7話 5万回を15セット……
7話 5万回を15セット……
モンジンの声のトーン……これ、マジでギャグじゃないかも……
ちょっと信じられないけど、このキチ○イ、たぶん、ガチで言っているな……
ヤバ……
え……
この精神錯乱者、マジで、この状態のボクに、1万回の8セットをやらせるつもりなの?
どういう神経をしていたら、そんな鬼畜発言が口から飛び出すんだ……
(ぎゃ、ギャグじゃないっていうなら……ボクも真剣に返すよ。見て分かれ。ボクはもう限界だ)
(鍛錬ってのは、脳と体が『もう限界だ』と叫び始めてからがスタートだ。それまでは『準備運動前のアクビ』に過ぎない)
(ふざけたこと……いうな。限界はスタートじゃない。ゴールだ。……こんな、1たす1は2、みたいなこと言わせるなよ、恥ずかしい)
(17番、お前は最強を求め、イバラの男坂を駆けあがると決めた。その覚悟が報われる日まで進み続けるんだ。死んでも。死んだ後も。これは、お前が始めた物語だろ)
(……猟奇的サイコキチ○イドサディストが……黙ってろ……これ以上、エネルギーをちょっとでも消耗したら、マジで死ぬ……)
(この程度じゃ人は死なない。俺は詳しいんだ)
(……)
(限界の限界の限界を超えても……人はまだ死なない。だから、お前はまだ舞える。さあ、自主トレに行くぞ。正拳突き5万回を15セット……を、20セット)
(頼むから……もう二度と口を開くな……)
★
《雅暦1001年7月20日朝》
とてつもない筋肉痛。
ベッドから起き上がるだけで20分を浪費した。
ここまで激しい筋肉痛は、前世も含めて、産まれて初めてだ。
「うぎぎぎぎ……」
全身の『細胞爆発みたいな痛み』に震えていると、
9番が心配そうな顔で、
「大丈夫ですか、センパイ」
「こ、この程度は……昼下がりのコーヒーブレイクとなんら変わらない平穏なものだ……」
なんで、ボクは、9番の前だと、無駄に強がるのだろうか……
逆にみっともないから、そういうのやめた方がいいと思うんだけど。
と、理性で自分を繕おうとしても、
9番の前では、結局、無駄にカッコつけてしまう……
情けない。
「じゃ、じゃあ、行ってくる……」
「センパイ、本当に、今日も訓練に行くんですか? やめた方がいいんじゃないですか? なんか、死んじゃいそうなんですけど……」
「何度も言わせるな、9番。この程度は、へそでコーヒーブレイクを沸かすみたいなもの」
「本当に大丈夫ですか?! 訓練が始まる前から、朦朧としていませんか?」
「心配するな9番。ピンク色のカエルが、クルクルと、銀色のワルツを踊っているだけさ。つまり、宇宙は万華鏡ってこと。だから、明日は今日になるんだ」
「センパイ、今日は休んでください!!」




