170話 自由気ままなアバターラ。
170話 自由気ままなアバターラ。
……ここまで、アバターラとラストローズ辺境伯の闘いを静かに見守っていた受験生たちも、顔を真っ青にして、ブルブルと震えながら、
「……ま、ま、魔王っ!!」
「まさか、あの変態みたいな野郎が召喚したのか?!」
「し、し、信じられねぇ……」
「あ、終わったな……おれの人生……頑張ったのになぁ……」
「に、に、逃げ――」
疲れ切った体にムチを打って逃げだそうとする受験生たちを尻目に、
ゼラビロスは、一度、パチンと指をならす。
その瞬間、この闘技場全体を包み込むように、
ドーム状の『イバラの檻』が出現する。
この場から誰も逃がさないという、分かりやすいサイン。
魔王のとてつもない覇気を前にして、ラストローズ辺境伯は、
脂汗を浮かべ、
「ぐっ……召喚できるのか……」
「俺が、ずっと自力で戦っているから……『今日はもう召喚できないんじゃないか』とでも予想したか? はぁ、はぁ……へへ、甘いねぇ。ショコラテより甘いねぇ……」
魔王召喚にはもう慣れてきたけど、こういう、不意打ちをくらうと、普通にビビってしまう。
ゼラビロスが味方なのは分かっているけど、怖いものは怖いのだ。
……そこで、アバターラは、
「じゃあな、ラストローズ。……もし、生き残ったら、また、俺のサンドバッグになってくれ」
そう言いつつ、この場から逃げ出した。
この闘技場を閉じ込めているイバラの檻が、まるで意思を持っているみたいに、ググっと動いて、『アバターラを通すためだけの出口』をつくった。
ラストローズ辺境伯は、
「ぐっ、逃がすか。待っ――」
アバターラを追いかけようとしたが、
しかし、二人の間に割って入るように、ゼラビロスが睨みをきかせているので、
「く、くぅ……」
ゼラビロスに集中するしかなくなった。
イバラの檻がグニグニと動き、『アバターラを通すためだけの出口』を封鎖する。
これでは、追いかけることも、逃げることもできない。
この絶望的過ぎる状況を正しく理解した受験生たちの中には、
どうにか、抗おうとする者もちらほらいたが、
みな、さっきの、ラストローズ辺境伯との試験戦闘で、
限界まで頑張り抜いてしまったため、
体が疲れ切っており、立ち上がることもろくにできていない。
「7番! 99番! 支援してくれ!」
と、ラストローズ辺境伯がそう叫んだ直後、
辺境伯の影から、ニンジャの7番が飛び出してきて、武器を片手に、魔王と向き合う。
続いて、99番も、武器を構えて、魔王と戦う姿勢をみせた。




