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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第2章 波乱な8歳前半の歩み(〇〇式英才教育基礎レベル実践編)
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82 キレた若者(8歳)へは説教を、襲撃者にはお仕置き☆を

 読者のみなさまどうもこんばんは。行間調整は申し訳ありませんが後日行います。


 それでは今週の不憫をどぞ!


メキメキメキメキメキ…パチン


 異様な音が止む…ようやく終わったようだ。




「皆様、お待たせして申し訳ありませんわ。」


「久しぶりだったから少しだけ時間がかかったようだね。許せ、諸君。」



 先ほどまで人間の肉体が出してはいけない類の音を堂々出していた変態。森の中から服を着なおして出てきた。


 …よかった。とりあえず服はちゃんと来ているみたいだ。こんなところで変態ついでに露出プレイとかされた日にはストレスマッハで手加減なくメテオを降らせそうだ。大陸中、無差別にまんべんなく。それも無意識に。


 そんな内心を逆撫でするように穏やかに笑う2人。前科持ちなので当然ながら全員ジト目で彼らのいる場所を見つめていた。



!?



 その際見えた光景に思わず絶句した…木陰の暗闇から出てきたのは見知らぬ1組の男女。なんと1人目はダンディーな30代後半の男性、2人目は30代前半の女性。


 男性は見事な灰髪に赤系統の眼をしておりバーテンぽい髭があった。肌は褐色系の色で、顔の彫りは深くラテン系といえばわかりやすいだろうか。ガタイがよく、槍や大剣を持って戦いそうな出で立ちである…軍服の似合いそうなクソイケメン、すなわち男の敵である。


 女性は金髪に鉛色の目をした上品なマダム風…というより完全に淑女の鏡であった。体は理想的な体型で、ほどよく肉が付いている状態。顔はどちらかといえば親しみやすい形となっているが目口鼻の形と配置が完璧。若い頃はきっと人形、今は年相応に良い意味で丸くなったという印象を受けた。


 2人とも貴族らしい格好で実に優雅な動作で出現した。さっきのひどい音と影が嘘であるかのようだ。



 それが白昼の光に堂々照らされ、心の声が全員一つになった。



(((…誰?)))



 特徴的な魔力の波からもちろん誰であるかは明らかだ。けれど、それにしたって姿形、年齢まで変わっているのだ。混乱するのは仕方がないことである。


 そして我々のそんなリアクションへ嬉しそうにトパーズさんが答えた。



「久しぶりだけどその態度を見る限り大丈夫そうだね。よかったよ、本当に。」



 どうやら若干不安だった様子。そんなトパーズさんへ上品そうな淑女もといエリスさんがこれまた上品に笑いながら答える。



「あらあら、こうも鮮やかに他人へ擬態できるのは私たちくらいでしてよ?お忘れかしら…色を変えることまではできても背格好、骨格までは特殊な方法でもってこの()で学ばなければできないでしょう?」


「そんな風に自画自賛するから「お黙り。」アフン♡」



 ダンディー紳士もといトパーズさんはやっぱりトパーズさん。絶対あの変態は狙ってエリスさんに怒鳴らせていると見た。現に、今現在冷たい目で睨まれて嬉しげにクネクネしている。せっかくの紳士が台無しである。


 そしてこんなのが演劇だとしても私の親なのか…



「…気持ちはわかるがそんな嫌そうな顔をしてやるな、変態が余計に喜ぶだけだろ。」



 ベルハザード公爵、それフォローになってない。つか、微妙にディスっている上に自分がその立場でなくてよかったという思いがにじみ出ている。なお、隠すつもりもはないらしい。



〈ライ、俺達がお前の保護者でよかったな。〉



 ……比較の対象がアレすぎてなんとも言えない。というか、親父も大概だが魔王も保護者としては…ノーコメントとしておくか。その方がきっと安全だろうし。




 その頃、自宅で魔王が盛大に屁をしたらしい。どこかで私が悪口を内心言っていることを何か受信したとか。知るか。帰宅したら訓練を増やすか過酷な環境へ投げ込もうと決めたらしく、帰ってから地獄を見ることになった。




 …ああもう、あれこれ考えても変えられないものは仕方があるまい。腹をくくるか。不本意だが。


 すごく嫌だけど。


 滅茶苦茶微妙というか嫌そうな顔をしながら顔を上げた。目の前で繰り広げられるマゾ紳士痴態にくじけそうになるが、とりあえず最低限は要求せねば。くじけそうな心を何とか叱咤する。


