070 魔王のブーツ
迷宮都市リトットのダンジョン最深部で、ボスのフェンリルを倒した俺達。
人化していたフェンリルが履いてた、魔王のブーツを親指と人差し指でつまむ。
鑑定で確認したところ、宙を歩く機能と蹴りを飛ばす機能があった。
通常ジャンプして攻撃した時って、躱す事が出来ないので危ないけど、このブーツを履けば、宙を蹴って躱す事が出来る。
蹴りを飛ばすってロケットパンチの蹴りバージョンだよなぁ、言わばロケットキックだ。
う~ん。凄く有効な機能だし、デザインもカッコイイんだけどねぇ・・・。
獣臭いんだよなぁ・・・。
フェンリルも気に入っていて、相当長い間履いてたんだろうなぁ。
なんて悩みながら魔王のブーツを見てたら、ジャイアントハーフの聖騎士リンが、話し掛けてきた。
「タクミ様、臭いますか?」
ブラックジャガー獣人のノワは鼻をヒクヒクさせる。
「フェンリルの足の臭いですねー。」
「そうなんだよぉ。魔道具的な装備だから、サイズは自動調整されると思うんだけどねぇ。ちょっと履くのを躊躇う臭いだよなぁ。」
「私が何とかしてみましょう。」
リンが手を出すので、ブーツをリンに渡した。
リンは生活魔法の『クリア』を使って、ブーツを綺麗にした後、聖魔法の『浄化』をかけた。
「おお!新品の様になったね。有難うリン!」
俺はリンからブーツを受け取り、今履いてた靴を脱いで、アイテムボックスに入れると、魔王のブーツを履いた。
思った通り、サイズは自動調整されてピッタリだ。
「ダンジョン最深部には、ダンジョンコアがあるはずだよな。」
「そうじゃな。」
狐獣人のババが答える。
周りを見たところそれらしい物は無い。
フェンリルを倒した後、王座に魔法陣が出現していたが、鑑定したところ『帰還』の魔法陣だ。
ダンジョンマスターの部屋が、何処かにあるのかな?
「この壁の向こうで音がする。」
ノワが耳をヒクヒクさせた。
「どれどれ、固そうな壁だね。」
壁を調べたが、スイッチ等は無さそうだ。ダンジョンの壁は硬くて、普通は壊せないはずだが・・・。
アイテムボックスから聖剣を取り出した。
俺の今持っている武器で1番威力があり、壊れ難いのは聖剣だ。
これで駄目なら諦めるしかない。
聖剣を振りかぶり、上段から壁に叩き付けた。
スドゴオオン!!!
ダンジョンの壁が壊れて穴があいた。
穴の先には小部屋、中央に丸い玉が飾ってあった。
あれがダンジョンコアだな。
そして、腰を抜かして怯える女。
鑑定で見たら、人狼となっていた。
狼男の女性版だな。
「ひ、ひぇえええ。」
「お前がダンジョンマスターだな。」
「そ、そうです。」
「そして、この玉がダンジョンコアか。」
「そ、そうです。」
「じゃあ、悪いが死んで貰う。そしてダンジョンコアを貰おう。」
「ええええ!命だけは、取らないでください。」
「お前はそう言って、命乞いする人達を殺して来たんだろう?」
「そうですが・・・。」
「戦え!」
「む、無理です。フェンリル様を瞬殺する人達に勝てる訳がありません。何でもしますので、命だけは・・・。」
涙目で両手を合わせて懇願する人狼。
「むう、女の子に泣きながらお願いされると、殺し難いなぁ。しょうが無いダンジョンコアは貰って行く。何でも言う事を聞く件は、今は思いつかないので保留だ。」
「え!ダンジョンコアを持って行かれると・・・。」
「どうせその内、また生成されるんだろ!」
「どうして、それを知ってるんですか!」
お、適当に言ったら、当たってたらしい。
「それは秘密だ。」
リンもノワもうんうん頷いてるが、ババはジト目で見てるから、本当は知らなかったと分かった様だ。
「俺はタクミだ、お前の名前も聞いておこう。」
「あ、私は人狼のマリカです。」
「マリカね。覚えておこう。」




