操り人形
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「なぁミルク」
「何?」
「俺達迷子になってない?」
「うん」
「やばくね?」
「うん」
真紅のナイフ獲得後、俺とミルクはなるべく同じ場所に留まらないように移動し続けていた。
「とりあえず一旦隠れられる場所とかないのか?」
「うーん。あるといえばあると思うけど……それはモンスターも同じだと思うんだよね」
「と言いますと?」
あまりいい案じゃないかなぁと呟くミルクに首を傾げる俺は、今いないモンスター達もきっとそういうところに隠れてるんじゃないかな、という至極真っ当なミルクの考えに、確かにと頷いた。
「じゃあもう歩き続けるしかねぇな」
何も考えず歩く! と乾いた地面を蹴る俺は心から靴の大切さを知った。
元々ダンジョンに来た時から裸足だった俺達だが、ルカが布で作ってくれた簡易的な靴のおかげで幸い激痛とまでは至っていなかった。
いやかなり痛いけどね? ゴッツゴツしてるんだもん地面。普通なら泣いちゃうよ?
そんな悪条件の中たまに突き刺さりそうになる石に、ひっ! と足を跳ねさせながら、俺達はずいずい奥へ奥へと足を進め――
「まじかよおい……」
「行き……止まり……」
絶望していた――
それはただひたすら足を進めた弊害なのか、そうなる運命だったのか……。
所々に生えるコケや血の固まった跡がダンジョンの味を出すその路地。
あまりにも気づくのが遅かった。
ここ三百メートルあまりずっと直進しかしていなかったことに――
同時に不自然なほど曲がり角が無くなっていたことに――
そして、強者のせいでモンスターが隠れていたとずっと勘違いしていたことに――
「リクくん……これ……やばいかも」
「え」
直後、グシャっと行き止まりだと思われた目の前の岩壁は派手に崩れ、そして、
溢れ出た。
『キエエエエエッッ!』
『グオオオォッッ!!!』
『ウォォォッッ!!』
「!?!?」
怪物罠――
それは意図的に誰かによって仕掛けられた罠。
「なんだよこれ! 早く逃げ――」
そう言って目の前のモンスター軍団から逃げようと振り返った時、先程歩いてきた岩壁がポロっとゆっくり崩れ……。
『グオオオォッッッッ!!』
『キエエエエエッッッッ!!』
「っざけんなよおい!!!」
暴れ狂うように再び溢れ出たモンスターを見て足を止めた俺の脳裏には、完全によぎっていた。
死。
ヨダレを流す豚のモンスターに自由に飛ぶ鳥のモンスター、その他もろもろ。
相手にできるはずもなかった。
俺は震える足を無理やり押さえつけながら、懐に手を入れ、真紅のナイフの柄に手を伸ばすが上手く力が入らない。
「うご……け! くそ!!」
正式な冒険者ではない俺には、あまりにも高圧だったモンスターの軍団を前に、もうダメだと膝から崩れそうになる。
「男だろ……俺!!」
そんな隙さえ与えてくれないモンスターが飛来する中、俺はもはや気合いの域でナイフを引き抜く。
『キエエエエエッッ!!』
「こんにゃろぉぉ!!!」
嘴を大きく開け、噛み付いてこようとする鳥型のモンスターに向け、思いっきりナイフを閃かせた時だった――
「私の大切な人に何するの」
『キエッ!?』
それは隣で立ちすくんでいたと思っていたミルクの声。
その声に反応した鳥のモンスターは危険を感じたのか身を止め、少し後退し体制を立て直す。
「リクくん、リンさんをお願い」
「ちょっと待て! 何すんだよ! もう前と後ろ合わせて20体くらいいるるんだぞ!?てかちょっとナナミ!! リン!!! 起きてくれお前らも死ぬぞ!!」
言葉と同時にリンを俺に預けたミルクは、無窮矢を二本召喚し双剣の様に両手に持ち、腰を下げ、瞬時に構えた。
その横でリンとナナミの肩を揺する俺は完全にモブギャラである。
『キエエエエエ!!!』
「はぁぁぁぁ!!!!」
『キエッッ!?』
直後リベンジだとばかりに最高加速で飛んで来た鳥のモンスターに対し、ミルクは冷静に攻撃を見切り、その鋭い牙が生え揃った口の中に思いっきり矢を突き刺した。
「おおおおお! ミルクさんすげぇ!」
リンの肩を揺らしながらミルクの戦闘ぶりを見た俺はミルク様ァ! と感動の涙を流す。
「リクくん! 後ろに気をつけてリンさんとナナミさんと一緒にいてね! 絶対私が――」
そう言って新たに無窮矢を召喚したミルクは、モンスター軍団と負けないほどの大きさで、
「私があなた達を全員倒して、私の手でみんなを守るんだから!!!!」
そう声をダンジョンに響かせた――
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