169話 次元の亀裂よりの使者。
169話 次元の亀裂よりの使者。
せまりくる異次元砲が、センの体をさらおうとした……その時、
センの背後にできた『次元の亀裂』から、
――『センエース(17番)』の分身である『アバターラ』が出現した。
アバターラは、出現すると同時、
霊体センエースを自分の中へと回収して、
そのまま、自分の影の中へとトプンと潜る。
この間、コンマ数秒。
ギリギリのところで、異次元砲を回避することに成功した。
その全てを見ていたセミディアベルは、
にこりと微笑みながら、ボソっと、
「ああ、そうか。アバターラがまだ残っていたね。……ここに来る前、アバターラも殺したけれど、アバターラは所詮、ただの分身だから、倒しても、リキャスト時間の経過で復活するんだもんね」
と、冷静に状況を分析していると、
すこし離れた17番の影の中から、
アバターラが、ヌっと出現する。
そんなアバターラに対し、17番は、
「……アバターラ……きみって、ほんと、勝手なことばっかりするよね。ボクの分身のはずなのに、全然、ボクに似ていないし。命令しても、聞きやしないし。今も、内心で消えろって命令しているのに、全然消えないし……」
「お前の命令なんか聞くか、ボケ。俺は誰の命令にも従わない。俺の主人はいつだって、俺の覚悟だけだ」
「あ、そう……まあ、どうでもいいけどね」
そこで、それまで黙って趨勢を見守っていたゼンドートが、
「セミディアベル公爵……ぬるい攻撃で遊ぶのはやめて、絨毯爆撃で、さっさと殺したらどうですか。あの雑魚の悪あがきに付き合って時間を無意味に浪費するのはいかがなものかとおもうのですが?」
「風情がないねぇ、ゼンドートくん。気品とスピードがたりない。時間を無意味に浪費するのが、何よりの贅沢だというのに」
「……」
セミディアベルたちが、ごちゃごちゃとしゃべっている間に、
アバターラは、事前に回収していた『魂魄交換の聖水』を、躊躇なく、グイっと一気に飲み干した。
その結果、センエースが、アバターラの肉体の主導権を握ることとなった。
アバターラの肉体を手に入れたセンは、
自分の中にいる『アバターラの人格』に向けて、
「至れり尽くせりだな、アバターラさんよぉ。俺を助けた上に、魂魄交換で体までプレゼントしてくれるとは。なに、お前、もしかして俺のこと好きなの? 悪いけど、俺、声優かアイドルじゃないと萌えないんだ、ごめんな」
(…………ゼンドートやセミディアベルを殺せる可能性があるのは『本体』であるお前だけだ)




