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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第1章 7歳までの軌跡(〇〇式英才教育基礎編)
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41 ただいま、(その①)

 読者のみなさまどうもこんばんは。ブックマーク及びご意見・感想ありがとうございます!行間は後日直します、申し訳ないです。


 さて、それでは今週の不憫をどぞ!





 二頭身でしょぼくれたウォルターさんが普通モードへ復帰した後助けた貴族へ今回助ける報酬として用意してもらっておいた契約書へ依頼達成の字を記入してもらった。報酬はこの件を貸し1として、どこぞの貴族や王族と揉めた際力になってもらうっていう内容。ただし、相手のできる限りとちゃんと一筆書かせたけど。


 私もさすがに命運ともにしろとは言わない。それは相手には不可能なことだ、特に領主になるなら絶対に民は私事へ巻き込んではならん。なら何故これを報酬としたか?


 簡単だ。これから数年後に使う予定ができたからである。


 話は少し前に遡る。






 裏組織の負け犬が逃げた頃、そういえば報酬もらわねばと思い出した…賭博場で助けた会長のおっさんが詐欺師へ毛刈りを始めとする倍返ししている状況を横目に。


 報酬は彼の出身国であるフリュンメルス王国の情勢。だが特に〇〇について。


 今しばらくはおたのしみ中であるようなので見逃しているが、終わったらしっかりしぼり取らねば。オリーブの実と同様、絞れば絞るほどきっと情報吐き出してくれるだろう。それも商会の会長職なら期待出来る。



 そうして聞き出した結果、危うい事実がいくつか発覚した。



 もしかしてと思っていたが、やはり王侯貴族の社会はドロドロしていて私の肌には一生合いそうにない。避けるに限るとは思う。だが今回の件そうも言っていられんようだ。特にあの子を助けるためには相手を知り、飛び込む必要が出てきた。


 面倒だが仕方がない。その代わり対価として〇〇を仲間にもらおうか。正当な報酬だ。きっと本人も納得してくれると信じている。あの刻一度の遭遇だったがあの魂の色は気に入ってしまった。


 助けてもらうわけだし仕方がないと諦めてもらおう。



 さてそうと決まれば王侯貴族と絡むわけだし餅は餅屋ならぬ貴族は貴族に任せるのは一番。特に、同盟関係で食糧をほぼ輸入に頼っているフリュンメルス王国。ルドルフくんの暮らすこの国ベルシア王国には強く出られまい。それがたとえ、公爵以下の地位であっても。


 だから悪いが一度彼の庇護を受けられるという証文を用意してもらった。悪用はしないで欲しいと釘を刺されたが、肝心なことに触れず目的を話すと黙ってくれた。




 色々あって疲れたが、収穫も多い遠征だった。ではやっとだが帰るか。


 来た道を戻り、道中すっかり忘れていた式神と化した商人と冒険者を回収したり、首から下が埋まった上で毛刈りにあった哀れな盗賊へお仕置きするためカメムシ爆弾撒いて逃走したり…他にはそうだった、町を出る前ルドルフの叔父さんから操られた情けない衛兵へ自爆必須カメムシ爆弾を投下してやってくれと頼まれたのだった。


 衛兵が普段訓練で使っているという広場へと操られた衛兵のみが誘導され、そこの上空から投下してやった。新型だったため雨みたいに降り注ぎ、陽光を受けて少しくぐもった色の虹を作っていた。


 虹の橋下には富とか福はなく、死屍累々と化した衛兵がそこにはただ転がっていた…悪臭を放って。これできっと目を醒ますことだろう、他のカメムシ爆弾被害者と一緒で。



 これが後の『カメムシ爆弾被害者の会』という謎の会合のきっかけとなるのだが、今の私は知るすべもないのだった。






 行きと違って大きな妨害とかなかったのですぐに街へと着いた。そして、門から直接入るとあの門番にとうとう見つかってしまうトラブルがあった。


 もちろん知らんふりして通り過ぎたがあれは絶対気づいただろう。



 そうしてウォルターさんの宿へ着くと、キノコBBAが襲ってきたと思しき人たちの頭へ色とりどりのキノコを生やしていた。はっきり言って不気味だったがまだ街への被害がなかったことへ安堵した。


 ジト目で非常識なことするかと罵られたが、行きしなのあの態度から怪しまれるのも仕方がないと思う。


 奴隷と化したウォルター(呼びにくいので以後ウォルターJr)はとりあえず身分とかばれないように本人の希望通り幻術の術式の描かれた腕輪を渡し、地味な容姿の一般市民になってもらった。そう上で、ウォルターさんが引き取ると言ってくれた。


 正直助かった…助けていただいた恩をこんな形でしか返せないと言われ、逆に胸がぐさっとしました。絶対言えない、故意でなかったとはいえウォルターさん埋めちゃったこと…本当、ごめんなさい。心の中で深く謝っておく。



 ここで一泊し、翌日町を出て行った。


 もう少しキノコの森とか見たかったのだがもうそろそろ本気で裏ギルドへ出向かないとまずい気がしたのだ。それに、さすがに家を空けすぎた…餓死してなければいいが。






 その頃、ライくん宅ではすっかり存在感を消していたスライムの突然変異種クロイスラー・ニュースターが頑張って家の掃除と除菌をしていた。必死に1匹だけで廊下に撒かれた吐○物や○痢を体内で処理し、そして清潔な水やスポーツドリンクを自分の体から分泌して危険な状態の住民から看病していた。


