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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第2章 波乱な8歳前半の歩み(〇〇式英才教育基礎レベル実践編)
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58 凸凹道中膝栗毛ならぬ敵白目

 読者のみなさまどうもこんばんは。今回は戦闘描写が入ります。また申し訳ないですが行間調整は前話含め後日行います。


 さて、それでは今週の第二弾をどぞ!





 ボロボロなメンバーを抱えて取り合えあず森の中へ出発した。出発前からくだらないことにいろいろと時間とかライフとか削られた。これから戦争止めるために拉致と軽い破壊工作しに行くというのに。


 なんだろう…いろんな意味で正直不安しかない。



 えっちらおっちらついてくる未だに魂抜けたギルマスと顔が腫れ上がりドロドロなトパーズさん。特に後者に至っては行商人の格好をしているため、門番か警備員がいたならチンピラか盗賊に道中カツアゲされたのかと勘違いされることだろう。


 実際はおそらくほとんど自業自得…まあ前者に至ってははっきりとした原因は不明ではあるが。


 だけどそれにしてもこれはひどい。相手に戦争仕掛けに行くにしても防衛するにしても、出陣前から体力消耗するというのは戦略的にどうかと…ハタチ超えた大人に向かって思わずため息を吐くラインハルトくんはっさい。


 嗚呼どう考えても泥船ですね本当にありがとうございました。本気で敵前逃亡して家帰りたいのだがだめだろうか。


 というか、我が家である砦で結界張って待機すれば一番安全かつ楽に過ごせるのにもかかわらず、なぜこんな無茶ぶりな依頼を受けようなどと血迷ったよ過去の自分。数日前安直にギルマスの依頼を請け負った自分へジャーマンスープレックスを決めたくなった。


 …っと。



「…親父早速だ。」


「ああそうだな…俺らがやるしかないか。」



 現在戦力なるはずの連中はボロカス状態になっており、レミィリアさんは基本魔導師タイプ。エリスさんは鞭を扱えるが、狭く暗い森中ではああいった絡まるタイプの武器は向かない。まして、エリスさんの鞭は乗馬用サイズではなく西部劇のカウボーイなどの使いそうな長いタイプ(ただし先端に禍々しい針がびっしりと…)


 そして協力者の高名な冒険者様を兼任する公爵はとある事情から身分を隠しており、基本積極的に戦闘へは参加しないと見た。



 ならま、必然的に殺ルのは私と親父になるというわけだ。



「…やっと出番か。」



 前回使わなかった地球時代身につけた武器を取り出す…コピシュと呼ばれるエジプト周辺で過去使用されていた刃物だ。


 湾曲した言うなればフック…いや、C字のような形状をした剣であり、外側に鋭利な刃がついているのそこから相手をスライスできる。主に乱戦に使用されたとされており、確か盾と一緒に使用したとか言っていたな…教えてくれたやつが。



 友人のせいで中東代理戦争中の紛争地帯を横切ることになって必死こいて生き残っていた頃、行き倒れて死にそうになっている老人を拾ったのだ。それがまさか遠い先祖がエジプトファラオの隠し子(?)であり、代々その養父の持つ特殊戦闘術を継承している一族の長だったことは完全に予想外だったが。


 どうも一族で傭兵をしていたらしいのだが依頼主に騙されて置いてきぼりにされたそうだ…それも、某正義の国が後数秒でミサイルを落としますよーと宣言した地域で。命からがら逃げ出すも、途中で力尽きたと堂々言われた。


 最初は日本?どこそれおいしいのなどと馬鹿にされたが、話しているうちに私は意気投合した。主に、依頼主に振り回された相手の話が友人に振り回される私の立場と通じたために。


 無事に一族の住むと言われる隠れ里に到着するも、友人が図々しく剣技を教えてくれと頼み込んだ結果私もいつの間にかやることになっていた…あれよあれよという間に朝から晩までハードなトレーニングをしていた。当時は大体10歳前後だった気がしたな。


 そして半年後に形になったところでいきなり実戦へと突入して人を切ったっけ?人を切った感覚はどうだったか?もう死に物狂いで覚えていないけど、友人が初めて私にビビって気を使ってくれた気がする。曰く虚ろで死んだ魚みたいな目だったと。


 …何気にハードな人生を送っていたな、前世も。



 回想していたら、敵指揮官の首を掛けてゴギリとまた一つ折る簡単な作業が終わっていた…まだまだ人はいるので頑張らないと。血もなく首がプランとして死に絶えた遺体を放って次の指揮官へと向かった。


