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星屑のシャングリラ  作者: 折笠かおる
†chapter21 12月のホーリーウォー
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†chapter21 12月のホーリーウォー15

 拓人と雫の2人は、6名のVOLTボルトメンバーを相手に戦闘を繰り広げている。

 彼らの中には元瑠撞腑唖々ルシュファーの頭、氏家時生うじいえときおを筆頭に、複数の亜種が紛れているようだ。亜種の放つ独特の波動が、狭い路地裏に怪しく反響する。


 まずは圧倒的不利なこの人数差をどうにかしなければならない。

 拓人と雫は何かを示し合わせるわけでもなく、互いに亜種ではないと思われる者から先にそれぞれ薙ぎ倒していった。1人づつ倒し、残るは4名。


 「後の人達は皆、亜種みたいね」

 隣に駆け寄って来た雫が、小声で囁く。現在残っているのは『鬼人きじん』の能力を持つ氏家、『当て身喰い』の能力を持つ室井、そしてオートバイゴーグルを首にぶら下げた腕の太い男と、紫色のニット帽を被った細みの男。


 「氏家の奴はまだ傍観してるみたいだな。あの3人はどうする?」

 拓人が聞くと、雫は3人のことを見渡した。

 「室井さんは打撃が効かないから厄介かも……」


 「スタンバトンの電撃なら効くんじゃない?」

 拓人は答えるが、それに対し雫は即座に首を横に振る。


 「駄目」

 「なんで?」

 「今、電池切れだから」

 「うそっ!?」


 拓人が驚いたところで、ゴーグルの男がこちらの足元に向かって腕を横に薙ぎ払ってきた。跳び上がり避けることが出来たが、思いの外腕が長いように感じた。あれは一体?


 「何をごちゃごちゃ話してんだ? こっからが亜種の喧嘩だ、バカヤローッ!!」

 ゴーグルの男は腕まくりをする。彼の肘の先が何やら鉄パイプのようなものに変化してしまっていた。


 「何だあの変な能力は?」

 「あれは『アームストロング』っていう腕を武器化する能力。特殊警棒を持っている私が相手したほうが良さそう。山田君は桐生きりゅうさんの相手をして」

 雫はニット帽の男に視線を向ける。


 「桐生? あの細い奴か……。あいつはどんな能力持ってんだ?」

 そう聞いた矢先に、ゴーグルの男の鉄パイプが再び音を立てて襲いかかってきた。

 「だから、ごちゃごちゃ話すなっつってんだろっ!!」


 攻撃を避けつつ、そのまま雫とゴーグル男は戦闘に突入する。結局わからなかった桐生という名のニット帽男の能力。まあいい。戦っているうちに嫌でも理解するだろう。


 先手必勝とばかりに前に跳び込む拓人。風の勢いで回転すると、桐生に対してバックナックルを放った。その拳は完全に横っ面を捕らえたと思ったのだが、ぶつかる瞬間バチッという電気が走るような音が鳴ると、桐生はいつの間にか数メートル後方へと移動していた。


 「『風斬り』と謳われるだけあって疾風の如き速さですね。しかし私にとってはその疾風もそよ風にしか感じられないかな」

 そしてまたもバチッと音が鳴り火花が弾ける。同時に桐生が突然目の前に出現し、強烈なパンチを浴びせてきた。訳もわからず吹き飛ぶ拓人。


 「ハハハッ。流石の風斬りも、桐生の『電光石火』の速度には遠く及ばないか」

 氏家がそう言って笑うと、桐生は眉を寄せながら胸の前で腕を組んだ。


 「時生くん、私の能力を勝手にバラさないでくれるかな」

 「すまん、すまん。けど、バレて困るようなものでもないだろ」

 「違いますよ。私が自分で言いたかったんですよ。私の能力は電光石火。この速度に着いてこれるかな? みたいな感じで」

 「ああ、そういうことか……」


 無駄なやり取りを続ける氏家と桐生。しかしこれは反撃のチャンスでもある。一方的にやられている場合じゃない。

 上昇気流を起こしノーモーションで起き上がると、桐生の死角になっている背後から先程の倍の速度で一気に距離を詰めた。


 「喰らえっ!!」

 勢いそのままに飛び蹴りを放つ拓人。避ける隙を与えずこれは直撃したかと思われたが、その直前、走ってきた室井が間に入り込み、攻撃は喰いとめられてしまった。室井の厚い胸板は、大木でも蹴ったかの如く手応えがない。


 「俺も居ることを忘れるなよ」

 室井は蹴られた胸部を手で払い、付いた砂を落とした。当然、こいつも桐生との勝負が着くの待っていてくれはしない。氏家は手を出してこないとはいえ、2対3という不利な状況は続いている。


 雫の戦っている方向から、金属のぶつかり合う音が響く。彼女ばかりに負担をかけてはいられない。こうなったら俺が1人で、桐生と室井を倒してやろうじゃないか。


 激しく鳴る戦闘の音を横に、拓人は対照的な体型をした2人を交互に睨みつけた。

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