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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第2章 波乱な8歳前半の歩み(〇〇式英才教育基礎レベル実践編)
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79 ショ●コン変態ストーカーとの美味い決着

 読者のみなさまどうもこんばんは。


 それでは今週の不憫第二弾をどぞ!





 涙目でこちらを睨むのは幽霊メイド騎士(成人男性)という需要あるかどうか疑問な属性1匹。その背後には名だたる武士・武将が並んでいた。但し全員なんというか食事中のやつには見せられない18グロな姿…具体的には生首状態、血みどろ鎧武者、落武者スタイル等々。


 どこからどう見ても呪われております、本当にありがとうございました。


 まあ一応弁明しておくが、メイドが悪堕ちしてこっちへ襲撃しないか見張っている護衛のつもりらしい。だけど、姿形だけで判断すると逆に見える謎。



「で、親父…何か弁明はあるか?」



 私を説教するためだけに3時間近く麻袋に3歳児を詰め込んだまま変態のそばに放置とか…ゴミクズな性格を自覚する私でもドン引きである。さすが『外道』とか『陰険』とか呼ばれるだけのことはある。


 ジト目で見つめると、何かに耐えられなくなったかのように目を思い切りそらす親父。その横には虚ろ通り越してモザイクかかった目でアはははと狂ったように笑い続ける貴族っぽい子供。


 それを涙目で見つめるメイド(男)と床にめり込んだまま放置された変態。



 どうしよう…どうしようもない。



 仕方がないのでとりあえずご飯を作ることにした。空腹状態をまず回復させること優先。難しいことは後回しだ。


 だいたい8歳児に成人通り越して死を超えてと人生豊富な相手をどう正気に戻せと?ただのか弱い無知な子供に高望みしすぎ。無理なことはとりあえず放置するのがよろしい。


 それに傷心は時間が解決してくれるというありがたい言葉もある。



「…やっぱり将来モフツル王国が無理なら料理人目指すか。」



 ではここからラインハルト簡単料理教室をお送りいたします。時間のない人とか寂しく面倒になっている独身男の皆さん必見。



 美味しいよ〜、間違いないから〜。



 …さて、取り出した魔王特性インスタントキッチンを立ち上げて素材を冷蔵庫から取り出した。そしてまな板と包丁を取り出し適当な大きさに切って、ドレッシングに混ぜる。上から酢漬けの野菜をちょっと乗っければまずは一品目。


 次は…そうだ、あれにしよう。


 ピーマン(もどき)、ネギ(もどき)、謎鳥肉、生姜もどき、塩胡椒、オイスターソースもどき、後小麦粉少々を取り出す。ネギと生姜は微塵、肉はミンチ、ピーマンは2つにして下手と中綿を取っておく。ミンチへネギと生姜をよぉく混ぜて塩胡椒オイスターソースを混ぜる。


 …本当は醤油が欲しいです。味噌でも可。


 混ぜたミンチをピーマンにドーン。小麦粉をつなぎにうまくくっつけて後はただ焼くだけ。油は鶏肉についていた油を使いました。あの梟やっぱり見た目通り肥えていたのでラード(豚の脂肪)代わりに使える。


 同時進行で鶏ガラ出汁使って中華スープを作っておく。ワカメもどきとゴマもどき、それと卵と玉ねぎがあれば余裕。浮き身には小松菜もどき使用。ポイントは小松菜を入れるタイミングと卵入れるのを最後にすること。ここ大事、テストに出ます。嘘だけど。



 そうして調理を終えて清潔な皿へ持っていた頃、3人の腹の虫がゴオォォオオと可愛げもなく鳴り響いた。同時に若干死に腐っていたはずの目とか色々がこちらへ刺さる。


 彼らの要求は明らかであった。



「えっと、食べるか?」



 その数秒後、欠食児童が3名ガツガツと意地汚く料理を貪り食べる姿が見られたのだった。


 1人は貴族どころか人生を引退して数年経っているのでまあしかたがないのか?…多少は目こぼししておく。だが、現役でマナー学んでいるはずの貴族っぽい子供はそれで良いのだろうか…


 というか変態がいつの間にか復活して食べているのが謎。あの怪我でよくあんな元気に食べられるものだ…今も流血しているのに、と思っていたらやっぱり倒れた。



「…華岡青洲先生、やってしまってください。」



 日本出身の幽霊医師。全世界初の乳がん外科手術を麻酔有りで完遂させた、生きていればノーベル医学賞ものの大先生である。アメリカで行われたアヘンによる脳外科手術が世界初?あれは嘘である(事実)


 明治時代になって華岡流の麻酔術は廃れたらしい。もったいない話である、まあ本人(幽)が納得しているので正直どうでもいいが。


 そして現在、他の連中に便乗してなぜかこっちに憑いてきたらしい…より安全性の高い麻酔を開発できることを期待して日本を飛び出してきたとか。


 今は良き医師であり、良き薬学の先生。同時に時々毒を盛られております。


 彼の研究を手伝うために、たまに実験台にされて死にかけることがあったり、なかったりする。親父がいい薬物への耐性訓練になると率先して行ったともいう…先生は毎回死にかけるたびに涙目になっていたのですごく申し訳なかった。