 今回の目標は血を出さずに相手を殺ることなので達成するためにも頑張っていこう。僥倖なことに相手さん弱いし。



「…しかしそれにしても手応えないな、こいつら。」



 思わずつぶやきながら武具をポキポキ、首を、腕をポキポキ折る簡単なお仕事を淡々とこなした。相手さんが先にこちらへ殺気を向けてきたので自業自得である。


 殺気の先が私と親父だったことが相手にとっての誤算というか不幸というか…まあ殺意を向けてくるからには相手からも殺意を向けられることはすでに了承済みだろう。なので遠慮せずに次々折っていった。


 それにしてもなんというか、手応えが本当になさすぎる。おかしいと首を思わず傾げた。


 紋章こそつけていないが共通かつ立派な鎧姿をしている以上はどこかの私兵か正規兵なのだろう。特に先ほどへし折った太った指揮官は、太い指に2つ紋章入りの指輪をつけていたので咄嗟に外しておいた。ポーチにしまっておいたので後でチェックするか。



 だがその前に…




「親父、相手の正体分かったか?」


「いや…残念だが毒を仕込んでいやがった。」



 全員死亡、ね。つまりは私兵ならぬ死兵だったわけか。だが何のためにこんな場所へ派遣したのか意味が分かりかねる。というより意味がわからない。


 この辺の近くに戦場となるような場所はない。あるとすれば戦闘には向かない森や沼地、それから人通りの多い街だが。


 ん?ちょっと待て。


 街、住居、雑踏、民衆、人…そレから人らしくない兵士らしき連中の動き。単調すぎる動きと警戒心皆無で攻防ではなく攻のみの戦闘方法を、しかも短剣を持っているのにも関わらず使用していた既製品らしき長剣。


 森中など狭い場所での戦闘ではありえないことだ。


 普通に兵士として前線で働けるほどの地位にいるならよほどの馬鹿でない限りはそれに気づいていてもいいはずだ。上司が仮に判断をミスしていたとしても、自分から気づいて気を利かせたっていいはずだ。


 そうだ、せめて何かしら魔術式なり切り込み隊長なり使って森を倒してから戦闘するか。あるいは誘導をうまくやって平地に呼び出すか。


 そんな様子はしかし、最後の局面まで見ることはなかった。


 親父からはそんな特徴を聞いていたが…まさか。



「親父、こいつらもしかしたら…」


「ああやっぱりそうか…」



 親父を慌てて離し、遺体を次々焼いて行った。


 そして上からカメムシ爆弾の原料をかければ完了…プスプスとひどい異臭が漂うが、最近見つけた浄化作用?消毒作用?によりそこに確かに存在した得体の知れない“ナニカ”は消えた。



「!?ちょっ、臭いじゃないの!!」



 文句を言うギルマス…よっぽど臭かったのか、涙目になって鼻を押さえていた。軽い頭痛もするらしい。だがパタパタと空いている方の手で空気を煽っているところを見る限り、余裕は十分ありそうだな。


 ま、それもそうか…普段のギルマスの方がよっぽど香水で臭いし。



「しょうがない、汚物は消毒する必要があったし。」



 レミィリアさんが援護射撃をしてくれた…眼帯を外して遺体のあった場所を眺めながら話しているので、何かを感知したのかもしれない。実際、そこにはまだ何かしらが漂っている気がした。



「あらあら、何かそこにいたの?」


「今回の下手人候補?」



 そうして一瞬にして固まる空気…あ、しまったと思った頃には親父と青ツナギに殴られていた。



「オイオイオイ、下手人て誰だ?何か知っていることがあるのならば隠さずにちゃんと話せ。」



 真剣にこちらへ問い詰めてくるギルマス。面倒になったのでとりあえず気絶さえることにした。



「…面倒だからもう記憶ピチュンしちゃう?」



 レミィリアさんの方向を見て尋ねると、ため息をついてから申し訳なさそうに頭を下げた。そして自分が説得するのでとりあえず勘弁してやってほしいともう少し大げさに言われた。


 美女の頼みだったので、しょうがなく見逃すことにした。



「ああそれとギルマスに一つ伝えてくれ。」


“個人の情報を探らないってギルド条文、ちゃんと守ってくれよ?”



 魔王曰く、コソコソ何かしらが私の後をつけたり結界を壊そうと試みたりしている奴がいるらしい。それが、裏ギルドに存在する気配二つだとか。



「…レミィは悪くないから勘弁してあげてくださいまし。」



 責めるような口調になっていたらしく、エリスさんに言われてしまった…申し訳ない。ちょっと脅しすぎたか。


 こうして親父と私の知っていることは上手くうやむやになり、火葬したら先へと進むことになった。




 なお、敵は最初から白目を剥いた状態で襲いかかってきたらしいです。けどきっと本国で待っている下手人はライくんと親父さんへ意図せず喧嘩を売るという想定外な結果に間違いなく白目剥いていることでしょう。

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