160話 第二の切り札。
160話 第二の切り札。
「何が言いたい?」
「いえ、ボクからは特に何も言う事なんてございやせん……ただ、この世には『便宜』っていう言葉があるっていうのを、風のウワサに聞いたことがあったりなかったりで……その辺のあれこれを、辺境伯的にはどう思っていらっしゃるのかと、そんなことを思ったり、思わなかったり……」
便宜:特別な計らい。同系統の言葉としては忖度があげられる。
……ようするに、『ちょっとでも悪いと思ってんなら、ひいきしてね』ってことだ。
そんなボクの小賢しさに対し、
ラストローズ辺境伯は、冷めた顔で、
「ハッキリ言っておく。当時の状況では、容疑者の一人である君をマークせざるをえなかった。私は『私の成すべき仕事を果たしたまで』だ」
ハッキリと、『便宜をはかる筋合いなどない』と一蹴されてしまった。
くそが……
さっそく、第一の切り札が効力を失った……
あんた、ボクのことを、犯罪者扱いしてニンジャを差し向けてきたんだから、ちょっとぐらい、引け目に感じてくれよ……
……まあ、実際、ボクは犯罪者だし、そのニンジャを奪い取ってもいるから、文句を言う筋合いとかはないんだけど……
実質的な話をするのであれば、ラストローズ辺境伯は何も悪くない。
悪いのは全部ボク。
……ふと、99番の視線に気づいて、目線を送ってみると、
彼女は、ゴミを見る目でボクを見ていた。
『まさか、それが切り札か? バカなのか?』とでも言いたげな目。
もし、ボクがドMだったら、この場で昇天していたであろう、果てしなく強い軽蔑の目。
そこまで蔑まれるほどの悪手だとは思わないんだけどなぁ……
『ちょっとぐらいは慮ってくれるかなぁ』って、『人の情』に期待するのは、人間のさがじゃない?
……仕方ない。
では、第二の切り札といこう……
この切り札がカラ振ったら終わり……
だが、流石に通るはずだ!
ボクが、この灰色の頭脳をフル回転させて考えたジョーカー!
とくと見るがいい!!
「闇より深い漆黒を纏い顕現せよ! 来たれ、我がジョーカー! ネオカマキリ、召喚!!!」
ボクは、無駄に洗練された無駄のない無駄な荘厳さをもって、
ネオカマキリ……に擬態したマパネットを召喚する。
対ラストローズ辺境伯の前提として、
・『麻痺ゴブリンの麻痺ぐらいじゃ、魔王には通じないから論外』
・『極端なデバフで、ラストローズ辺境伯を痺れさせたりしたら、流石に怪しまれる』
という二つがあるわけだが、
その前提を潰すため、ボクが編み出した秘策!
それこそが!!




