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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第1章 7歳までの軌跡(〇〇式英才教育基礎編)
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14 良い話しと悪い話し

 読者の皆様どうもこんばんは。それでは今週の不憫第一弾をどぞ!


 やはり、こういう形で接触してきたか。


 波津香の正体を暴いたと同時に召喚陣が現れてた。そしてそこから現れる偉丈夫。見覚えのある顔に、よく知っている2本の角。だが、その色は想定していたよりひどい状態だった。だがそこは置いておく。



「今更ここに来て、一体どうするつもりだ?」



 あんなになるまで放置したのに、よく顔を出せたものだな。

 転生以来、初めて真面目に怒りという感情を抱いた気がする。確かに今までも苛立ったり悲しみを感じることはあったが、これほど憤りを感じたことは多分あまりなかった筈。


 少し落ち着こう。これは感情的になって当たってはいけない案件なのだから。

 人1人、それも偶然だろうが縁有る者の命運が掛かっている。同時に現在在住の大陸規模的に割と深刻な案件である。下手を打てば、崩れかけのとあるシステムが完全に崩壊する。



「一応事情はちゃんと聞くが、ギルにしたことはちゃんと覚えておくからな。」



 そして色々事情を聞いた結果、今相対しているのは残念ながら希望的観測しがちでどこか夢見がちな人物だと判断した。全くもって現実が見えていない愚者であると。


 これでは甘言に流れてしまうのも納得だ。

 狡猾な連中なら舌先3寸で簡単にやり込めるだろう。嘘のつけない魔族・魔人族にさえ嵌められ、追われる身となったの納得である。むしろ、良く今まで往きて来られたものだ。

 これでさらにに頑固で融通が効かないと来た。今後に関して説得するの相当骨折れるだろう。


 本当に説得するの私なんかで大丈夫なのか。というか、説得できるのか。

 今から正直なところ不安しかない。


 だが、その夢を実現する事を未だ諦めておらず努力を惜しんでいない点だけは評価に値するだろう。何度頓挫しても努力し続ける根性と姿勢は感服せざるを得ない。

 そして努力だけでなく、生まれ持った王者たる威厳を持ち合わせている。誠実でカリスマがあれば人が付いて来るのも頷ける。とはいえ、統治する側としては良し悪しだと思うが。


 私が説得する気なったのもそう言う長所に対してだ。

 個人的にまだ死んで欲しく無いと思ったのである。思ってしまったのである。そして、話の中にあったもどかしさを解決しなければ枕を高くして眠れない気がした。


 だから、若干辛口評価でばっさりと言わせてもらった。


 まず、リーダーとして色々足りなかったことを指摘した。

 何か改革をしたいなら真っ先に行うべきは改革をした後行うことの皮算用ではない。それは、周囲への気遣いだった。その行動になんの意味があるのか、その行動の結果どうなるか。そうした想定を説明しなければ、誰も付いて来れなくなる。


 次点として、猪突猛進・見切り発車に関して指摘した。

 徒らに衝動で動いていいのは自分単独時のみである。リーダーとは先導役であり、人をまとめて組織の舵取り等を行う役割がある。先導役が暴走すれば、組織は崩壊する。むしろ、組織内部の人々が暴走するのを制御することが大事である。だからこそ、デキるリーダーはある程度立ち止まって視野を広く確保する。

 今回、彼の行動はせっかち過ぎた。あの案件を進めるのは時期尚早だったのだ。この機会に、もう少し冷静な視点で時勢や組織の様子を見る視点を身につけてもらいたいものだ。


 最後に、実力・才能と共にそれを活用するための知能も十分有るのに活かし切れていないことを指摘した。

 このままだと宝の持ち腐れ。努力の方向性を間違えている事が実に惜しい。若く、成長の余地はまだまだあるのだろうから何とか改善してもらいたいものだ(肉体年齢7歳)


