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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第2章 波乱な8歳前半の歩み(〇〇式英才教育基礎レベル実践編)
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72 入国とは一体(その1)

 読者のみなさまどうもこんばんは。行間は後日直します、申し訳ないです。


 それでは今週の不憫をどぞ!




 道中まあいろいろトラブルに事欠かなかったが、なんとか隣国との玄関口にたどり着いた…ここまで出発してから二日目であり、普通の人なら一週間かかることを考えれば許容範囲なのか?



「さ〜て入国審査…どうやって乗り切る?」



 目の前にできた長蛇の列を指差しギルマスに問う。すると、ニチャッと気色悪いドヤ顔しながら懐をあさりだした。レミィリアさんがそんなギルマスの後ろですまなそうな顔をしており、女王さ…エリスさんはゴミ屑を見るような冷たい眼差しをしていた。もちろん踏まれたトパーズさんがこれまた気持ち悪く視界の隅でクネクネしていたりした。


 そんな情けないギルドの連中をベルハザード公爵はやれやれといった様子で見ていた。視線が合うと、ため息を一つ吐くと同時にスマートにポーチから何かを取り出した。ギルマスと違ってできる男風に。



「…これで冒険者ギルド関係だって相手が勘違いするだろ」



 こんな肩書いつ使う?今でしょ、などと若干時代遅れのギャグを披露してさえいなければ完璧だったのだが…というか、いい加減こういった地球のネタをどこから仕入れているのか滅茶苦茶きになるのだが。


 すると、横からギルマスが遅れて何かの書類を出した。



「ベルド、今回はそれを使わないでおいて。あんたの地位以前に存在が相手国にバレたら面倒、というより積むの?わかるかしら?」


「…あ、ああ。」


「戦争がいざ始まらんとしている国の権力者、しかもよりにもよって1人で戦争可能な人物を敵国の関所で見つけたらどうなるかなんてわかるでしょ?」



 公爵はそうだな…と同意し、頭を下げた。



「すまん、軽率だった。」



 直後、割と真剣な顔でこう続けた。



「だがお前のそれも今回は使えないぞ…というより、どこ行っても“今”は使えなだろう?」



 ギルマスはそういえばそうだった、すまんと頭をかいた。そして滅茶落ち込んだ。そこへレミィリアさんがそっと心配そうに支え、目線だけで会話をしだすバカップル。


 とりあえず爆発しろと呪詛を送っておくとして…



「本当にどうしようか。」


「…しょうがない、商業ギルドだが儂のカード使え。」



 ん?



「だから、入る手段が無いンだろ?だ・か・ら、これ使えって言っているンだよ!」



 ビシリと出されたカードには確かに『A級Blacksmith』と記されている。カード自体の色は黒であり、もうすぐS級になるということが示されていた。さらにトドメとして、カードの裏側には所属している工房の小さな紋章と個人(・・)を表す紋章がそこにはあった。


 ドヤ顔でこちらを見て、さあ使えと鼻息荒く宣伝してくるうちっさいおっさん。その表情とか存在とかうざいはずなのに、なぜかかっこよく一瞬見えた不思議。きっと目の錯覚だろう。


 だけど意外だった…お前実は凄いやつだったのか、うちっさいのに。



 ギルドカードの裏に記されたこの紋章の武器、確か相当な額で市場に出回っていたはず…家では確か、燭台の幾つかとシャンデリア1つにこの紋章の含まれているやつがあった。


 どっちも鑑定したら武器扱いだった気がする…シャンデリアが武器って、オペラ座でも怪人でもあるまいし。



 だが、ここで一つ思い出した重要なことがあったので指摘した。



「そういえばお前何故でここにいる、棟梁達と一緒に移動していたよな?」



 すると、うちっさいおっさんは横を向いて口笛をしようとして…口オナラを連発した。途端に頬を染めてこんなことを言い出した。



「べ、別にお前らのことが心配だったりしたわけではない…あくまで仮を返しに来ただけだ。誤解するンじゃないぞ!」

(べ、別にあんたたちのことが心配で来たんじゃないんだから誤解とかしちゃダメなんだゾ★)



 ………。



「だ、だいたいこんな訳あり集団で関所を通れるとか考え方が甘いンだよ、うちンところの見習いでもそんなこと分かるぞ!」

(関所を不審者は通さないってことは子供知っていることよ?全くもう、このお・ば・か・さ・ん♡)



「だ、だからわ、儂がなんとかついてきたことに…別に感謝なんかするンじゃないぞ!」

(き、きてやったけど、別にあんたたちの感謝なんかいらないわよこの程度で!)



