168話 舞い散る衝動アバターラと、可能性を夢見る17番。
168話 舞い散る衝動アバターラと、可能性を夢見る17番。
「このアバターラは、変身するたびに、パワーがはるかに増す。その変身を、俺は、まだ、2回も残している。この意味がわかるな?」
「なっ?! っ! ……だ、だったら、やってみろぉお! その全てを蹴散らしてみせる!」
戦っている二人を、ボクは、まばたきも忘れて、ジっと見つめたまま、
モンジンに、
(え、マジで、アバターラって2回変身するの? てか、変身って何? 仮面ラ○ダー的なこと?)
(いや、流石に変身はしないだろうな。あれは、俺が得意としている話術。中身のない言葉で世界をケムに巻く禁断のトーク術。そうだな……名前をつけるとすれば……『ファントムトーク』ってところか。今後、俺のことは親しみを込めてファントムトーカーと呼んでくれ)
(ダサいからやだよ。文字数が多くて呼びづらいし)
ボクは、文句を口にしてから、
(一つ聞きたいんだけど……『パワーアップの変身』的なものができないなら、なんで、アバターラは、あんなに余裕綽々なの? なんか切り札があるからじゃないの?)
(切り札ならあるだろ。魔王を召喚できるっていう切り札が)
(アバターラのあの感じは、魔王どうこうではなく、『自分自身の武力に強い自信がある』っていう印象を受けるんだけど。『このまま殴り合いをつづければ、いずれ自分が絶対に勝つ』……っていう、そういう系統の自信を感じる表情だ)
(17番。お前に、一つだけ、戦いの極意を教えよう。どんなにピンチの時でも、不敵に笑え。そうすれば、相手が勝手にビビって、『本来なら無かったはずの勝ち筋』が浮かんでくる……ことも、たまにはなくもない)
(……)
こうやって喋っている間、
アバターラは、ニタニタ笑いながらも、血走った目で、
必死に、ラストローズ辺境伯の攻撃を避けている。
(もしかして、アバターラは……ラストローズ辺境伯を『鍛錬の相手』にしているの?)
(かもな。もし、俺がアバターラの立場だったら、お前や99番が試験に受かる確率をあげるついでに、今の自分が、ラストローズとどのぐらい戦えるかを確認しつつ、ラストローズを組み手の相手に据えて使い潰すだろう)
(寝ずに努力できるタイプの効率厨か。……泥臭くて、キモくて、暑苦しいね。嫌いだよ)
心の中で、ボソっと、そうつぶやいてから、
ボクは、
(ボクも頑張ったら……いつか、あんなふうに、ラストローズ辺境伯と戦うことができるのかな?)
(不可能だ)




