表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星屑のシャングリラ  作者: 折笠かおる
†chapter21 12月のホーリーウォー
277/294

†chapter21 12月のホーリーウォー27

 「結局はこの3チームだけか……。これじゃあ、そうそうに決着がつきそうだな」

 八神は辺りに視線を送ると、どこかつまらなそうに言葉を吐き捨てた。


 VOLTボルトの代表は八神透と、MC.BOOエムシーブー。彼らの実力はレジェンド級だと聞いているが、向こうはスターダストとスコーピオンが同盟関係を結んだことを恐らく知らないはず。そこを上手く利用すれば、こちらにも勝算は充分にあるだろう。


 「とっとと始めよう。お前ら全員血祭りにあげてやる」

 スコーピオンの東は、その場にいる全員に対して宣戦布告する。これは恐らくフリだろう。拓人もそれに乗っかり、言葉を返す。

 「ああ、やれるもんならやってみやがれ。最後に勝つのはスターダストだ」


 八神はその場で振り返り、己の座っていたディレクターズチェアーを豪快に蹴り飛ばした。椅子はカンカンッと音を立てて、ギャラリーのいるところまで転がっていく。

 「全員、準備万端のようだな。ここから大喧嘩の始まりだっ!」

 その宣言と同時に、バスターミナルを落ちている空き缶や紙屑などの全てのごみが、2メートル程の高さに浮かんだ。八神透の持つ『テレキネシス』の能力だ。


 宙に浮くごみ屑が、こちらに向かって次々と飛んでくる。

 「子供騙しだっ!!」

 拓人は体の周りに旋風を起こす。近づいてきたごみ屑は、全て上空に巻き上げ吹き飛ばしてみせた。その隙にスコーピオンの梶ヶ谷と東が、八神に襲いかかっていく。


 そうなるとスターダストが相手するのはMC.BOOエムシーブーということになる……。

 当然向こうも、はなから我々を敵視しているので、当然こちらを睨みつけている。


 「こうなったらしゃあない。拓人、俺らはMC.BOO(エムシーブーを潰しにいくで」

 小声で言う上条の言葉に、拓人は小さく頷く。


 「ああ、あいつの能力にだけ気をつければいいんだろ」

 「荷電粒子砲かでんりゅうしほうやな。あれを喰らったらそれでジ・エンドや。けど、あの図体で基礎戦闘力も高いらしいから油断はできんで」

 「ちっ、キョージンや大関夏男と同じタイプかよ」


 BOOブーは己の出っ張った腹を手で叩くと、特攻を仕掛けてきた。

 「来るでっ!!」

 上条は突進してくるBOOブーひらりと横にかわすと、すれ違いざま手にした六尺棒で相手の胸を強く打った。カウンターで決まる強烈な一撃。


 しかしBOOブーは普通に振り返ると、問答無用に腕をスイングし、上条の体を軽く吹き飛ばした。上条の攻撃がまるで効いてない。


 取り乱しているのが伝わってしまったのか、今度は拓人がロックオンされた。これはまずい。

 目が合うなり、奴は猪の如く一直線に走ってくる。BOOブーの名前は伊達じゃない。


 拓人は風の勢いで高く跳び上がり攻撃を避けると、そのまま落下して踵落としを喰らわした。頭部は外したが、BOOブーの右肩に拓人の足がめり込む。


 膝を曲げて着地の後、すぐにBOOブーの顔を見上げると、逆に拓人の顔が青くなった。そこには平然とした顔で立っているBOOブーの姿がある。やっぱりまるで効いてない。


 ブンッという風の音と共に、胸の中心に衝撃を受ける。目にも止まらぬ速さの正拳を喰らった拓人は、そのまま吹き飛びゴロゴロと地面を転がった。


 「拓人っ! BOOブーはえげつない皮下脂肪のせいで打撃がほぼ通用しないみたいや!」

 横から声を上げる上条。彼はこの戦闘中に、『暴露』の能力でBOOブーの攻略法を掴んだようだ。


 「じゃあ、どうすればいい。逆に弱点はないのか!?」

 「BOOブーの弱点はピュアや!」

 「えっ! ピュア!?」

 その素っ頓狂な回答に、拓人だけでなく八神と戦っている梶ヶ谷と東も動きが止まる。


 「あいつの心は滅茶苦茶ピュアやねん! そこを逆手に取れば、何か勝てる気がせえへんか?」

 「全くしねぇ! 何をどう逆手に取るんだよ!」


 そんな無駄なやり取りを制するように、BOOブーは再び特攻を仕掛けてきた。拓人と上条は左右に跳び、その攻撃をどうにかかわす。


 「あかん。打撃が通用しないということは俺はもう役立たずや。あとは拓人が何とかしてくれ」

 「丸投げはやめろよ!」

 拓人が焦りを感じつつ前に目を向けると、BOOブーは前傾姿勢で構え、前に向かって片手を突き出していた。これはまさかあの技か?


 「チャージ完了、ランクJ。行くぜ、荷電粒子砲、プチョヘンザッ!!」

 BOOブーの手のひらから真っすぐに飛んでくる怪光線。目が眩む神々しさ。拓人と上条は紙一重でそれを避けたのだがその威力は凄まじく、地面にぶつかった時の衝撃で、2人は宙に吹き飛ばされた。上条はそのまま地面に叩きつけられたが、拓人は風の力で上空に留まり体勢を整えた。


 「くそっ! だったらこっちも中距離攻撃だ。喰らえ、『鎌鼬かまいたち』!!」

 宙に浮く拓人が両腕を前に振ると、刃物のように鋭利な風がBOOブーはの全身を斬り刻んだ。頬に出来た複数の傷口から鮮血が垂れる。


 これは多少効果があるようだ。

 手応えを感じつつ地面に着地すると、不意にBOOブーが怪光線を放ってきた。頬の横に熱線のようなものがかすり、拓人の顔が一気に青褪める。


 「ムカつくんだよ、風斬り小僧。俺の必殺、技は無尽蔵! 喰らったお前の顔、マジ友蔵!!」

 よくわからないラップで、ディスりまくってくるBOOブー。ただ極度の緊張状態で、拓人の耳には全く届いていなかった。


 「俺の無慈悲ないかずちで、骨までドロドロに溶かしてやるぜっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