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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第1章 7歳までの軌跡(〇〇式英才教育基礎編)
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30 真実はいつもひと…すべては証人次第

 読者の皆様更新が遅れて申し訳ないです。ブックマークありがとうございます!


 さて前回は街中で鬼ごっこ(真)をしていましたが今回上手く撒いているか…それでは今週の不憫をどぞ!



 右よし、左よし。前よし、後ろよし…今度こそ本当にいないな?いないよな?フリではなく本気で誰もいないな?


 不味い、フラグたてたかも…今までの経験から凄く心配になったため念のためもう一度サーチ掛ける。だが確かにここには我々を除く生物らしき反応は微弱なもの以外は一切みられなかった。これならせいぜいが微生物〜小動物。間違っても人間では無い。


 ようやく撒いた、か。


 手だけで合図をすると、ゴンがまず脱力する。それを見て難がさったと察知したのか全員脱力してその場に座り込んだ。無理もない。街のどこに行ってもゾンビパニックの映画宜しくエンドレスに湧いて出てくるキチガイ共にはもう懲り懲りである。


 体力なら私より高い筈のゴンでさえも何だか疲れた顔をしていた。きっと私も7歳らしからぬ老けた顔でもしているのだろう。何でこんな苦難ばっかりなのか、理不尽に思う今日この頃であった。



 故に、そんな中1人元気にはしゃぎ出すやつがいたとしたら軽い殺気を抱くのは仕方がないことだと思う。



「すげぇ、結界の使い手だったか…もしかして案外いいとこのでだったりするアベシッ!?」



 盗賊の男がほざいているが、無視したついでに張っ倒しておいた。何でこんな目にとかほざいているが自業自得。お坊ちゃんと執事が白い目で、私がゴミムシを見る様な目で見てやった。ゴンはアウトオブ眼中、いない存在として扱っていた。


 だけど、実際そんな余裕ではない…内心は冷や汗ダラダラである。


 どうも、相手さんにこっちが貴族階級だってバレてるっぽい。私がそうだと認めなければバレない様にしているが、ふとした拍子にポロリしないか不安である。特にこう、イラついている時とかってやらかしやすいので心配である。


 思わずため息が出た。


 あ〜あ…ただこっちは平穏を望んでいるのに何でこう、突いてくるんだろうか。相手の秘密を知るってことはそれ相応のリスクを背負うことになるのに…知ったことによって口封じされるなんて物騒な未来だってあり得るのだ。


 余計なことに首突っ込まないことが平穏に生きるコツである…私が言えたことでもないが。また、相手側から転がって来たら仕方がないと諦め、速やかに被害とリスクの少ない解決方法を導くのが最善。できれば他人に押し付けトンズラするのが一番楽だろう。


 …さらっと親父(外道)の言っていた同士討ちを思い出して慌てて頭から追いやった。


 さて、一応油断はしないがほぼ大丈夫だろう。少し信じて見るか。それに、こんなところで下手に答えてわざわざ墓穴なんて掘るわけには行かない。言質を取られないよう今まで以上に慎重になればいい。それに、何のため今の今まで不便な山奥で隠遁しているか…それ考えればこれくらい何のこれしき。


 そんなことよりもだ。いい加減、こんなパチモン貴族ではなくモノホンの貴族サマからもっと詳しく事情を聞かないとな。そのためにもさっさと起こすか。


 例のごとく花瓶を作って水を掛けた…今回は薩摩切子。



「いい加減起きろ」



 そうして起きなかったので、手刀を準備す…「あんさんそれは流石に死んでまう堪忍してやってくれたら後で飴ちゃんやるからとりあえずその物騒なものしまってついでに花瓶くれないかな…調子に乗りましたすいません」



 さりげなく図々しいお願いをしてきたが、見事なめり込み土下座を披露していたので今回は見逃すことにした。なお、花瓶は容量不明な汚いバッグの中へ仕舞った。いい拾い物をしたものだ。


 しょぼんとした表情ですがる様な視線を寄越すチャラい盗賊は無視し、水の滴る次期当主(自称)『ルドルフ・ブレッド・オブ・フォルスダウン』を見る。意識の戻った坊ちゃんは、自分の置かれた状況を理解したのか非常に悔しそうな顔をしていた。執事も同様。



「今は悔しがるより何があったか説明。」



 まさかあれだけではないだろう?


 そこから怒涛の質問攻めを開始。相手が僻々とした表情をしてもがん無視して疑問に思った点を次々指摘して行った。絶対何か重大なことを隠しているに違いない。なんせ、そんな誤作動する様なちゃちな魔導具の一つや二つで街中(・・)に勤務する衛兵が操れるとは思えないからだ。


 特に気になった点は追っかけ回された時感じた変な視線…あのねっとりする様な、厭らしい眼差しは一体何者だろうか。


 そうして尋…質問攻めにして行ったらゲロッた。



「……つまり、誰かにそのギルマスも操られているってことか。」



 以前までは普通に仕事をしていたらしい。可もなく不可もなく、凡庸で特に突出することもなく…むしろ面倒臭がりで突出したものを嫌う傾向にあったとか。間違っても野心を持ち、牙を剥く様なタイプではなかったと。


 ウォルターさんが襲撃したタイミングもさっきの説明とは違うとか。咎めるような目線で見ると気まずそうに目を背けていた…しょうがないか、言いたくないこともあったんだろうし。


 気を取り直して説明を促す。


 ルドルフ君達が豹変した衛兵に襲われている最中、ワイヤーに飛び乗り移動する初老の男性が現れたとのこと。特徴を聞いた限り間違いないだろう。髪を一つに結っているところもメガネをかけていることも、全て当てはまった。


