オムライス
「2人とも晩御飯出来たよー」
「だってさモモ」
「……うん」
夕方――
落ち込みが止まらないモモを元気づけようと、エイリーンはフランに頼み、モモが一番好きなオムライスを作って貰っていた。
「さすがフランだなぁ! このオムライスは天下一品だぜ! ほら早く食わねぇと冷めちまうぞ! うっめぇ!!」
「そうだよモモ、早く食べて! 今日はチーズも入れたんだから!」
目を腫らすモモを少しでも元気づけようと、満面の笑みでいつも通り接するキールとフラン。その二人の優しさに皆ありがとう、と笑うモモは可愛らしくもあり、何処か妹感を感じさせるものだった。
「さてさて、私の分は……って! モモの分にチキンライス使いすぎて私のやつほとんど卵焼きじゃないか! ちょっとこっちこいフラン!」
「なんの事かワカリマセン」
「アンタねぇ!!!私だってオムライス好きなんだからね!?」
「そんな可愛らしい物好きだったんですかぁ? 乙女、いや、お子様ですねぇ、ぷっぷー」
「ちょっとマジでこっち来いフラン! 私の両腕はピンピンしているからねぇ、アンタの耳くらい3秒で削ぎ落としてやるッ!!」
「やれるもんなら――って、イッタイっ!!」
ギャァァアっと逃げるフランに鬼の形相で手当り次第物を投げつけるエイリーン。そんな二人を他所に黙々とオムライスを食べるキールは、まじでうめぇ!! と正座しながらオムライスを食べ続ける。
ちなみに、食卓テーブルに椅子が三つしかない為、いつもキールは地べたでご飯を食べる事になっている。
「ふふっ、みんなおかし、こんな状況なのにいっつもと変わらない。いつもと変わらない皆だ……」
一人、三人のドタバタ劇を見ていたモモは、自然と笑みを零し、パーティの優しさに浸り、私も頑張らなきゃと泣きながら笑う。
そんなモモに三人は、本当困った娘だと息を吐いた後、口を揃えて言った。
「いいかモモ、俺達は仲間だ、仲間が落ち込んでいる時、元気づけて明るい道に連れていくのが仲間だろ? だから俺は今日も正座しながらオムライス食う羽目になって――ぐす」
「キールは正座してるくらいがちょうどいいでしょネタ枠なんだから……。ま、このデカブツはいいとして! 私だって仲間だからね! エイリーンの事もモモの事も大事。モモが落ち込んでいるなら助けるし、エイリーンが困っていても助ける。キールの事は助けないけどね?」
「今日をもってわたくしキール! 脱退を視野に入れさせてもらいます!」
チクチク刺してくるフランに半べそをかいたキールは、ま、それでもお前の味方は案外多いぜ? とモモに親指を立てる。
それに続こうとずっと構えていたエイリーンは、なんだい全部言われちゃったねぇと苦笑しながらモモに微笑む。
「私もそうさ、なんてったって私はこの事気にしてないし、モモに全てを負担させるつもりなんてない。自分に自信を持ちなさい、アンタは紛れもなくうちのパーティーで欠かせない大事な回復師さ」
そう言って、早くオムライス! はよ食う! と片足立ちになったエイリーンは、この通り動けるしね? とケンケンしながらウインクをして見せる。
そんなエイリーンを見たモモはうん! と笑ったあと直ぐに真顔になり、
「コラ! まだ傷口塞がったばかりなんだからダメでしょ! 座ってて!」
「はい……」
「あ、モモが怒った」
「怒ったな……」
調子に乗ったエイリーンに激を飛ばすモモの姿は、このパーティに欠かせない回復師モモだった――
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「キール、どうする?」
深夜――
食事を終え、モモとエイリーンが寝静まった後、一人外にいたキールに話しかけたのは、大盾を持ったフランだ。
「決まってんだろ」
「だよね」
バレないように涙を拭ったキールは、己の得物である弓を背中に背負い、ゆっくり立ちあがる。
「フラン。お前は来なくてもいいんだぞ。俺一人で――」
「馬鹿じゃないの? 私だって同じ気持ちだよ。もちろんモモともね」
そう言って真剣な面持ちでキールの隣に立ったフランは、早く行こ? と足を進める。
「あぁ、お前がいてくれたら俺も安心だ」
そう言ってフランに付いて行くキールは、二度と泣かねぇと呟きながら拳を握り、振り返ること無く足を進めた。
そんな二人を闇がどんどん溶かしていく中、ただ一言、二人の声が交わったのをその時、月と闇だけが聞いていた。
「「俺(私)の仲間に手を出した罰、その体に味あわせてやる」」
お読み下さりありがとうございますー!
個人的にこのシーンはベストスリーに入るくらい好きな話でございます。
皆様どうでしたかね……|´-`)チラッ




