96話 8月……1日……?
96話 8月……1日……?
『定期的に、この奴隷に確認にくるからな。マジで覚悟しておけよ』
『……』
『返事はどうしたぁ! キモ豚ゲロクソジジイ!』
『わ……わかり……ました……』
『おいおい、なんだ、その目は……何か文句でもあるのか? いいだろう。聞こうじゃないか。好きにほざけ。そのあとで、すぐ、家畜のえさにしてやる』
『……な、なにも……』
『ぁあ?!』
『なにもありません!』
『そうだろう? ナメんなよ、くそ庶民が。ぺっ』
と、最後に、ポルの顔面にツバを吐いて、
17番の復讐は正式に幕を閉じましたとさ。
めでたし、めでたし。
★
ポルにマウントをとったあとの帰り道。
17番の中にいる『モンジン(センエース)』が、
(いやぁ、さすが、『貴族の17番さん』だ。貴族マウントの取り方がパないや)
(あんな、クソ貴族ムーブをかますのは、ポルに対してだけだよ。ボクは、あいつに対してだけは、何をしてもいいからね)
(今回だけは見逃すけど、ほかのやつにはするなよ。品性がなさすぎて、ヘドがでる)
(……わかっているよ、うるさいな。もう二度としない)
(それでいい。無駄に悪意を買ったり、中身のない発言でヘタに煽ったり、愚かな無様を晒したりする必要はない。上流階級の男たるもの、己の言葉に責任を持ち、いかなる時でも真摯に、ひたむきに、品格をもって人と接するべきだ。この俺のように)
(……)
(おいおい、なんだ、その目は……何か文句でもあるのか? いいだろう。聞こうじゃないか。好きにほざけ。そのあとで、すぐ、家畜のえさにしてやる)
★
――『8月1日』の午後。
貴族になって以降も、着々と、功績を積み上げていく17番。
魔王の力を最大限に活用し、都市を混乱させては、それを収めるというマッチポンプを、丁寧に、丁寧に繰り返していく。
この日は、アバターラが迷宮で発見した『ヘルズ覇鬼の指輪(存在値170という、ラストローズ辺境伯ですら勝てない、とんでもない力を持った鬼を、最大5体召喚することができる。召喚された鬼は、死んでも、翌日には復活する)』を使って、都市を混乱させた。
今回は、都市を混乱させることではなく、『アイテムの試運転』が最大の目的だったのだが、
魔王も、ヘルズ覇鬼も、『人間では勝てない怪物』という点では一緒なので、
魔王を2体召喚するより、5体のヘルズ覇鬼を召喚する方が、
混乱の度合は大きかった。
――17番は、ラストローズ辺境伯や、ゼンドート伯爵と協力して、どうにか、ヘルズ覇鬼を撃退してみせた。
当然、その際、二人に恩を売ることを忘れない。




