†chapter21 12月のホーリーウォー05
「1、2、3、4人か。こっちも4人やし丁度ええやん」
階段室から屋上に現れた男たちを1人づつ指を差して数える上条。ここに居たことを乾と東に見つかってしまったので、何やらどちらかのチームの刺客が送りこまれて来たようだ。見たことのない奴らなので、スコーピオンなのかVOLTなのか判別はつかない。
「お前らスターダストとマッドクルー! こんなことで何してる?」
4人組の1人が声を荒げ叫んだ。ここに居たこともそうだが、妙な組み合わせなのも驚いているようだ。それはこちらも同意する。
「おいおい、テメーら如きが兄貴たちの相手になるわけねぇだろうが。来るなら幹部クラスでも連れてこいや」
マッドクルーのキャップ男がそう威嚇する。隣にいるタオル巻き男も黙ったまま小さく頷く。
「チンピラグループの三下が、偉そうな口聞くなっ!!」
それを合図に4人組が襲いかかって来た。狙いはマッドクルーの2人。まずは4人掛かりで2人を倒してしまうという作戦か?
だがそれを黙ってみている拓人ではない。体の周りに風を纏わせると、前に向かって強く地面を蹴った。いや。蹴ろうとしたのだが、その直前に前にいるキャップ男が右手を広げ、拓人のことを制した。
「兄貴、ここは俺らに任せてください!」
「……大丈夫なのか?」
拓人のその問いには、キャップ男と背中合わせになっているタオル巻き男が振り返り、その得意気な顔をもって返答とした。「任せろ」そんな言葉を体現したかのようなドヤ顔だ。
少し不安が残るが上条に目を向けると、「まあ、マッドクルーも喧嘩でのし上がってきたグループやし平気やろ」と悠長なことを言ってきた。そうは言っても、2対4だぞ。
背中合わせになったマッドクルーの2人を、4人組が取り囲む。そしてその内の1人が合図を送ると、4人は一斉にマッドクルーの2人に襲いかかった。しかし、案の定袋叩きの状態。だが相手の手を緩んだ隙を突いたキャップ男が、攻撃の手を掴み勢いよく地面に押し倒した。反対にいるタオル巻き男も、いつの間にかカウンターで1人を殴り倒している。風向きが変わったか?
「その程度の実力で、よく兄貴たちに喧嘩売れたな?」
無防備な歩き方で、ゆっくり敵に近づくキャップ男。しかし相手は及び腰で、先程のような覇気もない。
「テメーらこそ、俺らに喧嘩売ってどうなると……、うっ!!」
言葉の途中でボディーブローを喰らわされた相手の男は、膝が崩れ一撃で地面に伏してしまった。キャップ男、中々強い。
「お前らに喧嘩売ったら、一体どうなるんだ?」
残った1人に対し、更に煽りを入れるキャップ男。隣のタオル巻き男も無言で頷く。
「すぐに後悔することになる!」
捨て台詞を残すと、残った1人は階段室に走りそこから逃走してしまった。結局あいつらは、どっちのチームだったんだ?
キャップ男は表情を崩すと、タオル巻き男と共に振り返った。
「どうします、兄貴たち?」
「そうやなぁ。また他の奴らに来られても面倒やし、拓人の『疾風』の能力でビルの屋上を渡り歩いくいうのはどうやろ?」
他人事のようにそんなことを言ってくる上条。拓人はそれを想像しただけで足の裏がぞわぞわしてきた。絶対無理だから。
「チームまでバレたのに逃げられねぇだろ! 自分で作った看板に泥塗るつもりか?」
「……せやなぁ」
面倒臭そうな調子で重い腰を上げる上条。拓人も彼の後に続き階段室に向かう。
「それにしてもマッドクルーって、本当に強かったんだな」
「あーあ。ヒデーや、拓人の兄貴。俺らが強いっつうの全然信じてくれてなかったんすね」
非難に満ちた表情でそう訴えるキャップ男。横のタオル巻き男は相変わらずドヤ顔を続けている。止めろ、その腹立つ顔。
「マッドクルーは普通に強いで。手ぇ出すチームも、そうおらんのちゃうかな?」
前を歩く上条はそう言うが、キャップ男は「いやいや」と否定する。
「俺らに手ぇ出してこないのは、リーダーがやばすぎるからっすよ。BOOさんの強さは兵器クラスっすからね」
「兵器クラス?」
拓人の頭に疑問符が浮かぶ一方、上条はため息と共に「せやったなぁ……」と呟いた。マッドクルーのリーダーって、どんな奴なんだ? そんな奴に狙われた裕太が哀れ過ぎる。
階段を下りながら心の中で静かに合掌する拓人なのであった。