 今要求しないともっと酷いことになる。公爵とか某予備校講師ではないが、いつやるの、今でしょ。


 そっと心の汗(断じて涙ではない)を拭った。



 そうだ、()は耐えねばならんのだ(その2)。



「とりあえずその性癖は王宮では絶対しないでくれ。本気で頼む、でないとこの作戦やめてこの地に特大本気メテオ打ち込んで終了にする。」



 …今自分で言いながらそっちの方が早く終わるかなとか考え出したのだが。だがすぐにそのバカな考えを払拭しようとする。



 思い出せ、一つの山岳地帯を更地どころか盆地にしたことを。


 思い出せ、あの日間違えて海坊主呼び出して溺れ掛けた記憶を。



 あんな小粒でも大量召喚であれば地形を変えられるのだ。きっと特大のメテオが大量に降れば地形以前に惑星の形が変わってしまう。地球の恐竜じゃないがそうなると種がなくなるかもしれない。



 だが…いや、待てよ。



 そういえば魔王から習っている結界術式が最近さまになってきていた気がした。免許皆伝はまだ遠いが少なくともメテオの被害を一箇所(=王宮)へ限定するくらいはいけるかもしれない。


 どうせ汚物は消毒せねばならんしこちらも恥をかかない。面倒もない。魔術式も大規模すぎてトレースできず結局自然災害扱いされる可能性が高い。


 …もしや一番(こちらの都合的に)良いか?



「う〜む、やっぱり結界張って特大本気メテオ「頼むからやめてくれ」…そうか。やっぱりダメか、残念だ。」



 真っ青通り越して土気色になる公爵。ところでうちっさいオッサンは地元なのにいいのだろうか。それほど慌てた様子もなく、ひたすら空気になっていた。


 仕方がないか、これだけ濃い面子といるのだから。騒いでいなければただの小さい髭面のオッサンだし。


 そして(こちらにとって)いい質問をしてきた。



「その『メテオ』ってなんだ「おいやめとけ!」」



 ん?どうした公爵、ついでにエリスさんとトパーズさん(変態)



「しょうがないから実演しようか。」


「「「やめろ、やめてくれ!!!」」」



 遅い。



「メテオ改」



 ヒュン。



 良い風切り音がする。いい感じだ。そのままメテオ改はこちらを囲んでいた怪しい黒装束の男へクリーンヒット。



 ドゴーン。



 (私的には)小さな爆発音が鳴り響く。そして黒装束は空の彼方へと吹っ飛んでいった。場外ホームラン。というか。



「玉屋〜」



 口をあんぐり開いていいリアクションをするドワーフのオッサン。その横で額を押さえる公爵とガクガク震える変態バカップル。親父は影の中で呆れた表情を浮かべていた。


 なお、黒装束はまだまだいらっしゃる様子。だから…



「メテオ改、メテオ改、メテオ改…」



 あははははははははははは。



「メテオ改、メテオ改、メテオ改、メテオ改、…」



 気分はさながら高校球児。今は盗塁をしようと目論む憎き敵陣営の選手を狙い撃ちしている気持ち。相手の逃げる方向へ上手く投球もとい落岩して人生アウトにしていった。


 悪い子には月に代わってお仕置きよ。


(※なお、月は地球へ向かうメテオを受けている衛星なのであながち嘘ではなくなっています。)






 調子に乗りすぎて文字通り周囲の地形が変わっていた件。



「ライ、いや、ラインハルト。言いたいことはあるか?」



「…調子こいてすいませんでした。」



 そのあと急いで移動し、王都の宿屋で親父と公爵から3時間くらい正座で説教を受けたのだった。特に親父からは飛ばしたら剝取りできないだろうという点について怒られた。ごもっともです。


 …公爵よ、そんなところで体育座りしたら汚いからやめておきなさい。そして親父が野性味あふれる野蛮な貴族になった点は諦めたほうがいい。元凶は不明だが、私が赤子の頃からだったのだから仕方がない。


 と言うより、毒草(以下略)から抽出して濃縮した物体(あの例の茶色いヤツ)を生まれて間もない赤子の口へ放り込む時点で察して欲しい。もう修正不可能と。年齢オッサン通り越して数世紀っぽいし(結局不明)、というかすでに死んでいるし。


 死んでも治らなかったやつに何言っても仕方がない。清く諦めるが吉。



 なお、街中ではあの謎の天変地異が話題なっていた。滅茶苦茶いたたたまれない気分になったことは言うまでもない。






 …そういえば変態バカップルへ要求するのを忘れていた。しまった。もうこの時間だし寝ているだろう。


 こうなってしまったらもう祈るしかない。


 頼むから、本気で頼んじゃうから王宮ではその変態性を表に出さないでくれ。真面目にやめてくれ。やめてくれないとライくん本気で泣いちゃう。


 頼む…



 さて、果たしてこの願いは叶えられたか。



 ライくんがんばれ。

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