119話 疑いようのない完璧な嘘。
119話 疑いようのない完璧な嘘。
空気そのものが、ちょっと重たい。
ボクの肺が圧縮されているんじゃないかと思うくらいだ。
この勢ぞろい感……
漫画だったら見開きで紹介されていることだろう。
……まあ、でも、この強者感満載の人たちですら、
魔王の前では紙屑のように蹴散らされるんだけどね。
――なんてことを思っていると、
地下迷宮研究会の代表である『ラストローズ辺境伯』が、
7番の前に出てきて、
「カルシーン伯爵と針土竜の3番を助けてくれたこと、心から感謝する。君の優秀さにはいつも助けられている。ありがとう」
と、大貴族でありながら、見栄も外聞も脇に置いて、奴隷に対して素直に頭を下げた。
貴族社会において、それが正しいかどうかはともかくとして、人間としては非常に好感が持てた。
頭を下げたラストローズ辺境伯に、7番が、
「やめてください。私も、カルシーン伯爵に助けられました。というよりも、カルシーン伯爵が必死に盾役を担ってくれたから、こうして生き残ることができたのです。感謝をしたいのはむしろ私の方」
と、7番は、丁寧に、『嘘のストーリー』を練り上げていく。
『嘘を積み重ねていく際の諸々の手際』がうますぎて、ボクは、彼女に対し恐怖を覚えた。
優秀なサポーターで助かるのは事実だけど……ここまで嘘がうまいとなると、やっぱり、怖いよね。
『女性はウソがうまい』という風のウワサを聞いたことはあったけれど、どうやら、あれは事実だったらしい。
もし、ボクが7番と結婚していたとして、浮気されて、それを指摘したとしても、たぶん、舌先三寸で丸め込まれて、最終的には、こっちが頭を下げることになるだろう。
そして、気付いた時には、慰謝料を払っていることだろう。
結婚怖い……っ。
……なんて、そんな風に、7番のハイスペックぶりに震えていると、
モンジンが、
(7番が味方になってくれてよかったな。これなら、どうにかなりそうだ)
(そ、そうだね、彼女は優秀だ。助かるよ……)
(ふふん、どうだ、俺の配下は高性能だろう)
(いつの間に、7番が君の配下になったんだよ……彼女は、あくまでも、ボクのサポーターだ)
……その後、階段をあがり、宿舎へと戻ってから、
地下迷宮研究会の『ヒーラー担当』の介抱を受けたことにより、
3番とカルシーン伯爵が、目を覚ました。
地下迷宮研究会のヒーラー『ゼンドート伯爵』は本当に有能で、『大治癒ランク8』という、カルシーン伯爵以上の、超スペック回復魔法を扱うことができた。




