102話 命がけで、あの魔王を殺す。
102話 命がけで、あの魔王を殺す。
「かなり魔王っぽい……フェイクオーラが得意なモンスターという可能性も捨てきれないが……」
その3番の推測に、カルシーン伯爵も、異論はないようで、頭を抱えながら、
「まさか、地下迷宮の中に魔王がいるとは……この情報は、死んでも持ち帰らなければいけない」
使命感に燃えているカルシーン伯爵は、アイテムボックスから『魔法の剣』を抜いて、グっと構える。
「申し訳ないが……全員、私に力を貸してくれ。命がけで、あの魔王を殺す……っ!」
そこで、3番が、冷や汗を浮かべながら、
「逃げる方法を考えた方がよろしいんじゃないですか、カルシーン伯爵。現状の戦力は、貴族1人に、奴隷が3人……こんなずさんなパーティで、魔王に勝てるわけがないんですが……」
「逃げ道も探したが、どうやら、このフロアは完全に閉じ込められている様子。慎重に調べれば、『何かしら、扉か階段を出すための手段』が見つかるのかもしれないが、呑気にそれを探している余裕はない。ここから生きて帰れる可能性があるとしたら……あの魔王を殺すことだけだ! 覚悟を決めて闘うしかない!」
「そ、そうなのかなぁ……」
と、絶望的な表情で、カルシーン伯爵のハリキリ決意に、不満たらたらの3番。
『こう』と決めたら、どんなに絶望的であろうと、まっすぐに歯を食いしばるカルシーン伯爵と、
現実だけに焦点をあてて、ロジカルかつシニカルに世界を観測している針土竜の3番。
相性としては、あまりよろしくなさそうだ。
いや、案外、そういう凸凹の方が、うまくハマったりするのだろうか。
その辺の人間関係のアレコレに関しては良くわからない。
ボクの対人関係の人生経験は薄っぺらいし、本とかもあまり読んでいないからね。
なんて感じで、ボクが、二人のやりとりを観察していると、
カルシーン伯爵が、ダっと駆けながら、
「3番と7番! 命令だ!! 私を盾にしつつ、あの魔王に攻撃を仕掛けろ!! 必要だと判断した際には、私を捨て駒にしてもいい! 『ダンジョン内に魔王がいる』……この情報は、死んでも、上に届けなければいけない!!」
その気合いの入り方を見て、ボクは、素直に『アッパレ』だと思った。
こういう言い方をすると、上から目線だと思われるかもしれないが、
ボクは本気で感心していた。
……だって、相手、魔王だよ?
よく本気で挑めるよね。
普通、『逃げ場のない密閉された空間で、魔王と戦わなければいけない』となったら、ションベン漏らして気絶するのが関の山だ。




