表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
センエース~『2垓年』努力した童貞。理不尽に全てを奪われたが、必ず全て取り戻す~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
第二章 魔王を使って成り上がれ!! バレたら絶対に殺されるから気をつけろ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

413/414

212話 合体のデメリットは存外多い。


 212話 合体のデメリットは存外多い。


 肯定は薄く、否定は刃のように細い。

 ふたつの意思が同じ器で反発し、

 微細な断層が肉体にまで伝播していく。


「あんたが僕を信じていないのは最初から知っている! けど、それがどうしたぁあああ!」


(合体というのは良い事ばかりじゃないってことさ。プラスの要素だけではなくマイナスの要素まで合わさってしまう)


 理屈は簡潔で、結果は致命的。


 ゼンドートだけなら意地で維持できる『スペシャル』も、

 『不信の不和』が混じることで脆く崩れ去る。


 ゼンドートの強さの秘密は『自分の正義を信じ続ける限り無敵』というチート。

 それが、今、セミディアベルのせいで機能停止状態にある。

 それだけの話。


「う、ああ、あああ……」


 頬がたれ、指が花弁のようにほどけ、再び寄り集まろうとしては形を取り逃がす。

 輪郭が波打つたびに、足場の石が濡れた紙のように沈んだ。


 ――ゼンドートは、どんどんぐちゃぐちゃに崩れていく。


 センは肩をすくめ、口だけ笑った。


「おいおい、ずいぶんとご機嫌じゃないか。そんなにドロドロになって、楽しそうだな」


「ぁ、ああああ……」


「煽りに対して返信することも出来なくなってんな。そのまま死んでくれるとありがたいんだが……」


 そこで、『ゼンドートの融解』がふっと止まる。

 歪んだ輪郭が、ゆっくりと元へ戻っていく。


 どうやら、中の支配権が切り替わったらしい。


 完全に整うと、男は口角だけを上げた。


「……さて、それでは、本当の最終決戦といこうか」


「……お前は……セミディアベルか?」


「そのとおり。とろけたゼンドートは邪魔だから、力だけ残してもらって、フラグメントは『遠いところ』にいってもらった」


「……ふーん、エッチじゃん」


 興味なさそうに頷くセン。

 そんな彼の態度を笑いながら、セミディアベルが、


「ゼンドートの弔い合戦をさせてもらうよ」


「殺したのは俺じゃなくて、お前じゃない?」


「いやぁ、あれは、自殺みたいなもんだよ」


「……だったら、弔い合戦にはならなくね? 恨まれる筋合いが一ミリもないんだが」


 軽口を続けつつ、二人は、丁寧に間合いを詰め始めた。


 重心が静かに沈み、掌がわずかに開閉する。

 同時に構えを整えた。


 空気が一拍だけ重くなった。

 視線がぶつかり、足裏が床をつかむ音だけが残る。

 次の一手を待つ沈黙だけが静かに場を整えていく。




 ★




 風が、沈む。

 そこに在るだけの空気が、粒度を増して粘りを帯び、

 微細な砂鉄のように二人の輪郭へ寄り沿って集まる。


 センとセミディアベルは、互いの心拍の隙間を読むかのように、

 刃の厚み一枚ぶんの間合いを削っては戻し、戻しては削る。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
センとセミディアベルの軽口の応酬が最高にクールです! 直前の絶望的な崩壊シーンとの対比で、 二人のキャラクターの冷徹さ、余裕が際立っていました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