93話 ギャンブル中毒のおバカさん。
93話 ギャンブル中毒のおバカさん。
「金だけではまだ弱いから……そうだな。そのうえで、あんたは、『この地下迷宮の雰囲気やスリルの中毒になっている』という事にしたらどうだろうか。そういうバカはたまにいる。平穏という退屈を嫌い、あえて、危険な状況に身を置くバカ」
「損切りできない上で、リスクハイになっている……と。やべぇヤツっすね。人生失敗するヤツのお手本みたいだ」
ギャンブル中毒の頭が弱いヤクザ者……みたいな感じかな?
はたから見ている分には『なんで、その生き方を選ぶかな。絶対にやめた方がいいのに』と断言できる人生を送っている人が……世のなかには、結構な割合で存在している。
ボクは、これから、『そういう人間である』と、お貴族様には思われるわけだ。
……みっともないと思わないこともないけれど……でも、まあ、別にいいか。
ボクは、『本当に大事なものが何か』を見極めることが出来る。
見栄よりも実利をとれる。
ボクは賢くはないだろうけれど、でも、そこまでバカじゃないと思う。
そこでボクは、7番に、
「損切りできないリスクバカ……として、この先の人生をこなしていくので、ラストローズ辺境伯には、そっちの方向性で報告、よろしくです」
「了解した」
といった具合に会議が終わったところで、
ちょうど、6階へと続く階段を発見した。
現在時刻は23時47分で、『本日の魔王を召喚できるタイムリミット』まで、あと2分45秒ぐらい。
そこで、ボクは、モンジンに話しかける。
(今のボクは2体召喚できるんだから、ボスの魔王も余裕だよね。だから、時間調整しなくてもいいと思うんだけど、モンジン的にはどう?)
(相談は、俺じゃなく、7番にしておけ。その女は、おそらく、俺より賢い。いいブレーンがついてくれてよかったと、心からホっとしている)
モンジンが謙遜しているのか、それとも、7番がガチで凄いのか……
その辺の詳細は分からないけれど、ボクとしても、
7番は、冷静で知的だと思う。
だから、モンジンの指示に従い、7番に相談してみた。
彼女は、『ボクの魔王召喚能力』と『地下迷宮の構造』について、既に、ボクよりも精通している。
だから、すぐさま『最適解』をはじき出してくれた。
「念には念を入れて、50分になってから、6階におりることにしよう」
「いえす、まむ」
ボクは考えることをやめて、7番のお人形さんになる。
これが心地いい。
ボクは、社長にはなれないなと思った。
人間は大きく二つにわかれる。
『指示を出す人間』と『指示を待つ側の人間』。
ボクがどちら側の人間であるか……それが分からない人はこの世にいないだろう。




