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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第1章 7歳までの軌跡(〇〇式英才教育基礎編)
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44 ライくん、村を建てる。(その1)

 読者のみなさまどうもこんばんは。ブックマークありがとうございます。


 さて、今回も軽い下ネタっぽい表現が入ります。嫌いな方はご注意ください。


 それでは今週の不憫第二弾をどぞ!




 …正気に戻ると、目の前には進化で更新された新たな体質に馴染むためにも休眠状態に入ったクロがいた。体色は相変わらず黒いままだったことを見てほっとする。名前、変える必要は無くなったと。


 進化先には満足しているらしく、感謝するような感情が伝わってきた。同時に鍛えて欲しいとも。


 まあその辺はおいおいだな、今は休むべきだ。そっと無事だった寝室へ抱えて行き、クロの普段眠るクッション入りバスケットベッドの上に乗せた。そっと上から掛け布団をかけて、部屋のライト切ってから部屋を出た。



「おやすみ。」



 さて、掃除…頑張るか。




◆□◆◇◆□◆◇◆□◆◇◆□◆




 掃除と洗濯その他諸々を超高速であらかた終えると空気清浄のためにも屋敷全体へ向けて浄化の魔術式を使った。お城や砦と言われても違和感ない規模の大きさなので、地味に魔力を削った。


 ああこれはやばいな…倒れそうだ。


 慌ててポーチからMP増強剤を取り出し一気に煽る。味は青汁を少し薄くしたものへドロを混ぜた感じか。ずいぶん改善されているので以前よりは断然マシである。だが日本人…というより人としてもう少し普通の味にしたいところ。せめて無味無臭、できれば色のイメージのようにメロンソーダ風味がいい。


 親父のオリジナルレシピだ下水道へ香りづけでドリアン混ぜた上で錆びた鉄と苦瓜の汁を入れたような味になった。なぜあれほど壊滅的な味を作成できるのか、本格的に謎。ある意味もうあそこまでひどいのはある種の才能だと思う。一つ癪だったのは、効果がちゃんとそれでも出ていることだった。


 当然飲んでいた最中盛大に咽せて間絶したことは言うまでもない。魔王(師匠)からは、むしろよくそんなゲテモノ飲めるものだと恐ろしいものを見るような目で見られた。それでもあれはまだ親父の劇物料理よりはまだマシなのだから、どれほど普段がひどかったかは容易に察することができるだろう。


 現にそのせいで現在こうして私が掃除したのだから…



「親父…は復活したみたいだな。魔王はまだか。」



 被害にあったのは幽霊や怪奇といった現世での影響を受けづらいはずの謎生命体?生物?であった。だいぶ消耗したようで現在も全体安静。客室とか全開放して寝かしている。劇物入りのスープで食中毒を起こして下ったのだから、その疲労は想像を絶するものだろう。げっそり痩せて、顔色もさらに悪くなっている。顔色は元から土気色だし、体型も生存時(現役時代)の全盛期に戻っているはずなのに。というか、すでにお亡くなりになっているか人の概念や畏れから生まれた存在なのに…彼らへ大打撃を与えた細菌類へ戦慄を覚えた。


 当然全部消毒したことは言うまでもない。


 余談だが、元凶となったスープは視界に入った時点でもうなんというかモザイクがかかっていたので速攻でどっかに飛ばしておいた…黒が生まれたてで飛ばしたあのやばい液体と同じで。よく見なかったが、おそらくちゃんと見ていた場合SAN値直葬していただろう。なんというか、人が見てはいけないクトゥ○フ的な何かを受信仕掛けた気がした。


 飛ばした先は…まあ頑張れ、私の拘らないところで。






 その頃、某管理局では大災害が発生していた。


 世界規模の災害種が発生したと愉快犯である一部の管理見習いが全国海賊放送した直後、いきなり寸胴鍋が飛来してきたのだ。しかも逆さまな状態で。


 中身がひっくり返ると高温でもないのに紫煙を上げるどろりとした粘体が飛び散る…一部へはモザイク付きで。どうやらちゃんと目視するには精神年齢18歳の年齢の壁を越えなければならないらしい。愉快犯な管理見習いはどうやら運悪く18歳以上だったらしく、はっきりと目視してしまった。


