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第十三話 勇者の自意識は絶対過剰!?7




俺は必死に「煩悩退散卍」を唱えながらエルフの少女をお姫様抱っこしていた。少年が自分より少し背の低い美少女をお姫様抱っこしながら「煩悩退散卍」やら「色即是空、空即是色」とかをぶつぶつと唱えている姿は傍から見れば非常に不気味で滑稽極まりなかっただろう。

そんな不気味な雰囲気を漂わせながら【転移装置(テレポートシステム)】を使って居住区エリアの〈転移部屋〉に到着した。


〈転移部屋〉とは俺が居住区内に設置した【転移装置(テレポートシステム)】が実体化していてなおかつ不滅物質イモータルオブジェクトに設定してある部屋だ。

ここに個人を判別する札――〈勘合符〉と名付けた。譲渡不可、廃棄不可設定――を持って入ると持ち主を判別して【転移装置(テレポートシステム)】を使った転移が可能になる。

ちなみに、俺がエルフの少女と共に転移できたのは〈勘合符〉が持つ〈最高者ホスト権限〉によるもので、俺が事前に認めた者は〈勘合符〉を持っていない者でも、〈勘合符〉を持った者と一緒であれば転移が可能になるようにシステムを組んでいるからだ。


何が言いたいかって?


それは勿論、【転移装置(テレポートシステム)】Tueeeeeeeeee!


以上。



**********


居住区最上階の十三階、外を見渡すことが出来る事から〈展望フロア〉と名付けられたそこには、俺こと狂月くるいづきむくいと普通の精霊が進化(?)した存在に大罪の属性が一つずつ加わった個性オンリーワンのあか、あお、きいろ、みどり、しろ、むらさき、くろ(正式な名前はまだ無い)が円を作るようにして椅子に座っていた。

その円の中心にはいまだ気絶して眠っているエルフの少女である。服装はみすぼらしさを感じさせるフード付きの外套から俺が地球に居た頃に学校で良く見た制服姿へと変わっていた。

みどり達が風呂に入れて身体を洗ったときに変えた物である。理由は身体中に傷があった為。

風呂はきいろとあおが色んな成分を組み合わせて造った人工温泉で効果は美肌や代謝促進は勿論の事、傷の回復なんて物まである。顔の一文字の傷は随分古くに負った傷なのか消えなかった様だが。

制服は勿論俺が地球に居た頃に通っていた学校のデザインの服だ。

生憎と彼女といわれる人種が地球に居た頃には一切居なかった為なのか、女子の服といわれても咄嗟に思いつくものがこれ位しかない為である。

別に制服フェチという訳ではないのだ。

別に制服フェチという訳ではないのだ。

大事なことだから二回言った。


と、いうか。こちらの世界に来てからというものの女子のまともな服装を見ていないのだ。

考えてもみて欲しい。

みどりは紺色の修道服。十字架。

くろはセーラー服だが腰には計四本の刀に篭手やら肩当やらを装着。

きいろは狐耳に巫女装束。おまけで九尾。ぼんきゅっぼん。

しろは迷彩服。黒光りする銃がとにかく目立つ。

むらさきはゴスロリ服で日傘でロリぃ。

三馬鹿の紅一点の僧侶は金ぴかで自意識過剰でけばけばしいドレス。

エルフの少女はぼろぼろなフード付き外套。長耳。

ある意味これだけコスプレ衣装ばかりだと凄い。


要するに地球環境では間違いなくバリバリコスプレ漬け生活だと、だんだん普通の服って言われても分からなくなって来る訳で、つまり日常生活でずっと否が応でも見て来た学校の制服を魔法で創ったというわけだ。

うん、だから俺は制服フェチじゃないな。


「報様、始めてもよろしいでしょうか」


「嗚呼、よろしく頼む」


ぼうっとしているとあかがこちら側へ俺の意識を呼び戻していた。


「承知しました。今回の議題は報様が初戦闘後回収されたエルフ族の少女の事です」


進行役は執事服姿のあか。十分コスプレに入る。

あおも服装はジャージでまともだけれどショタで猫耳だしなぁ。もうコスプレしかいない。

あかはホワイトボードにきゅっきゅっとペンを走らせて“エルフ族の少女”と書いた。


「エルフ族とはみどりからの説明によりますと森の民と呼ばれ、男性女性共に美しい容姿を持つ事で知られていますが、その美しい容姿故に人族が奴隷紋を開発した時に野蛮な民族として乱獲、もとい捕獲され、そういった方面で利用されて来ました。人族の手から逃れたエルフ族は秘境と呼ばれる山林の奥深くへと逃れ細々と生活していました。最近では奴隷紋の使用が禁じられている事から、外の世界は安全だと考え生きて来た集落から町に出て来て働くといった事も確認されています。ですが、奴隷紋の使用は未だ裏で行われており、その中でもエルフの奴隷は高値で取引されています。また、人族よりも魔法の扱いに長けている事が知られています。」


一通りの情報を箇条書きにしたあかは円の中心で気絶したままのエルフの少女を見て言った。


「問題は、彼女が勇者パーティの中に居て奴隷であるという事を隠され続けていた事です」

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