11話 ラディカルなご指導。
11話 ラディカルなご指導。
吹っ飛ばされたセンは、ダクダクと、口・鼻から大量の血を流す。
そんなセンのもとに、チームメイトのカルシーン伯爵が近寄ってきて、
センに『治癒の魔法』をかけながら、ゼンドートに、
「ゼンドート伯爵、やりすぎだ。17番相手に、本気で攻撃するなんて」
彼女のマヌケな発言に対し、
ゼンドートは、心の中で、
(節穴が。……先ほどの17番の厚みが理解できないのか……)
と、吐き捨てる。
ゼンドートは、自分の拳に残っている『センの顎を砕いた感触』を確かめながら、
「チーム組手訓練は中止とする。17番……話がある。きなさい」
冷たい口調でそう言うゼンドートに、
人道派代表のカルシーンが、キっと目を強めて、
「まだ回復中なのが見て分からないか! 苛烈に17番をイジメようとする姿勢は問題がある! 17番は、まだ弱いが、正式に魔王討伐隊のメンバーに選ばれた者だ! 排斥を目的とするような愚行は看過でき――」
と、センをかばうカルシーンの口を、
センは、右手で、そっと制する。
「カルシーン閣下、回復はもう十分。感謝しますよ。ただ、勘違いを正していただきたい。ゼンドート先生は、俺をイジメてなどいません。俺は、もったいなくも、ラディカルな御指導を賜っただけ」
「………ど、どうした、17番……君は、そんな口調ではなかったと思うのだが……」
「男子三日あわずんば意固地を得るというでしょう? それだけのことですよ。性格がちょいとハードボイルドになるくらい、声変わりで高音が低音になるのと比べれば、安い変化でしょう?」
と、ちょっと何言っているか分からない事を言いながら、
センは立ち上がり、
「ゼンドート閣下、どちらでお話をお伺いすればよろしゅうござんすか?」
「……昼休みに面談をした貴賓室でいい。きなさい」
「了解っす」
そう言って歩いていく『セン(17番)』の背中を、
カルシーンは、呆然とした目で見つめていた。
★
貴賓室に入ると、以前と同じく『ソファーに座っているゼンドート』が、
微動だにせず、深淵を覗き見るような目で、『セン(17番)』を睨む。
一秒、二秒、三秒……ややあってから、静かに口を開いた。
「座りなさい、楽にしていい」
「あざます、マジ卍っす」
センは軽妙な口調でそう言ってから、
ゼンドートのトイメンのソファーに、
ゆっくりと、数秒をかけて、腰をおとす。
その態度や、先ほどの拳……もろもろ全てを踏まえた上で、
ゼンドートは、センに、
「カルシーンも言っていたが……昼休み前と後で、別人のようになっているな。君は本当に17番か?」