 座り込んでジョロロロォ…と独特な臭いを湯気とともに発する黄色っぽい液体が足元で拡大した。彼はそのまま目の前が真っ暗になった。


 モザイクはその横をソロリと通り過ぎ、閉まっているドアの隙間から部屋の外へと出て行った。その際部屋で気絶する存在の放った液体と服は吸収したようで、後に残されたのは全裸で気絶する愉快犯であった。きっと目を覚ましたら速攻でトイレへ向かうことになるのだろうというのは口元に流れるモザイクのかかった雫を見ればなんとなく察せられる。


 なんというか…強く生きろ。


 液体は廊下へ出ると一気に体積を増やして分裂を始めた。その姿はもうすでに一つの生命体であったが、もちろん彼らは明確な生命とは言いづらい。強いて言うなら細菌類のコロニーだろうか。それも食中毒菌の中で猛毒に打ち勝ったツワモノ揃い…なぜそもそも食物だと認識して感染したのか本当に謎である。


 そんな変態的に強力な細菌類は愉快犯からもらったまとも(・・・)な養分吸収したため急速に増えだしたのである。


 毒の状態異常で既に増えることができたのだ、それも毒を糧に。ならば、弱毒あるいはほぼ無毒なエネルギー量の多い物質を得たならどうなるか。答えは決まっていた。


 どんどん分裂していった細菌は、新たな宿主や養分を探してさらにその場で拡大していった。同時に変異種などを生んで。



 一度始まったパンデミック(集団食中毒)はこうして管理局全体へと広がっていったのだった。



 後にこのことがバレた愉快犯は、罰として1光年ほど1人でトイレ掃除することを約束させられた。同時に彼の関わっていた『聖光教会』と呼ばれる普人族の勝手に作ったカルト団体の存在が明らかになった。なぜか管理システムの一部へアクセスした上でその権限を勝手に使っていた件など。その手引きを行ったことが余罪として愉快犯は追求されてさらなる罰が下されるのだがまたそれは別のお話。とりあえず真っ先にアクセスを切った上で権限は全て返されたのだった。


 こうしてライくんは、知らぬところで敵の力をまた削った。






 …なんだか遠くの方から悲鳴が聞こえたような気もしたが、気のせいだったことにしておこう。精神衛生上その方がいい。きっと、メイビー。


 汚染された衣服を仕方なく焼却処分したのち、新たに買い出しが必要になってしまった。思わぬ出費で頭痛がしてくる…いっそ、自分で作ってしまおうか。幸いなことにも前世の友人のおかげで浴衣の作成なら多分できる。簡単な型や必要なものなども知っている。ただ心配なのはミシンがないことか。


 ここで魔王が復活していればよかったが…ちらりと魔王を寝かせたリビングのソファーへ目をやるが、青い顔でげっそりしていた。



 魔王、マジ使えねぇ…



 親父に今回の顛末一応聞いいたのだが、あいつが悪いと指差した先には魔王がいた。どうも、親父がつくった劇物料理の管理を魔王に任せたようだ。一番任せちゃいけないやつにだってわかっていたはずなのに、ついうっかり任せたしまったようだ。


 南側の暖かで日の当たる部屋に蓋もせずに置いておいたと聞いて、頭痛がした。ついでにできた当初にはなかった白いプツプツが浮かんでいた上で酸っぱい匂いがしたので温めなおて食べたと聞き、軽く眩暈を起こした。


 ほんと衛生管理ってなんだったけ?


