102 ヨイ町にドラゴンが来た
「まだ、遠くに行ってないかも知れない。俺が頼みに行ってみる。」
剣聖ルイに同行した冒険者が馬に乗って駆け出す。
「私達は、ドラゴンを迎え撃ち町の被害を減らそう。衛兵さんは住民を逃がしてくれ。」
「分かった。」
衛兵達は早速手分けして、避難誘導に向かった。
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン
衛兵は警鐘を鳴らした。
そして、ルイは冒険者ギルドに向かって、緊急クエストでドラゴンと戦う冒険者を集めて貰う様に依頼に行く。
冒険者ギルドでは、既に冒険者達が集まっていた。
ルイは冒険者達を掻き分け受付に行く。
「ドラゴンが来た戦う者は集めたのか?」
奥からギルド長が現れた。
「おお!剣聖ルイ!よく来てくれた。人数は揃えたが、ドラゴンを倒したり、追い払う事は出来ないだろう。せめて住民を逃がす時間を稼ぎたい。」
「そうでしょうね。町の外で迎え撃ち、時間を稼ぐ作戦ですね。」
「おう!頼んだぞ。」
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冒険者ケマヌは馬に乗って一人逃げていた。
「やべえよ。ドラゴンなんてもうこりごりだ。」
その時、野営地に休憩している地竜の馬車が見えた。
「あれは、タクミの馬車だ!」
本来はCランク冒険者は町の危機があった場合、ギルドから召集があり、参加しないと罰則があるのだ。
だから、ドラゴンの影が見えた時、ギルドの召集がかかる前に町を逃げ出した。
これもバレれば相当不味い事になるのは知っていたが、命には変えられない。
しかし、タクミを連れて帰れば・・・。
逃げたのでは無く、ドラゴンスレイヤーを連れてくる為に町を出たと言い訳が立つ。
タクミがいれば一瞬でドラゴンを倒して貰えるので、危険は無い。
前回タクミがドラゴンを倒した時、分け前を要求して多少タクミに良く思われて無い事は理解しているが、あの小僧は甘ちゃんだ。
通常俺に分け前なんか渡す必要が無いのだが、ごねたらドラゴンの鱗をくれた。
俺がこの前の事を謝った後、町の住民の命を助けるためと言えば、助けに行くだろう。
ドラゴンと言っても、タクミにとっては、何の危険も無い楽な作業のはずだ。
その作業で栄誉と大金が手に入るのだ。
助けに行かない訳が無い!
そう結論付けた。
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俺達は野営地で昼食にしていた。
ブラックジャガー獣人のノワが作った昼食は、ドラゴンのステーキ!!
まだ全て解体はしていないが、昼食で食べる一部分だけ解体した。
ノワが食べたがったのだが大満足だ。
とにかく美味い!!
その時叫び声が聞こえた。
「タクミさああああん!」
冒険者が馬に乗って駆けて来た。
名前は忘れたが、ドラゴンを倒した後、分け前を寄越せってイチャモン付けてきた 、嫌な奴だな。
ノワもジャイアントハーフの聖騎士リンも、覚えていた様で眉をしかめて嫌な顔をしていた。
何の用だ?
声をかけられる間柄じゃないだろう。




