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星屑のシャングリラ  作者: 折笠かおる
†chapter22 決戦のクロスロード
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†chapter22 決戦のクロスロード06

 しばしの睨み合いが続くスクランブル交差点。ぐるぐると回転する駅前の青いネオンが、2人の姿を映しては消えていった。


 ギャラリーも静まり返る中、膠着こうちゃく状態に動きがあった。腕を組んで立っている鳴瀬が、ゆっくりと宙に浮かんだのだ。己の体をサイコキネシスで浮かばせているようだ。


 「スターイエローを使わねぇのか……。残念だが、俺にとっては楽な喧嘩になりそうだな。だったら、とっとと終わらせよう」

 目を光らせる鳴瀬。すると拓人の足元のアスファルトが地響きと共に大きくひび割れた。


 すぐにその場を離れる拓人。割れた舗装材の破片が重力を無視して浮かび、鳴瀬の足元に集まっていく。一睨みで地面を破壊し、自分自身も宙を移動させることが出来る。これが鳴瀬のサイコキネシスの本域か?


 離れて見ている上条の腕にも鳥肌が立った。鳴瀬の能力は、こちらが想像している以上に高いのかもしれない。八神透の『テレキネシス』と同じように考えていたら、簡単にやられてしまうだろう。


 「行けっ!」

 鳴瀬が腕を伸ばすと、足元に集まっていた舗装材の破片が流星の如く斜めに落ちていった。だが標的の拓人は、風を起こし自らその舗装剤の破片に突っ込んでいく。


 あいつ、正気か!?

 端で見ている上条は始めそう思ったが、拓人は上昇気流で破片を弾き飛ばしながら舞い上がると、腕を伸ばした鳴瀬の懐に入り込んだ。歯を食いしばり、目を大きく見開く鳴瀬。


 その無防備な腹部に拓人の肘鉄が入る。続けざま回し蹴りを食らわせようとしたようだが、それより早く鳴瀬が両手を組んでダブルスレッジハンマーを背中に叩きつけた。意識が飛び、そのまま落下していく拓人。


 「拓人くんっ!!」

 その時、横にいる雫が叫んだ。


 地面に激突するかと思われた拓人だが、その寸前で意識を何とか取り戻し、逆風と共に空中で静止する。間一髪だ。そしてそのまま、鳴瀬のいる上空へと勢いよく飛んでいった。綱渡りのようなぎりぎりの戦闘。


 拓人と鳴瀬の2人は、再び空中で激しい戦闘を繰り広げた。ギャラリーは皆、首を上げてその戦いの成り行きを見守っていたが、上条はその時何故か、雫ちゃんも「拓人」って下の名前で呼ぶんやなぁ、などということをぼんやりと考えていた。本当にどうでもいいことだ。


 血しぶきが高い位置から舞い落ち、素手で人を殴る鈍い音が上空から聞こえてくる。

 空中戦はしばらく続いたが、やがて攻撃を受けた鳴瀬が地上に落ちてきた。


 「おおおおっ!!!」と、どよめく歓声。


 だが体を回転させうまく地面に着地した鳴瀬は、その時の衝撃で地面を割ると、足元の舗装材の破片を飛礫つぶての如く上空に飛ばした。追い打ちをかけようと下降していた拓人は、まんまとその飛礫の餌食になってしまう。


 無数の舗装材の欠片が、対向してくる拓人の体に次々と突き刺さる。鳴瀬は突き上げていた右腕を、一気に降り下げた。すると、上空に飛び上がっていた舗装材の破片が、今度は雨のように降り注いだ。


 往復する飛礫を食らい、今度は拓人が地面に落ちてくる。下で待ち受ける鳴瀬は、拳を握り強く身構えた。

 落下する拓人だが意識はあるようで、血だらけの顔で下を睨み、そして拳を強く握った。互いに狙う、クロスカウンター。だがそうかと思ったら、急に拓人は空中で体勢を変え右足を高く振り上げた。あれは踵落としの構え。


 「喰らえ、『山颪やまおろし』っ!!!」

 下降気流と共に右足を振り下ろす拓人。だが鳴瀬も構わずに、右の拳を振り上げる。


 恐ろしく鈍い音が交差点に鳴り響いた。鳴瀬の拳は拓人の臀部を捉えていたが、拓人の右の踵もまた鳴瀬の頭頂部に命中していた。互いに攻撃を受けたわけだが、やはり鳴瀬の方がダメージが深い。


 「『渦気流うずきりゅう』!!」

 ここで一気に勝負を決めるつもりか、拓人は体の周りに爆発的な上昇気流を生み出した。風の渦に呑まれた鳴瀬は、上空に投げ飛ばされる。


 そして気流を抑えた拓人は、宙に浮かぶ鳴瀬を見上げ震える足で跳び上がった。

 「これで終わりだっ!! 『悪禅師あくぜんじの風』!!」


 宙で体を後転させ、拓人は体全体で巨大な鎌風を放った。それは八神透を倒した時に使った技でもある。

 空中に吹き飛ばされ身動きの取ることの出来ない鳴瀬の元に、鋭利な風が襲い掛かる。


 皮をえぐる様なズバッという音が鳴ると、鳴瀬は肩から腹にかけて派手に出血した。真っ赤な鮮血と共に、体を反らせた鳴瀬が降ってくる。


 これはかなりの致命傷だ。決着は着いたか……。

 上条はその時思った。勿論、当の拓人もそう思っていただろう。


 ドスッと音を立て、鳴瀬が地面に落ちてくる。だが彼は「いってーな……」と呟くと、何事もなかったかのようにすぐに立ち上がった。やはりこいつは化け物か……。


 「……これは効いたな。だが同じ技は喰らわない。これがお前の切り札なら、この勝負俺の勝ちだ!」

 苦々しい顔をした拓人に向かって、鳴瀬は挑発的にそう宣言した。

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