33話 反射盾。
33話 反射盾。
ダンジョン魔王を秒で殴殺したセンは、
そこで、グっと眉間にシワを寄せて、
(……手ごたえはあった。ダンジョン魔王は確実に殺した。なのに宝箱が出ない……ということは――)
これまでの17番が経験してきた『ダンジョン探索』を元に、
ここから先の絶望を演算したセンは、
『ダンジョン魔王が第二形態になって復活すること』を警戒して、
臨戦態勢を強める。
センの予想は見事に的中。
先ほど死んだばかりのダンジョン魔王……その死体が、ふいに、グニグニと動き出す。
(やっぱりな……)
前提として、すでに、センは、疲れ切っている。
ダンジョンに挑む前から、地獄のトレーニングで疲労困憊。
魔王との闘いでも集中力をすり減らして命酷使無双。
その上で、魔王の第二形態……
普通なら絶望しそうなところだが、
センは、
「それでいい……さあ、二回戦をはじめよう」
バッキバキの血走った目で絶望をにらみつけている。
とても人とは思えない、狂った精神力。
と、センが、二回戦と向き合おうとした、
その時、
第二形態に変化しかけているダンジョン魔王の肉体から、
ギュンっと、10本ほどの触手が、ハリネズミの針みたいに、八方に伸びた。
その触手の内の一本が、まっすぐに、
『黒猫の99番』へと向かう。
それを、コンマの底で、即座に察知したセンは、
「ちっ!」
一瞬の判断力で、自分の肉体を、『黒猫の99番の盾』にする選択を取った。
結果、魔王の触手はセンの右腕を奪った。
前腕から先……その全てが魔王の触手によって、完全に粉砕してしまった。
「ぐっ……っ!!」
激痛に耐えながら、
センは、流れのままに、
黒猫の99番を守れる位置を陣取る。
一瞬、何が起こったのか分かっていない99番だったが、
数秒も経てば、流石に状況を理解したようで、
「あ、ああああ!!」
自分のせいで、センが右腕をなくしたことに気づき絶句。
「あ、あなたの……う、腕がぁ……ぁああ! わ、私のせいで……っ!」
色々な感情がないまぜになった発狂。
心が締め付けられて砕けそう。
大事な王を守れなかった護衛の気持ち……
自分なんかよりもはるかに重要なものを守れなかった者が抱く喪失感。
「な、なぜ、私なんかを庇った! 私の命よりも、あなたの腕の方が大事――」
真っ青な顔で、絶望を叫ぶ彼女に、
センは、
「うるせぇええええ!!」
バチ切れの顔で、全ての空気を亜空切断するように、一度怒鳴ってから、
「狂気が鈍る。黙って見てろ。腕一本がなくなる程度は、まつげが一本抜けるのと、なんらかわらねぇ、いたって平穏なもの」