 魔王曰く、親父の作った劇物へさすがに細菌類が生えるなんて予想外だったんだから仕方がないだろうと言われた。もう本当にそれ以前の問題だと認識している私は果たして間違っているのだろうか。


 親父も魔王も言い分はわかったが、どっちもどっちで色々ダメだったのだと改めて納得した。もう二度と再び食品を扱わせてはダメだ。



 さて、そうしてやっと整備された家を見て増築する必要があることを思い出す。この度目出度く半獣族を丸々抱えることになったので、その分の人数を考慮しないとならない。


 …こうなったらもういっそこのこと新たに住居作るか?村みたいな感じで。


 よくよく考えてみるとこの辺一帯は私の縄張り扱いになっているらしい。正確には親父と魔王がなんかしらやったんだろうけど普通の獣や実力を測れない程オツムとかが弱く無謀な魔物以外遭遇することはないのだ。だから、森の中を開拓して村を作ることもまあ可能ではある。


 それにだ。別に平地にこだわる必要などなく、ここと隣接する形で住居作ればいい。ここのモデルとなったインディアン住居も元はそういう目的で作られていたわけだしおかしな話ではない。


 なら一応、希望を聞くか。



 ゴンに案内させた『畑①』へと向かった…森を開拓して作った場所だ。こっちは親父の庭師(霊)が管理している方であり、親父自ら管理している方とはまた目的が違う。ここでは主に普段使いの野菜などを生産しているので危険物は一切ない。


 なお、劇物はまた別の場所で親父と生産している。魔王の結界がある上で簡単にたどり着けない場所に作ったので森をさまよった結果間違ってはいるということはまず起こらない。



「ディエゴさん結構待たせた。」


「いえ、むしろ何も手伝えず申し訳ないです…」



 本気で申し訳なさそうに恐縮するディエゴさん。やっぱりこうしてみるとどう頑張ってもマフィアにしか見えない…威圧感半端ないです。その前にもふもふに目が行くからいいけど。


 というか、しゅんとしなだれている耳と尻尾の毛並みがすごくいいです。触ってはさすがにダメだよな…ダメなんだよな……アウトなんだよな…


 若干、いや、すごく惜しく思いつつも目をそらしながら発言する。



「いや私もあんな状態になっていたとは予想外だったのでな…それより本題に入るが、これから君たちの住居に関してどうするか決めようと思う。」



 元から私の配下になるとはいえ、住居を共にするのはディエゴさん一家と決まっていたのでその辺の争いはなかった。だが、ディエゴさんの護衛をどうするかという話と皆がどこに住むかという題を話し合うことになった。


 結論としては、皆は畑周辺の土地が気に入ったのでその辺に隠れ里を作ることになった。そして普段は畑の管理と森のケア、それから狩猟で生活したいと言われた。どうもそれが、街に来る前の半獣族の暮らしだったらしい。


 親父の庭師はこれでガーデンにも力入れられると喜んでいた。野菜ばかり育てていたので多分ストレスが溜まっていたのだろう…悪いことをしたと若干心が痛んだ。


 そうだ、今度バラの苗木でも買ってやろう…給料で。



 ディエゴさんの護衛だが、いらないと本人が言ったので納得はしていない様子ではあったものの無しになった。別に人質としてうちにおくのではなく部下とするためなんだが、私が普人族ということもあって不安らしい。特に、王侯貴族特有の色彩を持っていることから。


 信用はされているが、未だ信頼はされていないということだ…まあ初対面で難しいだろうからおいおい信頼関係を築ければいいと考えた。


 ちなみにだがディエゴさんは部下へこう言って納得させていた。



「ライくんもそうだが、彼の御家族を考えてみろ…我々との実力差がわからぬはずもないだろう?我らの破滅を望んだなら一瞬だ。」



 なんだこのガキと思っていたらしい若い連中がこっち一瞥した瞬間滅茶ビビってました…いや、別に滅ぼすとか考えてないからそんな尻尾巻かなくてもいいから。


 そんなわけで、畑の拡大と村の建築を始めた。




※一応15禁の作品なので、18禁どころかSAN値削るような物体?生物?はモザイクかかっています。

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