 オロロロロロォ…と心の中でツンデレ変換()したことへ後悔しつつ、うちっさいおっさんを見た。相変わらず厳つい顔つきをしているが、緊張して若干眉間にしわが寄っているせいなのか、頰がこわばっているせいなのか、ますます怖い顔になっていた。


 これで胸ぐら掴まれたりしていたらきっと老けた小学生(6年)な不良に絡まれリンチされている小学生(2年)になるな。


 だけど、まあ…



「その申し出はありがたいが、巻き込むわけにいかんから別の手を使う。」



 すると、落ち込んでいたギルマスと公爵がこちらへ目を向ける…トパーズさんは地面に埋まっていた。埋まるの好きだな。いや、エリスさんに埋められるのが好き?あ、そうですか。


 …変態のことは一旦頭からも視界からも追いやって、だ。



「さてこれからやることはいたって簡単です。」



①2チームに分かれる。


②関所の監視が薄い場所を探す。


③一グループが関所の列へ並ぶ。


④順番が回ってきたら騒ぎを起こす。


⑤その間に壁か地面を壊す。


⑥侵入して騒ぎを起こす。


⑦関所組はこの間に正面突破する。




 ね?簡単でしょ?




「「「「「「どこがだ!」」」」」」




 親父と目を見合わせて顔を傾けた。一体①〜⑦で示したことのどこが大変なのだろうか。というか、大変とは親父や魔王の無茶振りに付き合わされたりしごかれたりするようなことじゃないの?



「エルフのいる森とかで薬草採取のための囮とか、深淵地帯でモンスターハウス一網打尽にするために一人で特攻とか…」



 他には何があったかな…ああそうだ。そういえば人喰いエイプ(意味深)の生息地である千尋の谷②に突き落とされたり繁殖期真っ只中なワイバーン飛び交う空へ投げ飛ばされたり。そんなこともあったな、グスン









 大変な具体例をいくつか出したらトパーズさんやエリスさんにまで同情をされてしまったどうしよう…まあいいや、とりあえず冒険者棒キャンディー舐めてよう。さすがベルハザード公爵。さすがS級冒険者。


 ついでに親父が針の筵。ザマァ



「で、やるの?やらないの結局?」


「や・ら・な・い・か?」



 隣ににゅっと出てきた顔を見る…やたらと整った濃い顔をした黒目黒髪のおっさんであり、青いツナギ姿である。手つきは怪しく、我慢が足らないのか腰が振られていた。


 ぞわりと全身の毛を立てて、私は逃げ出した。だが回り込まれた!



「え、遠慮「今なら俺が囮をするが?」…やります。」



 あ



「ヤるか?」


「私はノンケだそっちではない!…だが囮は頼んだ。行こう!」



 妙なことをまた言わされないよう、言質を取られんように慌てて立ち去る。するとおいいいのかなどと心配するうちっさいとか大丈夫だろうと達観する親父とかが付いてきた。その後ろからギルドのメンツと公爵が慌てて来ているのが見えたので、十分離れたところで小さく頼んだと伝えた。


 イヤな繋がりではあるが、契約者なので魔力的なパイプがある。おそらくそこから伝わっていることだろう。












 おっと、可愛いこと言っていくれるじゃないか。これは頑張らないとな。


 そしてできれば味見も…お、いい男♂がいるな。


 遠目で衛兵や列の商人を物色してなかなか良さそうなタマが見つかったので奴らを目覚めさせるか。可愛い坊やたち、すぐ虜にしてやるからな。



 待ってろ。



 活動記録にも載せましたが、冬の童話企画参加しております。さくっと読める作品ですので空き時間とかいかがですか?


題名:残念な白雪姫による、王妃様の因果応報

URL : https://book1.adouzi.eu.org/n1562em/

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