 この3点に絞って指摘した所、相手は顔を歪めていたい。実に、耳に痛い話しだった模様。

 同情できる点としては、大事な時期に親を失った結果あの欠点が生じたことだろうか。おそらく、周囲に頼らず自力で今まで成してきたため猪武者と化したのだろう。今後は少し周囲へ頼ることを覚えていけるだろうか、だといいが。見本は近くにいるし、今回痛い失敗をしたので十分反省しているだろう。


 最後に、理想を追いかけるのに周囲を巻き込だと言うれっきとした事実をちゃんと認識しているか確認した。自覚は一応有るらしく、その分の安全マージンは十分に取ったつもりだったとほざいていた。


 当然ながら一喝した。


 大丈夫では無かったからこそ、今ここで私から説教を受けている。

 大丈夫では無かったからこそ、部下が1匹死にかけ帰る家も失い結果的に家族を路頭に迷わせた。その上で多大なる迷惑を掛けた家族までへも事前説明無しで危険な状況へ陥らせた。今も接触できない状態になっている。


 仮に、私が余裕の無い差別主義者だったら今頃どうなっていたか。



「一応聞いておくが、後で全てをどう説明するつもりだ?」


「〜〜〜〜〜〜〜〜」


「それならま、今の所納得はしておく。だがその分の対価はちゃんと払ってもらう。その辺忘れないでおくように。」




 アドバイス料と保護料。こちらもボランティアではないのだから、それくらいはもらう。

 それに仮にも魔族ならば、契約は大事だろう?


 そう指摘したら、相手は納得した。


 尚、報酬をせびった理由は断じて端金で時間と領力の無駄遣いなんてしたら魔王と親父に後で何されるか分かったものでは無い。無いったら無い。




◆□◆◇◆□◆◇◆□◆◇◆□◆




 色々衝撃はあったものの話し合いは解決した。

 行動などを顧みれば非常識極まりない状態だったが、厄介な諸事情を抱えているので仕方が無いと大目に見た。次回は容赦しない予定。


 一方で、取り敢えず想定より話分かる系の奴で助かったと感じた。

 頑固ではあるが、理論に則って論破していけば何が駄目なのか分かる様だった。長耳相手みたいに実力行使(物理)で話し合うのもいいのだが、無駄なエネルギー消費が勿体無い。流石に魔王城攻略後もう一暴れは7歳児の体ではきついのである。


 嗚呼でもこれはまた、面倒な事になった。

 何故こうも私はトラブルに好かれ易いのか。その内2つ名がゴッキーならぬトラブルホイホイになるのではと戦々恐々である(実際にはすでにそうなてっているとはいえ)


 今回の件は半分身内が原因作ったものだがその後の私の行動にも問題は有ったため、仕方が無いと納得はした。それにその分の迷惑料も兼ねてなのか一応利益もあるのでプラマイ0と考えておく。そうしておかないとやってられない。



 さて、時系列を遡るが波津香は鼠ではなかった。予想していた通りだったのでそこまで驚きは無い。


 波津香は別人物の伝令役の様な部下の様な位置に居たらしい。相手と既にコンタクトを取った。先程召喚され話していた人物である。


 最初私や周囲を監視・諜報目的だったのかどうか警戒しつつ問いただした。結果、半分正解・半分巻き込まれだった。後半に関して付け加えるなら巻き込まれていなければ魔王城から脱出出来ず結局命を落としていたと。


 相手は部下を助けた件に関しても別に何か報酬をくれると言ったので真っ先に騎獣になり得る獣を要求した。

 私の凄い形相? に相手は引いた様子だった。私のトラブル召集体質?とそのせいで形成された複雑怪奇な関係者達のせいでこんな機会中々巡って来ないのだから、そら必死にもなる。


 で、肝心の波津香は鼠ではなく鼠に模擬させていた別種の魔物だった。

 ドッペルゲンガーに近いのっぺらぼうの様な姿であり、ミミックボールアイと言う模擬を得意とする謎生物だった。当然モフモフではない。触り心地は何方かと言うとプラスチックと発泡スチロールの触感を平均させた上で生暖かくした感じだ。


