最強だから」




