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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第2章 波乱な8歳前半の歩み(〇〇式英才教育基礎レベル実践編)
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80 食あたりの原因はきっと食べ物への恨み

 読者のみなさまどうもこんばんは。ごめんなさい、この話書いていて78話で重大なミスが見つかったので訂正しました。念のため…78話で出てきたメイドガイはドラムレーンではなくグラジュールの騎士です。申し訳ないです。



 それでは今週の不憫をどぞ!




 食後適当にくつろいでいたら、外で知り合い相手に情報収集してくれていたうちっさいオッサンが帰ってきた。そして匂いを嗅ぐと同時に胸倉を掴まれた。



 曰く、オレの分の飯はどこだ?らしい。



 なんというか、劇画チックというか…とになく目がやばい。逝っちゃっている、と言えばわかるだろうか。


 そして沈黙していると、眼光がやばくなってきた。やがてそれは目からビームがこちらに向けて出ているようにも見えて来る…その目線はそのまま周囲へも広がり、食べ物探知センサーの如く探し出した。


 これはマズイぞ…食べ物の恨みが怖いことはわかっているつもりだ。このままでは変な呪いとかが発生するだろう。すでにうちっさいの周囲には陽炎が出ていて危険そのもの、おかげさまで中てられた剣豪将軍様の荒ぶる御霊が平将門様に羽交い締めにされていた。


 …仕方がないのでとりあえずさっきこっそりタッパに入れておいた竜田揚げをいくつか、それからグリーンサラダの残り少々を盛り付けた。飲み物としては親父秘蔵のウィスキーを献上。情報提供のご褒美。


 頷きウットリとした表情で、ストレートロックのウィスキーを魔力灯の光に照らす。カランと心地の良い氷の音が鳴り、周囲からゴクリと飲み込む唾の音が聞こえた。


 見回すと、自分の分はないのかと8歳児へ催促するお子ちゃまな大人(20代後半からギリギリ40代前半辺り?)がそこには複数。仕方がないので親父へ口止めするよう約束しつつ、味見程度にちょびっとだけあげた。


 随分と目減りした酒瓶をこっそり隠し、ニヤリと笑いながら飲む呑んべえたちを見た…ただやはりストレートは厳しかったらしく、最終的にハイボールっぽい感じで飲ませた。もちろん炭酸はその場で自作しました。魔術式は科学知識があれば万能である。


 そして、すぐ飲み終えると少し寂しそうな顔をした。


 確かにこれだけでは味気ないと感じたので、乾燥させたピスタチオもどきを袋から出して乾煎りしてやる。パラパラ塩を振って出すと嬉しそうに手を出していた。うちっさいオッサンが。


 それをさらに寂しそうに見る酒を飲み終えた悪い大人達。ここはバーではないし、まして営業時間外に8歳児にバーテンやらせている時点で労働基準法とか色々反している。


 そういえばこいつら裏ギルドのメンバーだったわ…そらギリギリグレーな連中だし法律守らんだろう、ちくせう。


 …仕方がないので親父の秘蔵酒その2の黒ビールをジョッキに注いでやった。決して、そうだ決してあの捨てられた犬みたいな目にやられたわけではない。断じて違う。これは先行投資だ。そう、将来のために大人達に賄賂を出しただけだ。もってけ泥棒。


 酒をなみなみと注がれたジョッキを嬉しそうに見ると、小躍りした。現金なやつらめ。ついでに軽く摘めるようにカナッペを出しておく。軽く炙ったチーズをカリッとさせた薄切りバケットの上に乗せて上から塩胡椒・アンチョビもどき・生姜もどきをそれぞれ乗っけたなかなか香ばしくカロリーの多い奴である。