 どうも先生は生前麻酔方法を確立させた際のことがトラウマになっているらしい。動物実験による動物殺戮、そして治験で奥さんや先生自身の健康にも影響を出したとか。そして先生は決してマッドな方ではないのである…どこかの協会所属の医師とは違うのであった。


 そして現在実験台は私。毎回死にかけるが魔術式や魔法薬があるためすぐに肉体は再生するので特に問題なし…とはいえ耐性系のスキルがカンストするまでは地獄であることに変わりはないが。


 今ではカンストした耐性系だが全部統合までには至っていない。それをするには親父曰くカンストをさらに凌駕しないといけないとか。本当に親父がすまない、だがもう少しで私も効かなくなるから頑張ろう。


 …ともかく、そんな事情から先生の実験台になって数ヶ月で完成した少々副作用の出る麻酔。


 普人族の検体例は私しかいなかったが、今日から仲間ができたようだである。まあ変態が仲間って言えば気分は良くないが、この苦しみを味わってくれるというのだから歓迎しようか。



「〜〜〜〜〜!?」



 ん?どうやら効きが悪かったようだな…まあ仕方がない。切れた頭を少しだけ縫う程度なので、ちょっとだけチクッとする程度だろうし耐えてみようか。



「いやいやいや…どう考えても重症でしょ?!というか夕ご飯アタシたちの分はないの?」



 ここでいろんな意味で濃すぎる似非オネエ登場。不法入国の際行ったメイクそのままの状態、いや、すでに修復不可能なほど崩れているので滅茶苦茶怖いです。ホラーすぎて、ほら、3歳児(推定)が泣いている。



「…せめてその顔どうにかしてくれ。」


「ああそうネェ、悪かったわ…ってどこからその子供連れてきたのっていうかなんでアランがこんなことになっているのかしら!?」



 驚くギルマス。



「…変態を親父に任せて出稼ぎしていたらオマケがついてきた。で、帰ってきたら変態が3歳児に喜んで教育上も精神衛生上も悪いからとりあえず視界へ入れないようめり込ませた。」



 簡潔に説明すると、全員が頭を抱え出した…おかしい、私は正しい説明をしたというのに。



「ガハッ」吐血


「あ、アラン!?おい無事か!!」



 嗚呼、そんな手術したての患者を揺らしたら…やっぱり流血した。それも血の勢いやばいな。呑気にこっちに血柱がこないようしっかり結界を張って観察する。ほら、血液感染の病気は恐いからやっぱり気をつけないと。


 ついでにアワアワするオネエもといギルマスも囲んでおいた。



「先生、やっちゃってください。」



 そして、アランとかいう変態は止まった。




 流血が。



◆□◆◇◆□◆◇◆□◆◇◆□◆




 さてと。



「…ギルマス、念のため聞いておくけど本気でこちらに喧嘩を売っているつもりではなかったって認識でいいのか?」



 つくねを箸の先でつつきながら質問する。



「ああそうだよ…レミィの目を使っても厳しいところへ部下をやるわけにはいかんだろう?」



 化粧をとってクソイケメソになったギルマスは、エールを傾けながら全くどんな守護方法使っていればあんな防御できる、などと悪態をついた。一家に一台魔王グルジオラス様々である。



「…まあともかく、アランのことは許してやってくれ。」



 ジョッキを置いて、真剣な目でこちらを見つめるギルマス…全く。



「しょうがない、貸し1ってことで手を打ってあげるよ。」



 青ざめるギルマス。



「ああでも多分、すぐにではなくとも数年後に返してもらうことになるから大丈夫。変なことではないから。」



 そう。もう既に決めてあることであり、またギルマスの得意分野であるはず。いや、まさに裏ギルドに最適な違法行為ギリギリの内容の依頼をただ出すだけだ。


 それをギルドとして受理してくれれば問題無し。



「…申し訳ないです、ギルマス。」


「いいよ、その代わりキリキリ働いてもらうからな!」



 アランという影の薄い男は本当に申し訳無さそうにギルマスへと頭を下げた。そしてギルマスはそれを手を振っていいからとなだめた。


 いい感じの決着っぽくなっているけど…



「けどギルマス、まだアランでしたっけ?から謝罪も詫びもないけど…」



 2人からあんたは鬼かなどと訴える目線をもらった。だがもらえるものは貰わないとね。さて、何をアラン氏から搾り取ろうかな。目線を向けると涙目通り越して号泣したアラン氏。もちろん容赦なんかしてあげない。


 その辺は魔王・親父直伝である。手加減なんてした日にはあの地獄の修行が待っているのだ。だからまあ、せいぜい私のために頑張れと言っておこう。



 アランさんどんまい。

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