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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第4章 悠々自適な9歳前半(〇〇式英才教育標準レベル実践編)
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198 強さを求めるか

 読者の皆様あけましておめでとうございます! ブクマ増えて驚いています、ありがとうございます^^


 それでは年明け初の不憫をどぞ!




 野菜の半精霊の食事をどう賄うか聞いた時だった。



《あ、あ〜……マスターのマスター? 聞こえますか?》



 頭へ直接電波攻撃がきた。まるで、最大音量にしたカラオケマイクを使って、耳元へ叫ばれた感じだ。

 耳は痛くないのだが、頭が痛い。キンキン声だったのが尚悪い。



「……聞こえているから音量落としてくれ」



 切実にそう頼むと、キュウリがこちらへ向いているのが見えた。今話しかけてきているのはお前かと尋ねると、頷いた。



「で、食料はどうやって君たち賄っているの?」



 それに、野菜(食品)と我々の関係は被食-捕食関係である。こればかりは変えられない。



《ええと、その説明をするため最初に僕たちの種についてお話しします。少し長くなりますがいいですか?》


「わかった、話してくれ」



 そうしてキュウリ君(仮)が話した内容をまとめると以下の通りとなった。


1. 本体は野菜でなく半精霊→霊体

2. 性質は野生のゴレムに近いが本質が違う

3. 契約者エリックと私の霊力供給で稼働中

4. 宿ると他所では最低限10ヶ月その野菜の鮮度は保持される

5. 街にいる間は魔術式で霊力・魔力の補填可能

6. 今後も増える可能性有り


 今わかっている分はこれだけで、今後も色々判明してくるかもしれないとのことだった。

 率直な感想として、霊力ってなんか電気みたいだなと感じた。そう考えれば街の魔術式は発電所みたいなもので、私やエリックは移動式充電池か発電機だろうか。

 一瞬脳裏に私へコンセントが大量に出ている図が浮かんだが、あんまり酷い光景だったのでサッと消した。なんか思ったより絵図がひどかった。


 気を取り直して。この中で1つ大変気になったことがあったので、キュウリ君に早速聞いてみた。



「ところで、私と直接契約していないのに何故霊力供給を受けられるの?」


《マスターエリックを仲介して、ライ様から供給を得ています》



 答えたキュウリ君は、エリックだけでは全員動かせなかったことを説明しだした。

 曰く、私の霊力は質が良いとのこと。私の霊力で稼働可能な運動量と時間をエリックの霊力で行うには、私が1に対してエリックは5必要となるらしい。

 なるほど、だから幽霊に集られるわけだ。


 そううっかり呟くと、方々で「集るとはなんという無礼な物言い」と抗議の声が上がった。その様子にゴクリと唾を飲み込んだエリック。

 やっぱり見えとるのか。



「エリックも頑張れば伝説の死霊術士になれるかもな。」



 前も言ったが、英霊をねじ伏せられる筋骨隆々な肉体、潤沢でバランス良い魔力・生命力・霊力、そして幽霊を見る才能。この3つが揃って初めて幽霊を使役する資格が得られる。私は例外として。

 エリックにはこのうち、運と霊力、霊視の才、ついでにたぶんだが潤沢な生命力を持っている。だからこそ呪われた寒村で今日まで健康に生き残れたのだろう。

 仮にこの寒村に生まれていなければ、今頃成功していた可能性が高い。


 こう見ていると人生ままならないものだと思うが、だが、まだ若いエリックにもチャンスはある。

 現に、私がここにいるのだから。



「エリック、村が落ち着いたら冒険者やらない?」






 勧誘結果は考えさせてくれとのこと。

 念のため紫水晶で簡易測定してもらうと次のとおりとなった(結構高くついた……稼がねば)



エリック・ハイドリアン

年齢:23  性別:男

所属:旧ハイドリア村→[名無し]村

HP 3,500

MP 2,000

SP 65,000

特筆事項:主人ラインハルト・■■■・■■■・■■■■■■■■■ と現在使役契約中


 スキルに関しては簡易での測定なので省略されていた。

 また、隠蔽スキルの使用により、ファーストネーム以外はうまく隠れた。これを試す意味でも使ってみてよかったかもしれない。


 本人はこれを見て驚いていた。

 同時に目の奥に燃えるような意思が見えたので、期待できるかもしれない。とりあえず、村が落ち着くまでは村長やってもらうつもりだったので、トレーニングプランだけ立てておこう。



「ああそれで、結局野菜たちはいいんですか?」


「いいよ」 「「「ええぇ!!?」」」



 被害者の会、解散決定☆

 話を聞く限りだとこちらに利益しかない。


 鮮度を10ヶ月保ってくれるということは、冬にも夏野菜が食べられる。これで、地面凍結によって蕪も育たない場合でもビタミン不足(特に壊血病)にならないだろう。

 それに、貴重な労働力だ。有効に使うのが吉だろう。

 

 渋々わかったと頷いた人とそれ他。まぁ万人言論だけで納得することはないと思うので、実践して実感してみてくれ。どのみちそう簡単に野菜は死なないだろうし。

 復活したリア充トマトとパプリカからそっと、目を逸らした。



 さて、じゃあ後ここでやることは、兄貴に決めてもらうことか。

 我々と付いてきて力を蓄えるか。ここで救出した孤児と一緒に穏やかに暮らすか。


 別にどちらを選んでも私はいい。

 けれど、兄貴が私と双子関係である以上、【双子共鳴】の影響を受けている以上、平穏は難しいだろうと思う。


 今後、私は強くならねばならい。


 フォウスティウスの名を背負っていることもそうだが、ステータスを見て気づいたのである。不穏な称号が増えていたことに。

 やられたのは多分、転生時。

 どういうつもりだったのかは不明だが、こちらとしては良い迷惑である。弱いうちに強者を呼び込まれて今まで難儀したことしかなかった。

 スタンピードに始まり、悪霊な親父、魔王と続いた災難。その後もいく先々何かしらトラブルが起こっていた。

 一歩間違えれば私は転生直後に殺されていた。時折指差して私を嘲笑う黒いゴムボール管理者の姿は、嘘ではなかったのだろう。


 だから、何が何でも畳の上で今度こそ大往生したい私は強者になる必要がある。

 兄貴には悪いが、私は自分を鍛え続ける。


 そして強者は強者を呼ぶ。

 兄貴が【双子共鳴】で中途半端に力を入手すれば、恐らく平穏は速攻で終わるだろう。世紀末異世界の覇道へ足を踏み入れるのも、時間の問題となる。


 さて、今の平穏と、強者として得られる可能性がある平穏。今の兄貴はどっちを選ぶだろう。





 今年もよろしくお願いします!

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