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センエース~『2垓年』努力した童貞。理不尽に全てを奪われたが、必ず全て取り戻す~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
第二章 魔王を使って成り上がれ!! バレたら絶対に殺されるから気をつけろ!

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85話 合理主義。


 85話 合理主義。


 『今のボクにできること』と『限界』を把握した蝙蝠の7番は、

 少し間を置いてから口を開いた。


「……私の直属の上司は、ラストローズ辺境伯だ」


 声は、今までよりも少しだけ柔らかかった。

 それは心を許したわけではなく、言葉の重みを抑えた、理性的な“間”だった。


「本来であれば、私は今聞いたすべてを、辺境伯に報告する義務がある。だけど──しない。今後も、黙っておくつもりだ。なぜだと思う?」


「……なぜでしょうか」


 自問のようにも聞こえた。

 その声音には、訓練された自己確認の儀式のような節度があった。


「メリットがないから」


 即答。

 迷いも戸惑いもなかった。


 打算、冷静、決断……そのどれもが、彼女の中で綺麗に並んでいる。

 しかし不思議と、嫌悪を感じない。

 この人は、『自分の損得』に対してすら誠実なのだろう。

 ……なんてことを思ったりした。

 勘違いかもしれないけど。


「ラストローズ辺境伯のことは嫌いじゃない。あの人は、だいぶまともな貴族だ。下賤なクノイチでしかないわたしのことも大事に扱ってくれるし、ケガや病気になったら心配もしてくれる。だから、あの人に逆らおうって気持ちは別にない」


 その語り口に、わずかな微笑が混じっていた。


 一見すると『強烈に感情を制御している闇人形』っぽく見えているけど、

 実は、他人に対する『情』みたいなものが結構あるんじゃないかな。


「でも、心から忠誠を誓ってるわけじゃない。私が最優先するのは、いつだって私。だから、自分の得になるかどうかで判断する」


 自分の利。

 わかりやすくて、潔い理屈だった。

 他人に対する情はあっても、それに流されまいとする気合いみたいなものを感じた。


「……あんたの件は、報告しない方が私の得になる。だから、しない。その代わり──あんたには、ちゃんと私の役に立ってもらう」


「……ゆすられる感じですかね? 毎月、上納金を払う的な……」


「いや、それも割に合わない。魔王を召喚できるあんたは、私をいつでも殺せる。下手に脅して、逆上されて……殺されて終わり。意味がない」


「それで?」


「共犯者になりたい」


 おっと。

 それはこっちとしてもありがたい話。


「魔王を召喚できる力……それがあれば、何でもできる。あんたは、これから、よっぽどのヘマをして処刑されない限り……いつかは全てを手に入れる」


(7番にバレたことは、その『よっぽどのヘマ』だけどな)


 本当のことだけれど、言われるとイラつく。

 というか、本当のことだから、イラつくのだろう。

 テキトーな妄言だったら、右から左だけど、芯をつく言葉は耳が痛い。



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