 敏腕の暗殺者疑惑が更に信憑性を持ち始めた…案外元はどこか偉い王侯貴族が勤務先だったりするかもしれない。


 さて。実際に起こったことだが、魔導具が誤作動を起こした結果左手とギルマスが炭化したことに唖然とした領主(ルドルフ君の叔父らしい)を見るなり、首根っこを掴んで連れ去ったそうです。死んでなかったんだな領主…いや、場合によってはすでに殺されているかもしれんが。


 ここの領主、はっきり言って相当恨まれている。浮遊霊から情報収集した結果、結構な暴君であったことがわかった。曰く、税は高く、横暴かつ傲慢な態度を市民にとっており、先日には馬車の前に飛び出した孤児を轢き逃げしたとか。唯一、性犯罪と人身売買へ手を染めていないことだけが評価できると言えるだろう。


 ついでにだが、ルドルフ君の執事から見た評価は酷いものだった…ルドルフ君の父親が事故死した直後に居座り、何らかの手を使ってあっという間に領主の座を取られていたとか。しかも何が恐ろしいかって、その叔父だが元は男爵家三男、婿養子でルドルフ君の叔母(ルドルフ父の妹)に当たる人と結婚していたとか。ついでに叔母は他界しており現在愛人を複数囲っているらしい。


 …そんなドロドロした話聞きたくなった、厄介ごとの臭いしかしないじゃないか。


 執事の一方的な話からは胡散臭い(感じの)男ではあったが、ルドルフ君の話を聞くと印象がだいぶ変わった。


 ルドルフ君曰く、危害を加えることはなかったとか。むしろ、助けられたことの方が多かった上本物の息子の様に可愛がってもらったらしい。掌握するために甘えさせるというより、ガチで領主として経営学、人心掌握術、…果てはバレない着服・横領の方法とか教えてもらったとか。ん?最後の2つは犯罪…気にしないでって?わかったとりあえずスルーするか。


 ルドルフ君の両親が他界した頃、遠い親戚筋を自称する連中が寄ってきていたらしい。当時のルドルフ君は5歳。当主になるにもまして、領のあれこれを采配するにも幼すぎた。身を守ってくれる両親もおらず、唯一親の代から士官していてくれた忠実な家臣達に守れられていたらしい…彼らは次々不審死を遂げたとか。


 そうして次々親しかった人たちが亡くなる中、病弱だった叔母が心配できてくれたそうだ。


 叔母が叔父へとルドルフ君の状況を心配して助けを頼んだのか、少しして来てくれたとか。本来なら国からの命令で請け負っていた開拓へ専念していたかっただろうに、フォルスダウン領の統治を同時進行で行なったそうだ。


 なんだ、滅茶苦茶いい人じゃん。執事がチッと舌打ちをしているのが視界に入ったが無視してルドルフ君へ続きを促した。


 さっきの話の続きだが…開拓と荒廃が始まりかけていた領地の経営。そんな多忙極まる状況の中、ルドルフ君の叔母が他界した。無理が祟ったのか他の理由で体調を崩したのか。或いは他殺か。だが、それ以来叔父は変わってしまったという。


 以前はいい領主をしていたのだが、文字通り悪代官になってしまった。


 ルドルフ君のことは大事にしていたが、それ以外、特に税の取り立てや公共事業などで不正をするようになったとか。お金を稼ぐことへ執着し、他にも裏ギルドをはじめとする犯罪組織と関係を持つようになったらしい。


 治安は悪化し、領民も段々と正気を失っていき……



 そして現在、怪しげな取引をしていた最中魔導具によって腕が炭化。直後ウォルターに連れて行かれたという。



「…これは正直ウォルター側にも話聞かんとわからんな。」



 ウォルターさんの場合、犯罪組織によって甚大なる被害を長期に渡って被って来たことが予想できる。おそらくはルドルフ君の叔父が間接的な下手人だろう。なんせ、街の、領の中へ犯罪者を招き入れたのだから。呪詛による苦しみは想像を絶するほどのもの…元から素養はあったにせよ、よく耐えられたものだと思う。


 だから復讐されていても文句は言えんだろう…だがそんな単純なことをするだろうか?仮にだが、裏組織に関わりが、経験が一度でもあるなら裏を取るために尋問などをして証言を得るだろう。確信が持てたら次々襲撃していく感じか。


 少なくとも私や親父(現役時代の外道様)ならそうする。


 魔王?アハハハ…わかってないな。あの理不尽を激怒させることをするなんて発想に至るのは多分勇者くらいしかいないと思う。一般人がやったら下手人諸共その日のうちに消されると思う。



 それにしても想像以上に厄介なことになった。


 何でそんな面…厄介な状況に首を突っ込んでしまったのかと後悔しかない。だが一度は乗りかかった船だ。最後まで面倒を見る必要がある。特にこうやって事情を聞いてしまった以上は致し方ない。


 ……なんか、幻聴で『拾って来た場所に捨てて来なさい』という声が聞こえたんだが、気のせいか。



 あ〜あとがっくりしながら隣を見るてギョッとする…セアス君が男泣きしているんですが。



「お兄さん、めちゃ感動した!叔父さんの無念何とか晴らしてやろう、俺も手伝うし!!」グジュン



 滴る鼻水をジュルジュルと吸い込みながら、下手人探しは任せろと言ってくる。だが、不安しか感じないのは気のせいか?こんなんに道案内させて無事下手人まで行き着くどころが逆に迷わないだろうか。


 そんなことを考えていたせいか、非難するような視線を一瞬セアスくんから受けた。だが、きっと私だけじゃないと思うぞ。


 …まあいや。迷っても最悪どうにでもなるし。



 こうして各自が方針(?)を決め、安全地帯から動く段となった。



 うぅ…次回こそウォルター様を!!


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