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幼い少女の冒険譚14【家族譚】


――沈む


 暗闇の中に堕ちたマインは、うすらと目を開けた。


「ここは……」


 深海のように見える世界に、マインはただ呆然と遥か先を見つめた。

 暗く、先の方に一つだけ白い光が見える。


「あれは……」


 少しずつ近づく白い光、そして背後から迫る赤い光に飲み込まれる。


「エデン……なのか……?」

『グボォォ!』


 体が赤く染まり、泥沼に沈み始めるマインに手を差し伸べるのは、ずっと共に過ごしてきたエデン。

 エデンは表情を変えることが出来ない――

 それでもエデンが笑っているように見えた。


『ガァァァ!!!』

「くっ……!」


 直後、背後にいる何かにマインは強く引っ張られどんどん体を沈める。


『グボォォ!!』


 一層赤く染めるマインの体を見てエデンは必死になって食らいつくも、距離は離れるばかり。

 マインもまた身を任せるように沈む、それでも好きな人(かぞく)達は諦めない――



「マイン! マイン!!」

「……リナ……か?」


 何度も聞いてきたリナの言葉に、マインは大きく目を開く。


「俺は……何してたんだ……?」


 今もこちらに来ようとするエデン、泣きながらどこかで呼び続けてくれるリナ。

 マインは意識を少しづつはっきりとさせ、


 俺は……。


 と、答えを求めに這い上がろうと藻掻く。


「俺は……俺は……!」


 覚醒する意識の中で流れ込む自らの夢――

 皆を助けて、モンスターと仲良く暮らせる世界を作る……。

 無謀で誰もが諦めたその夢を、


 一人の青年は絶対にやり遂げる。


 その気持ちを誰よりも理解していたリナとエデンもまた、諦めない。


「カエッテ……キテ!」

「マイン! 私達がいる! 1人じゃないんだよ!」


「………っ」


 マインの背中と心臓がズキズキと痛む、まるで化け物の手で貫かれているかのように――


 それでも青年は前を向く――


「ガンドレアク……。お前が俺から出ていかないなら俺がお前と死んでやる――」

『…………?』


 飲み返したはずの人間のその力強い言葉に、ガンドレアクは光を揺らしながら動揺する。


「教えてやるよ……。お前が支配した人間の本当の覚悟ってやつを――」


 その言葉と共にちぎれるように痛む体を無理に引き剥がしたマインは、ありがとな、と微笑みながらエデンの光に手を伸ばす――




「俺は二度と負けねぇ、だから俺に力を貸してくれ――エデン。そして一緒に戦ってくれ――リナ」



 これは青年の冒険譚では無い、二人と一匹のモンスターによる家族譚――



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