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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第2章 波乱な8歳前半の歩み(〇〇式英才教育基礎レベル実践編)
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87 乾物1袋分の救国(その3)

 読者の皆様どうもこんばんは。ブックマークありがとうございます。



 さて前回長かったので今回短めです。時系列的には前回より少し前です。それでは今週の不憫をどぞ!


 なんだかんだ報酬のドライフルーツ(柑橘系)1袋分を王族の魂(結晶)と引き換えで渡すことで今回の契約は合意となった。姉の方はなんというか満足げであったが、弟は終始不満そうにしていた。


 …そんな欲張らなくてもシュトーレン1本くらいだったら今度別に遊びに行った際にでも持ってってやるのに。


 まあ甘党に砂糖菓子も無く塩辛い干し肉や干し野菜だけでで冬を越せというのも酷なものだ。正直気持ちも凄くよくわかる。


 だからこそ、自分で作ればいいのにとも思うのだが…なぜか、彼ら魔人族は調理をまともにできない。無理にやらせると完成するのは大体親父みたいな劇物か、食べ物じゃないどころか直視したら正気を失うような愉快なオブジェができるのである。


 私も何度か頼まれて講習を開いたのだが……結果は言わずもがな。


 何故パンケーキという最悪ただ誰かが混ぜた生地を焼けばなんとかなる類の料理で虹色かつ透明な液体が生産されるのか。あるいは切ってある具材をドレッシングとあわせてサラダにするだけなのに爆発が起こるのだろうか。


 私の指導が悪かったのかとひどく落ち込んだことは覚えている…約20秒程。


 結論として、彼らは調理に向かなということだけはわかった。というか、調理させてはいけないと理解した。いや、させられた。


 調合とかは下手すると他種族より優れているのに…本当に謎である。


 まあだけど人には得手不得手がある。だからこれも仕方がないことなのだ。きっと、多分…というよりもうあれは一種の呪いと言ってもいいかもしれない。ドワーフの若年寄現象同様。


 なんというか、強く生きろ。


 …それにしても今更な話だが、もしや魔人族との契約数がやけに多いのって料理(ソレ)が原因か?文字通り食扶持稼いでいるのか?


 よし、今度から食べ物系の報酬へ少し色をつけてやるか。さすがに食べられないっていうのは可哀想だし。



 さて、早速かよと思うかもしれないが、召喚した2人には一番罠が多く厄介と思しき王宮の奥へ行ってもらった。


 依頼を直接請け負った自分が行かないのかって?これはそう、適材適所だ。ほら、さっきの魔人族と料理の話ではないが向き不向きってあろうだろう?


 感知系は魔王と魔王が懇意にしている魔人族の専売特許。それと比べれてしまえばあえて言おう、ドカスであると。カスではない、()の付くカスである。大事なことなので2度言った。


 もちろん別にそんな大層苦手ってほどではない。少なくとも長耳相手には通用したし、我が家の魔王からも一応一定レベルのお墨付きはもらった…実戦で通用する程度の実力であって目標レベルのは全く達していないとも言われたが。


 曰く、せめて1山分離れた場所にいる魔獣の群へ付着した魔ダニ(異世界特有のダニ)の数を探知できるようにしろとのことだ。さらにダニの体に生えた毛の本数がわかる程度は常識の範疇であり、それくらいよそ見しててできなければ立派な暗殺者にはなれないと。


 私は一体何を目指しているんだろうかと疑問に思う今日この頃です。


 さて、いつものことだが話が盛大に脱線していたので元の話題に戻そうと思う。


 言わせてもらうが皆はセキュルティー用の感知系レーザーが燦々と降り注ぐ中を鼻歌まじりに抜けられるか?よそ見しながらこちらに寄ってきた不規則に動くたちの悪い不可視の護衛ゴーレムへ落書きの一つでもできるか?あるいは秒速約0.000005程度と思しき速度で展開される結界を片足ケンケンでパスできるか?


 はっきり言わせてもらうが、私にはそんな芸当無理。不可能である。滅茶苦茶一般ピーポーで何の変哲も無いどこにでもいそうな有象無象で写真の片隅でかろうじて影が写っていそうなモブ。そんな私がそんな変態共にかなうはずが無い。


 そして王族の魂が飾られていると思しき場所を確認したところ、まさにあれは、色々ぶっ込みすぎて何が何だかわからないしろもになっている。おそらく仕掛けた側もろくに足を踏み入ることができなかっただろうと思われる。


 …まさかそれが王族の魂全滅しなかった原因じゃないよな?さすがに違うと思いたいが、怪しくなってきた……


 そんなわけで、罠をうまく避けて効率よく魂を回収してもらっている間に囮を行うことにした。そっちに(ミスティフコッカスが)人をやらないよう、目を向けさせる余裕を与えないよう。



「というわけで、これから変装して全力で暴れまわるから3人は隠れといて。親父は王子のこと看といてくれ。頼んだ。」


「「「いやいやいや…」」」



 慌てて私を止める2人。やれ早まるな、やれ一度冷静になれなどなど。


 そうはおっしゃるが、先ほどまでの王宮内(敵陣)における信じられない変態行動の数々が説得力を皆無どころか虚無にしている。それ指摘したやると途端静かになった2人。どうやらお口チャック機能が働いたらしい。


 親父は解せぬといった様子だったが、王子がいないと報酬がもらえないのでとりあえず必死に拝み倒した。結果、最終的に納得してくれた。



「…わかった、この親父にドーンと任せておけ!」



 発言はともかくとして、凛々しく、こちらが(同性なのに)見とれるようにキリッと決める親父。


 その背後に一瞬でも後光が見えかっこいいと思ってしまったそこの君。それはきっと中二病の症状。今すぐ頭で壁ドンや床ドンで正気に戻すことを勧める。


 ついでに私は行きがけまな板の角で一発試してみようと思う。この前それでフライパンを1つへし折ったばかりだが、きっと今日は大丈夫…徒労に終わるかもなどと諦めてなるものか。



 しかし次の瞬間、その必要は無くなった。



「あ、ついでに冒険者飯から解放してくれ、割とマジで頼む…」



 情けなくヘニョリと崩れた顔。



「…今回だけだから。」



 いつもながら最後までしまらない親父。


 そしてとことん家族には甘い私…その代わり約束破ったらとりあえず親父がこっそり集めていた秘蔵の酒をまたワイ…ゲフン、お土産として使ってしまおう。なに、隠し場所はこの前親父の配下に聞いた。ザッハトルテ分けてあげたらバッチリだった。



「ライ、引き受けるけどその代わり連れてきた2体と一緒に結構しろ。1人でやるな、絶対。危なくなったら逃げることも忘れるなよ。」



 今度は真剣に心配してそう言ってくれる親父…心配かけてすまない。だが、これ以上の解決方法を私は思いつかなかった。特に親父とミスティフコッカスを接触させるのはあまりに危険だ。


 それと、餓死寸前状態の王子の容体が気になるので裏ギルドの変態2匹共々頼んだ。



「じゃあ行ってきます。」



 影へ進み、溶け込む。


 では向かうか…だいたい反対側にある王宮の厠へ。



 次回は連れてきた2体の従魔が暴れます…多分。

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