 醤油がないことが悔やまれる…麹カビをどこかで仕入れねば(使命感)。


 モグモグと意地汚く取り合うギルドメンバーを見ながら茶を用意する。それにしてもこの歳で譲り合いもできないとは本当に見苦しいものだ。こっそりカナッペを追加する。


 よく食って飲んでメタボになってしまえ、このいやしんぼう共め。


 その横でスコッチを舐めるように味わって飲むうちっさいオッサンはもう夢見心地といった様子であった。こちらの様子は見えていないよう、こっそり炙りアーモンドをつまみに追加しておく。



 なお、お酒の提供元である親父は現在私の持って来た賞金首連れて詰所へ向かっている。変装しているので大丈夫と本人が主張していたが、念のためプロテクトかけておいたので最悪なんかあっても戻って来られるはず。


 賞金首は、最低5人はいたので結構な金額になる。帰りの道中チンピラからさらに巻き上げられる可能性が高いのできっと倍の値段にして帰って来ることだろう。


 そのためにも、わざと夜道だとちょっとデンジャラスになりうるルートを教えておいた。



 さてと、今のうちにできることをするか。



 拾ってきた子供へ冒険者キャンディーをあげつつ、私は尋問することにした…ついでに引きずってきた誘拐犯を。



「で、この子供の出処は?」


「こ、答えるわけが…ヒャヒィン!?」



 ラインハルト式尋問方法その1。


 相手が精神崩壊しない程度に痛みでなくかゆみとか快感で尋問は行うべし。その方が死ぬ可能性が低いし、相手も安心?して尋問受けてくれる。



「で、この子供はどっから取ってきたの?」


「答えるわけねぇだろう、アヒィン!?」



「子供は…」


「だから答えるアヒィ!?」



「子供…」


「だから…ヒィン!?」






「で、子供はどこから連れてきた?」


「貴族屋敷から…言いますからもう勘弁して!ヒィン!?」



 ラインハルト式尋問方法その2。


 相手が答えなかったら答えるまで無限ループで続けるべし。あれだ、レトロゲームとかで『YES』って答えるまで続く無限に続く質問と同じだ。その1と同時に根気強くやればいつか答えてくれる。




 フムフムなるほどね、戦争をここで一気に煽って勃発させるために裏組織雇ってグラジュール王国の貴族次期当主(再興のため)を攫っていったと。爵位は侯爵家で、断絶中の公爵家を含まれば上から20番目の家柄。しかも、現立場は一応王族で王位継承権が低くとも外交問題へは充分発展すると。


 え、これは……



「うむ、なかなかやばい状況だな。」



 ズズー、お茶うめぇ。


 お酒は無理なので、自分でお茶を入れて飲んでいると横から自分もと催促がきたのであげた。すると3歳児(仮)が行儀良く上品に茶を飲んだ。



「で、この子供どうするよ?というかお前どうする?」


「おまえもこどもじゃん……」



 ……そういえばそうだった。


 久々に自分が子供であることを思い出す8歳児ってこれいかに。いや、今まで8歳児ということをさりげなくアピールしてはきたのだが、コレジャナイ感が半端ない。というより、私の求める8歳児への扱いの理想が高いのだと勝手に解釈していた。



「ま、こいつはいいンだよ。けどどうするかなぁ……」


「ひどい…私は8歳児なのに。」



 何気にひどいことをのたまうベルハザード公爵。きっとこんなやつだから人望がないのだろう。今回の戦争を止めるために直属の部下ではなく裏ギルドのオネエもどきと厨二病に頼らざるをえなかったことも頷ける。


 ジト目で眺めていると、びくりと反応したがとりあえず無視した。


 そして久々子供扱いしてくれた3歳児へと向き直る。本当にこの子供どうしよう。



「ねえぼく? おうち帰りたい?」


「こどものくせにこどもあつかいするな、ぶれえもの!」



 思わずアイアンクローしかけて羽交い締めにされたのだが、ちょっと一発オニィさんにやらせちゃぁくれませんかねぇ? と口に出ていた。一応国も領土も無いけど立場が貴族の私にとって面子や建前は重要。なめられたままってのは貴族的にアウト。それ以前に喧嘩は買わねば、な。


