098 商人マウワージ
俺とブラックジャガー獣人のノワは、『貴人の宿』に戻って来た。
宿の食堂で、ジャイアントハーフの聖騎士リンが座って待っていた。
「タクミ様、お帰りなさい。」
「おう!地竜の件はどうなった?」
「今晩だけは、裏庭に一晩居させて貰う事にしましたが、経験が無いので数日は無理そうです。」
「そうか、しょうがないな。明日の朝には出発しよう。ドラゴンの解体も頼まなくて、良かったよ。」
「それでは、部屋は取りましたので、夕飯を食べてから、部屋にいきましょう。」
「おう!そうだな。もうそんな時間か。」
「さんせーい。お腹空いたなぁー。」
とノワ。
え?さっき屋台で串焼きとか饅頭を食べただろう。しかも5個づつだぞぉ。
まあ、指摘しちゃいけないな。
俺達は夕飯を食べて宿に一泊した。
勿論2部屋とって男女に分かれたよ。
次の日の朝・・・。
宿の食堂で朝食を食べていると。
「いたかあああ?!」
「こっちにはいないぞおおお!」
外が騒がしい。
「外が騒がしいな。何かあったのか?」
宿の従業員に聞いてみた。
「どうやら、昨日ドラゴンの死骸をトナル商会に持ち込んだ者がいたそうで、衛兵が探している様です。」
へ?俺じゃん。
「何で衛兵が探してるんだ?」
「この町の領主ヨイ伯爵はドラゴンが大好きなんですよ。3日前にもドラゴンの赤ちゃんを捕まえた冒険者に大金を払って、自分のものにして大騒ぎしていました。」
「それで?」
「恐らく、ドラゴンの死骸を手に入れたいのでしょうね。」
「はぁ、迷惑だなぁ。」
なんて話をしていたら。
ガチャッ!!
宿の入口の扉が開き、数人の男が入って来て、俺の顔を見て男が叫ぶ。
「いたぞおおおお!」
衛兵かと思ったら、マウワージ商会のマニーハだった。
「タクミさん!どうかポーションを売ってくれええええ!!」
マニーハの顔は腫れ上がって涙を流している。
きっと上客を逃してこっぴどく怒られたんだろうなぁ。
ちっとも可哀想では無いけどね。
マニーハを押し退けて、小太りのオヤジが前に出てきた。
「お前がタクミか?俺はマウワージ商会のマウワージだ。ポーションを有るだけ売って貰うぞ。さあ、ポーションを出せ!」
ん?何で上から目線なんだ。
俺は丁度朝食が済んだので、口を拭うと。
「断る。売る気は無いよ。」
きっぱりと拒否の姿勢を見せる。
隣でノワがガツガツ食べてるが、見なかった事にしよう。
リンも朝食を終え、立ち上がった。
「失礼な輩ですね。排除しましょう。タクミ様は食後のコーヒーを飲んでてください。」
リンだけでも大丈夫だろう。
「コーヒーを1杯くれ!」
俺は給仕に食後のコーヒーを頼んだ。
「おかわりぃー。」
隣でノワはおかわりしていた。
「この町で、儂に逆らうとどうなるか教えてやる。さあ、こいつらを捕まえろ。殺すなよ。ポーション職人はうちで飼ってやる。」
マウワージの後ろから5人のならず者が現れた。
「手足の1、2本は覚悟するんだなぁ!」
ならず者が剣を抜いた。




