189話 セミディアベルの正体。
189話 セミディアベルの正体。
セミディアベルはニコっと妖しく微笑んで、
「もちろん、これだけじゃ終わらないよ。君が相手なのだから、鋭利に加速させてもらう。――第二の変身もみせよう」
セミディアベルは自らの胸部に両手を重ね、低く、ひどく古い言語で呪詛を編む。
音にならない音が積み重なり、輪郭がふっと崩れた。
視界の中心で、彼の血肉がギュウっと圧縮されていく。
装甲が花びらのように反転。
――内側から現れたのは二頭身の龍。
愛らしいフォルムなのに、表情は憎たらしい。
ナメらかなウロコの上に、いびつに神性が縫い付けられていた。
肩口から腰へ、流れるように重なるプレート。
冠のように輝く角。
背骨に埋め込まれた兵器としての咎。
悪鬼の装甲が、携帯ドラゴンのフレームに適合し、微かな鈴音のようなシステム音を零した。
センエースの眉間に濃いシワが刻まれる。
「その姿は……携帯……ドラゴン……?」
『ごつい鎧をまとう二頭身のドラゴン』になったセミディアベルは、
静かに微笑んで、
「その通り。私の正体は、携帯ドラゴンだったのだよ。驚いたかな?」
「驚いたっていうか……え、どういうこと?」
「詳しく説明してあげるほど、私は優しくはないよ」
『携帯ドラゴン・セミディアベル』は、きらりと笑った。
同時に、足元が黒い風でこすれ、圧が一段跳ね上がる。
地面に走る雑多な亀裂が、心拍のように脈打った。
「ああ、いや、一応、暴露も積んでおこうか……」
携帯ドラゴン化したセミディアベルは、軽くノドを鳴らし、
安価なゲームを始めるみたいに言葉を口にする。
「今から、『人型状態の私』を、『G‐クリエイション・蝉』で出現させる。その状態で、『携帯ドラゴン状態の私』はトランスフォームをする。そうすれば、どうなる?」
「……とっても強くなる?」
「正解だ。ご褒美に、何か願いを叶えてあげよう。なにがいい?」
「まず、あの『Gなんとか蝉』っていう『ハイパーメディアクリエイティブすぎるアイテム』を使うのやめようか。ウザいから。小細工で遊ばず、シンプルに殴り合おう。その方がお互いの熱量や愛情や友情を確かめ合うことができると思うんだ。そうだ。うん。そうしよう。そうすべき」
「くくく……」
愉快そうに笑うと、黒い板状の異物――『G‐クリエイション・蝉』を取り出す。
指先が画面をひとなぞりするたび、空間の端々に赤いログがにじむ。
センが渋い顔をしているがお構いなし。
#INSTANCE_DUPLICATE
#VAR_OVERFLOW
#ACCESS_VIOLATION(許可:強制上書き)