 その甲斐もあって、実は進化しそうであった…現在はもちろん休眠できない状態なので耐えているのだがもうそろそろ限界を感じていた。ご主人、早く帰ってこないものかと不安がっていたりした。




◆□◆◇◆□◆◇◆□◆◇◆□◆




 なんとか国境線を超え、自分の家のある国へと帰ってきた…道中少しだけ寄り道して食材を買ったのは、決して自分のためではなく家族のためであったことは一応語及しておく。どうせ家帰ってもろくに食糧あるまい。親父が毒物作っている可能性も高い。


 さて無事だといいが…まあそれより今はこっちか。



 現実逃避しつつ、裏ギルドの扉を開いた。



「お疲れ様です。」



 すると、ギルドの中は一瞬でシンと静まり返る。そうして唖然とした顔でこちらを見ているメンバー。様子もまた随分と可笑しなことになっていた。


 ジョバンニは騎士らしい白銀の鎧をまとった上で野太い剣を腰に下げている。その後ろにいるメンバーもなぜか同じ格好だ…全員鎧の肩にあったと思しき紋章を剥がした跡から、脱走した騎士の可能性を匂わせていた。


 続いてその横にいる受付のエリス嬢とマゾ○スト。彼らはこれからまるで夜会に行くかのような格好をしている。特にマゾヒ○トは豪華絢爛で、まるで王族みたいに見えた。


 その後ろには珍しく男装…普通のかっこいい冒険者装備に身を包むギルマスとレミィリアさん。こうしてみるとマジでイケメンなリア充で爆発すればとか思ってしまうが不謹慎なのでとりあえずカット。


 ジャム爺さんはなぜか試験管を大量に隠し持った最高位っぽい神官服をまとい、それ以外の人たちもそれぞれ見慣れいない格好をしていた。



 えっと…



「私お邪魔だったか?(どうぞごゆっくり)」



 驚いた結果心の声と発言が逆になったが、とりあえず扉を閉めて一旦落ち着いた。


 深呼吸をする。


 そうだ、きっとこれは私の幻想だ。そのはずだ。



 希望を信じて扉を開く。




・・・・・・・・・




 目をこすったり頬つねったりしたが、どうやら夢ってわけではないらしい。なら、これは一体どこに行くための格好?


 そこで、前世の仮装大会を思い出した。



「ああ、あれか。仮装パーティーか、なるほど。」



 ぽんと手を叩く。



「『いやいやいや、どう見ても違うから(だろうが){じゃろうが}!!!』」



 なぜか全員からこうして否定されたのだが、照れ隠しなのだろうと再び現実逃避をする…というか、したかった。






 着替えを終えた人々を見渡し、安心する…ギルマスは急いだこともあったのか、現在は男装というか普通の服装を普通の顔でしている。イケメン爆発と思うが、普段よりは全然マシなのでもうこのままでいてくださいと内心では思った。



「それで一体何をしていたのですか?」


「やっぱりそれ聞くのか?!」



 いやだってね…気になるし。


 すると、照れたようにギルマス共々ギルド員は頭をかきながら目をそらす。そしてポツリとギルマスが、仕方がなさそうに返事をした。



「…君が凶悪なギルドの事件に巻き込まれたことを知ってね、ちょっと特攻しかけただけ……別に心配だったのではなく、ギルド員が巻き込まれるのが癪だっただけだ。」



 頰どころか顔中真っ赤にしてそう答えたギルマスのツンデレ的発言に、一瞬鳥肌が立つ。だがよくよく考えてみると私7歳、本気で心配してくれたらしいことが他のギルド員の囁きで伝わった。


 曰く、あんな依頼渡さなきゃよかったとか。


 曰く、7歳児なのに危険地帯へ赴かせてしまったとか。


 曰く、助けださねば…野郎ども特攻だ!とか。



「う、うるせんだよ黙っていろ!!!」



 全くとギルマスが頭を引っ掻き裏へと下がろうとしたので、私は“ありがとうございます”とぼそりと伝えた。後ろを向いてカウンターの奥へ行く際口角が上がっていたので多分聞こえたと思われる。


 ギルマスに変わって、レミィリアさんが出てきた。



「ライくん…よく生きて帰ってきた。お帰りなさい。」



 そう言って抱きしめてくれた…暖かい体の感覚に緊張していたのか体の力が抜ける。きっと安心したのかもしれない、無事だったと。無事になることがわかっていたとしてもだ。



「えっと…ただいま、戻りました。」



 どうやらそれほど交流がなかったというのに心配されていたらしい。その事実が少し嬉しかった。それは私を心配してくれる生者がいたこに対してなのか、それとも7歳という子供の体がそう感じているのかわからないが。


 ともかくだ。



「みなさん本当に、本当に…」



“ご心配、おかけしました”




 頭を下げ、ありがとうございますと声を出すとギルド員がうおおおおおぉぉぉと私の帰還を祝福してくれた。


 その日は私のおごりで酒と料理を注文して宴会状態となった。もちろん途中で抜け出し家に帰ったが。



 …後日、事情を聞いてみたところ本気でやばい組織とやりあっていたことがわかり少しだけゾッとした。少しである理由はもちろん、私の家族の方が数段怖いからである。




 とりあえず、初指名依頼達成である。



 裏ギルドの連中は焦点当てていないメンバー含めて全員何かしらの過去があり、これからそれが明かされていくでしょう。


 さて、タイトルにもある〇〇の中には一体なにが入るのでしょう。明かされるのはもう少し先の出来事、お楽しみに!


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