126話 違う場所。
126話 違う場所。
「地面すら見えねぇ……底が抜けている可能性とかもあるか……」
などと口にしつつ、足だけ中に入れてみた。
どうやら地面は普通にあるらしい。
「さて、行くか。17番……凝を怠るなよ」
(…………はい)
雑な返事で、センの渾身のファントムトークをバッサリ切り捨てていく17番。
センは、軽くシュンとしつつも、扉の中にしっかりと足を踏み入れていく。
★
「――ん?」
扉に入って少し歩くと、モヤが一瞬で消えてなくなった。
良好になった視界……飛び込んできた風景は、
「同じ場所?」
『扉に入る前』とまったく同じ場所だった。
「んー……同じに見えるだけで、違う場所……か?」
などとつぶやきつつ、
センはアイテムボックスから、テキトーに『小銭』を取り出すと、地面に置いて、
もう一度扉をくぐってみた。
すると、
「……確定。同じ場所」
先ほど、小銭を置いた場所に、寸分の狂いもなく、ちゃんと小銭があった。
「これは、どういうことだ、17番。詳細キボンヌ」
(……『鍵を使った分』だけ『世界の何かしら』が変わるんじゃない? 1本なら1本分の変化が起きて、100本なら、100本分の変化が起きる。みたいな感じじゃないかな。知らないけどね)
「ちなみに何が変わるんだろう?」
(知らん)
「……なるほどね」
と、頷きながら、センは、
(どうやら、俺が、あまりにも、カマをかけまくるもんだから、鬱陶しくなってきたようだな。言葉の中にある『確信感』が強すぎるぜ。まだ、現段階だと、可能性は無限にあるのに、秒で『レイヤー切り替えモデル』だと判断するのはちょっといただけない。……根気が足りないねぇ、17番ちゃん。交渉のコツは、どれだけ冷静でイカれているか相手に分からせることだって、口を酸っぱくして言ってきたのに。……お前の演技には狂気が足りない)
などと心の中でつぶやきつつ、
センは、
「いったん、外に出てみるかね……」
そう言いながら、外に出てみた。
すると、目の前に、
「ふむ……なるほど」
扉を入る前にはなかった『塔』が立っていた。
とんでもなくでかい塔。
高さもそうだが、横幅も相当なもの。
東京ドーム+スカイツリーみたいな感じ。
「……随分と分かりやすいコトをしてくれるじゃねぇか。――『カギを使って扉をくぐると、この世界に塔が現れます』――幼稚園児でも理解できる親切構造、痛み入るぜ」
センは、少しだけ周囲を観察してから、
「虎穴に入らずんばなんだかんだすったもんだか」




