063 レクのお願い
迷宮都市リトットのダンジョン地下5階で第三王子レクが助けを求めてきた。
って言うか、モンスターに負けそうになって、『助けて下さい』って言いながら、俺の方に逃げて来やがった。
これって犯罪に相当する行為じゃないの?
俺の意志を全く無視して、モンスターを俺達に押し付けた行為だよね。
まあ、俺達は強いから難無く倒したけどさ、弱かったら危険だよ。
「有難う御座います。有難う御座います。有難う御座います。」
何度も頭を下げて俺達の1人1人に、手を握る勢いで御礼をするレク。
誰も差し出した手を取ろうとしなかったけどね。
「おい、レク!俺は助ける事を了承して無いぞ、今のモンスターを押し付ける行為って、犯罪じゃねーのか?」
「へっ?」
よく分かって無いようで、口を開けて呆けるレク。
しかし、同行している冒険者達は『ギクッ』ってなって、冷や汗を流す。
「すいません!私から王子に説明します!」
冒険者はそう言うと、レクの袖を掴んで慌てて耳打ちして説明する。
「そ、そうなのか!」
レクは大声を出して驚く。
「あああああ。」
そして頭を抱え始めた。
俺達はそれを冷ややかに見守る。
レクは突然土下座をした。
「申し訳御座いませんでしたああ!」
驚愕の冒険者達とレクを止めようとする騎士達。
「王子!その様な行為は王族として相応しくありません!」
「馬鹿を言うな!失礼をしたのだ、私が責任を取って陳謝すべきだ!」
レクは騎士を振り払い、土下座を続ける。
「知らなかったとは言え、大変危険な行為をした事はお詫びします。このダンジョンを出た後で、改めてお詫びに伺いますので、何卒、何卒ご容赦をおおおおおお。」
「まあ、良いよ、許す。じゃあ、頑張ってね。ダンジョンから出られると良いね。」
俺はそう言うと、ブラックジャガー獣人のノワと狐獣人のババに、素材収集の為、解体を指示する。
「ノワ、ババ、取り敢えず素材回収しよう。」
「承知しました。」
ノワとババは倒したモンスター達の元に行って解体を始めた。
「?!」
レクと騎士達と冒険者達は眼を見開いていた。
先程の戦いでかなりダメージを負っているので、このままダンジョンを出る事が難しい事に気付いた様だ。
そんな事は、知った事では無いので、俺とジャイアントハーフの聖騎士リンは、モンスターの死骸に向かって歩き出す。
「リン、行くぞ。」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待って下さい!」
レクが俺に縋り付いた。
「ん?」
レクに振り向く。
「どうか、どうか、一緒に地下10階まで、一緒に行って下さいいいい!」
「やだよ。」
即答で断る俺。
「そこを何とか!そこを何とか!お願い致しますううううううう!」
また土下座するレク。




