137話 道徳の奴隷。
137話 道徳の奴隷。
流れの中で、ラストローズ辺境伯が、ボクに、
「17番、できれば、君も、5番と魔王使いの捜索に協力してくれ。いや、特別、何かしてほしいと言っているのではない。君は、どちらの顔も知っているのだから、どこかで見かけたら通報してほしいんだ」
「あ、ハイ。もちろんでーす」
実質的に5番を誘拐したのはボクだし、アバターラはボクの分身だから、絶対に通報なんてしないけどね。
ここでそれを言ったらどんな顔をするかな……という好奇心がムクっと湧いたけど、もちろん、実行はしない。
そこまでバカではないのですよ。
「17番、一つ忠告しておく。魔王使いを見つけた時に、変な正義感を出して、尾行したり、捕まえようとしたりはしないように」
ラストローズ辺境伯は、ボクのことをなんだと思っているのだろうか。
ボクに正義感なんかないよ。
ゼンドート伯爵のような、極端な悪ではないつもりだけど、
決して、正義の味方じゃない。
「魔王を召喚できる『道徳の奴隷』は危険人物の中の危険人物だ。近づかない方がいい。見つけたらすぐに逃げて、とにかく一刻も早く通報してくれ」
「心配あざっす。ミッション、オケでーす」
★
家に帰る道すがら、ボクはモンジンと、今後のあれこれについて相談していた。
できれば、7番にも作戦会議に参加してほしかったけど、今は無理。
ラストローズ辺境伯の側にくっついているからだ。
どうやら辺境伯は、今回の件を上司であるパメラノコット公爵様に報告しに向かったらしく、7番はその付き添いをしているらしい。
(……アバターラが魔王を召喚できるって、ほんとありがたいよね。今後、戦略の幅がかなり広がる)
あのとき、ゼンドート伯爵をぶっ飛ばすついでに、
『アバターラでも魔王を召喚できるのか?』を検証してみたんだけど、
見事、アバタくんは、ゼラビロスを召喚してみせてくれた。
これはデカい。これはアツい。
さらに――
(アバターラって、もしかして、ボクが消さない限り、ずっと活動できる?)
(っぽいな。召喚してから、もうかなり時間が経ってるが、今も普通に5番姉妹を保護して動いてるしな)
ちなみに――
『燕の5番』の妹、『牡蛎の10番』もすでに確保済み。
いろいろ考えた結果、5番姉妹は『7番の秘密基地』でかくまうことにした。
ラストローズ辺境伯たちが『魔王使いをどうするべきか』って会議してる間に、こっそり7番と話し合って決めたんだ。
(アバターラって、そういう仕様? 一度出したら、無限に運用できちゃう感じ?)