 本当はリリース、というより飼い主に返そうとしたのだが、波津香本獣? から部下にしてほしいと要望が出た。急な事に一瞬困惑したが、忠義が既に移っているらしいのでそのまま契約しっぱなしにする事となった。


 結果的に部下を引き抜く事となった件に関して相手も特に何か要求される事は無かった。寧ろ今回の件で私へ返せない程の借りを作ったと相手は苦笑していた。ただ、元部下を宜しく面倒を見て欲しいと頼まれた。


 その辺り心配御無用、部下になった?した?からには面倒は最後まで見ます。



 さて、私が要求した騎獣だが……話した直後に届けられた。


 どう言う原理なのか知らないが、門番やっているライダー君から何か来たと報告されたので家の門から出たらそこに居た。



―――嗚呼、何と美しい



 感嘆し、思わず溜め息が溢れる……輝かしい白銀の身体、九本の艶やかな尻尾、そして眼光の鋭い夕日色の瞳。尾の毛先から鼻先までにかけ、しなやかな曲線を描くシルエット。


 芸術的な美しさとはまた一線を画す、機能美。様々な戦場で磨かれた百戦錬磨の雰囲気を醸し出していた。



 それは異世界で初めて見るまとも(・・・)と言うには少し怪しい獣……完全無欠な『九尾』だった。



 サイズが異世界仕様なのか兎に角でかい。地球で見た事のある屏風絵や巻物などで描かれたサイズ(絵の中の人と比較)より遥かに巨大だ。恐竜のサイズと下手すると同じか?


 一瞬食費への不安が頭を過ったが、よくよく考えるとこの辺り動物・魔物は豊富だった。テキトーに狩って来られる実力はあるだろう。可食部の確認や寄生虫除外をしておけば大丈夫か。まあ先ずは一日どれ程消費するか見てからその細かく決めれば良い。


 そして物凄く肝心な事だが、家の中にどうやって入れようか……そも、家の中で生活出来るか?


 そんな風に思っていたら、目線で気付いたのか小さくなれるという雰囲気がパスから伝わって来た。この辺のやりとり方法はクロと同じらしい。そして実際に縮小して大型犬くらいの大きさになった。


 無事解決…良かったのだが何だか釈然としない気分になった。


 だが報酬としては一切文句無し。騎獣運用としても十分通用するサイズだし、何よりモフモフだ。重要なのでもう一度言うが、モフモフ様なので大満足。


 もう一度元のサイズに戻ってもらい…



「触り心地もそうだが、何よりこの大きさがいいな。」



モフモフモフ、フワフワフワ…ああ久しぶりだこの感覚やばいクセになる思い切り埋もれたいし抱き枕に欲しいずっとこうしていたい中毒性ヤバいこれ味わえただけでも人生悔い無し……






 一瞬意識が飛んだと思ったら、相手がモフられ過ぎて惚けていた


 しまった……またやってしまった。


 地球でも友人の飼っていたゴールデンレトリーバー懐いた頃に撫で過ぎて惚けさせてしまったのだった。以来、折角懐いたのに撫で始めると警戒される様になった。


 あの頃は何かと動物に怖れられる?嫌われる?分からんが、何故か積極的に逃げられる事が多かった。例外は友人の飼っていたレトリーバー、クーちゃんだけだった。


 あれも友人が世話をさぼった為に私が全てやった結果懐いた。

 最初は威嚇されるし怯えられてショボンとしていたが、その内飼い主認定してくれたのか手とか舐められる様になった。そうしてやっと撫でられる様になった頃に加減を間違えた結果警戒されてしまった。私の癒しモフリタイムはそれ以降、大幅に縮小されてしまったのだった。

 未だにトラウマ案件だったりする。



挿絵(By みてみん)

 

 到頭ストックが切れてピンチです。次回の更新への危機ですが、何とか投稿したいと思います……日曜日にズレても大目に見てやって下さい。


 それでは次回もよろしく御願い致します。


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