 などと一瞬不良脳筋貴族モードになる私。不穏を察知してレミィさんの影に隠れる3歳児……これだから勘のいいガキは嫌いだ。



「とりあえずこいつが無事だってことはあの家に伝えないとやばいだろう。じゃないと本格的に戦争になっちまう。」



 深刻そうな顔で額を押さえる公爵。その横で私もまた、守護霊くん(メイドタイプ)から聞いた話で頭を抱える。



「まさか母方の祖母(公爵家)まで王族とか本当に勘弁して欲しかった件。」


「シャレにならねぇよ、あのフリーダ婆さんの孫とか……いつ兵隊が来てもおかしくない状況だぞおい。」



 そのフリー……フリーザー婆さんの危険度はとりあえず名前からしていろんな意味でヤバそうだということはわかった。ベルハザード公爵が涙目だっただけに、相当強い王族婆さんなのだろう。けど、それ以上に現王子で王族の孫っていうのがとにかく私的に一番ヤバい。


 思い出すのは、さっきまでの私の所業。


 ぶつかってまずは見捨てようとして、巻き込まれたらとりあえず黒服とかチンピラとかマフィア崩れ等への巻き餌にして……この時点で孫大好きな婆さんだったら抹殺されそう。社会的に。それに余罪はまだ続く。何度か手刀で延髄切りした気がするし、ちょこちょこ拳とかも出ていた可能性あり。


 不敬罪とか以前の問題であり、ばれたら速攻指名手配犯。高額の賞金首になるかもしれない。


 そうなったらそうなったでなんとかなりそうな気もするが、社会的に死ぬことのデメリットがでかすぎる。それに金銭稼ぐあてがまずなくなる。アウトロー狩りできないし、裏ギルドともお別れだろう。貧乏人のバウンディーハンター狩りする他なく、大した利益は得られまい。


 そうなると、魔王や親父の思惑通り人外道へ進まざるをえなくなる。そして夢の動物たちとのふれあい隠居生活が遠のく。それだけは絶対避けないと。


 仕方がない……かくなる上は、余罪を重ねる他無い。もうやっちゃっているし、今更どうしようも無いからやるしかない(錯乱中)大人気ないけどここはやはり、黙らせるしかなかろう。


 ほら、ノブの元にいた猿だってホトトギスの句で『鳴かせてみよう』とかいっていたし、その逆だと思えばハードルも下がるものだろう?(もはや意味がわからない思考回路になっている)


 なので……



「おチビくん、わかっているよね?」



 びくりと震える3歳児(仮)。


 大丈夫だよ、お兄さん怖くないよ。ほら、怖くないでしょ? 笑っているだろう?


 おい、笑えよ。


 威圧的に顔を近づけて目を見る。これは交渉術の基本であるはずだ。目と目はちゃんと合わせる。特に目線の高さを子供だったら合わせることは大事だろう。


 ほらほら目をそらさない。相手へ何か話す際はちゃんと目を見て話しなさいって言うだろう? ママンに習わなかったかい、坊や?


 さてと。



「とりあえず…




 少しだけ間を空けて。




 お前、大人にチクったら人外マ境の近海行きだから。わかった?」



 (人外魔境)近海の海は寒いぞ。


 コクコクコクと怯えMAXで必死に頷く3歳児。聞き分けが良くて大変よろしい。弟弟子のギルより下手すると賢いのではないだろうか。


 けど、ここらでちゃんと上下関係を築いておく必要があるな。



 さてどうしてやろ「おいライ……俺の酒を勝手に振舞ったって本当か?」


 ん?






 翌日、悪い大人数名と子供2名、子供っぽい姿のおっさん1名が食あたりを起こしてトイレの住民となって見つかった。なお、その裏にはほぼ空になった酒瓶を抱えて涙目になっているイケメソなおっさんがいたとか。


 ラインハルトくんは誘拐犯へ一体何をしたのかは、読者のみまさまのご想像にお任せします。

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