085 リトット伯爵の最後
俺は階段を登ると、ブラックジャガー獣人のノワと大男が対峙しているのが見えた。
大男の後ろに老人と、腰を抜かして怯える使用人の女。
「どうしたノワ?手子摺っている様だな。」
「すいません。時間が掛かりそうです。」
ママツヤ将軍から眼を離さず答えるノワ。
真面目モードの口調だなぁ。強そうなオヤジだからか。
どれどれ・・・。
「ん?貴様がタクミか?王子に気に入られているらしいな。何しに来た。賊の仲間か?」
公爵が不審な顔をして俺を見る。
「そうだ。俺はタクミ。この都市を貰いに来た。」
「はっはっは、馬鹿な事を言うなぁ。ママツヤ将軍、そやつを捉えろ。」
「ん?将軍?このオヤジの事か、そりゃ無理だぞ。死んでるし。」
俺が将軍の横に歩いて行き、肩を押すと将軍の首が落ちて身体が倒れた。
ズダアン!
「えええええええええ!」
眼が飛び出るほど大きく見開き、驚愕の公爵。
「ば、馬鹿な!王国の最高戦力の一角がああああああ!」
「そうか、それは残念だな。」
「くっ、儂をどうするつもりだ。儂を殺せば、郊外の兵達が黙ってないぞ!」
「郊外の公爵軍は、今頃倒されてるから助けにも来ないよ。」
「はぁ?お前は何者だあああ!何が狙いだあああ!」
「リトットがやり過ぎたので、倒しに来た。恨むならリトットを恨め。」
「何いいい。王国が黙ってないぞ!」
「なんかこのジジイは煩いなぁ。」
「排除しますねー。」
ノワが高速で移動すると、公爵の後ろに回り込み、喉を掻き斬った。
ズシュ!ドタッ!
俺は使用人の女と眼を会わせる。
「静かにしてれば見逃すから、黙っててね。」
「ひん、は、はい。声を出しません。」
俺達は廊下を奥に向かって進む。
「突き当たりの部屋にリトット伯爵がいますよー。」
ノワが駆け寄ってきた。
「良し、奥の部屋に行こう。」
俺達は駆け足で奥の部屋に向かった。
ガチャガチャ。
扉は鍵が掛かっていて開かない。
「私に任せて下さい。」
ジャイアントハーフの聖騎士リンが、盾を構えた。
「おう、頼む。」
「シールドバッシュ!!」
ズダアン!
扉が部屋の内側に吹っ飛んだ。
「ひゃああああああ!」
部屋の中では、窓に手を掛けて逃げようとしていたリトット伯爵が、後ろを振り向き悲鳴をあげた。
「逃がさないよー。」
走り込んでいたノワが、リトット伯爵の後襟を掴んで引き倒す。
ズダアン!
「ひゃぁ、助けてくだしゃい!」
四つん這いで土下座のリトット伯爵。
「駄目だね。あんたを倒すためにここまで来たんだ。あんたの誤った判断で随分人が死んだ。責任を取るべきだろう。」
「ひぃ、お金も領地も全て渡しますぅぅ、ど、どうか命だけはぁ・・・。」
「ぐふっ・・・。」
リトット伯爵の首が落ちた・・・。




